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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第6章 クラウンという選択

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第039話 組織という選択

北の森での討伐から数日が経った。

ユイは王都の宿、自室のベッドに腰掛け、窓の外を眺めていた。夕暮れの街並みが赤く染まり、行き交う人々の声が微かに届く。平穏そのものの光景だった。


だが、ユイの思考は別の場所にあった。

封印陣。複数存在する古代の封印。それらが連鎖している可能性。そして、観測者からのメッセージ。


ユイは窓を閉め、背を預ける。


前世では、一人で戦い続けた。38歳になるまで。仲間を作ろうとせず、誰かを信じることから逃げていた。その結果、誰も守れなかった。カイルも、他の多くの人々も。


今度は違う。


ユイは立ち上がり、装備を確認する。短剣2振り、黒銀の軽装鎧。窓の外では、夜が静かに近づいていた。


一人では限界がある。

知識があっても、18歳の肉体では力が足りない。さらに、世界の流れが前世とは微妙にずれている。封印陣の破壊、観測者の存在。予測できない事態が、確実に増えていた。


組織を作る。

本気で幻モンスター討伐に挑むための組織を。


ユイはベッドに横になり、目を閉じた。

明日、動く。


翌朝、ユイは宿を出た。朝日が石畳を照らし、商人たちが店を開き始めている。向かう先は、リリアの治療院だった。


治療院の扉を開けると、薬草を分類しているリリアの姿があった。銀髪のエルフは顔を上げ、ユイを見る。


「おはよう。今日はどうしたの?」


「相談があります」


リリアは手を止め、椅子を勧めた。ユイは腰を下ろす。短い沈黙の後、静かに切り出した。


「組織を作りたい」


リリアの緑の瞳が、わずかに見開かれる。


「組織?」


「本気で、幻モンスター討伐に挑むための組織です」


リリアは腕を組み、真剣な視線を向けた。


「クラウン結成ね」


「クラウン?」


「冒険者が特定の目的のために作る組織よ。ギルドの認可が必要になるし、人集めも拠点の確保も簡単じゃない」


ユイは頷いた。前世でも、その仕組みは知っていた。だが、自分で作ろうとしたことはない。


「でも、あなたなら」


リリアが小さく笑う。


「本気なんでしょう?」


「本気です」


「じゃあ、力になるわ」


その言葉に、ユイの胸の奥が静かに緩んだ。

リリアが最初の仲間になる。それは大きな意味を持つ。


治療院を出て、ユイはギルドへ向かった。リリアも同行する。朝の王都は活気に満ちていた。


「カイルさんにも話した方がいいわね」


「そうですね」


ギルドに着くと、訓練場へ向かう。広い砂地の中央で、カイルが盾を構え、素振りをしていた。銀のプレートアーマーに、朝の光が反射している。


「カイル」


リリアが声をかける。

カイルは振り返り、盾を下ろした。


「リリアさん、ユイさん」


ユイは真っ直ぐにカイルを見る。


「話があります」


一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに頷いた。


「何でしょう?」


「組織を作ります。本気で幻モンスター討伐に挑むための組織です」


カイルの青灰色の瞳が、ユイを見つめる。短い沈黙。


「幻モンスター……」


呟くように言い、問い返す。


「おとぎ話じゃないんですか?」


「いいえ」


ユイは短く答えた。


「実在します。そして、いずれ現れます」


カイルは表情を引き締めた。


「ユイさんが本気なら、俺もついていきます」


その言葉に、ユイは静かに頷いた。


「ありがとうございます」


リリアが腕を組み、言う。


「まずは、ギルドで詳しく聞かないとね。クラウンの仕組みを」


三人は訓練場を後にし、王都の街を歩き始めた。


「組織を作るって、大変なんですか?」


カイルの問いに、リリアが答える。


「人を集めて、拠点を用意して、ギルドの審査も受ける。でもね」


少しだけ笑みを浮かべる。


「やる価値はあるわ」


ユイは前を見た。ギルドの建物が視界に入る。


「まず、ギルドで詳しく聞かないと」


王都の街を見渡す。

ここから始まる。一人ではなく、仲間と共に。

本日から21時に毎日1話投稿します。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

少しでも「面白い」「続きが気になる」と感じていただけましたら、

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