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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第5章 討伐隊の出陣

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第036話 守るべきもの

魔物の前足が振り下ろされる。狙いはカイルだ。盾を失い、無防備な状態のまま、その場に立ち尽くしている。


その光景を見た瞬間、ユイの胸が強く締めつけられた。


前世の記憶が蘇る。

別の魔物、別の戦場。

だが、同じ状況だった。仲間が盾を失い、無防備になり、迫る一撃に対して――ユイは間に合わなかった。

仲間は倒れ、命を落とした。


あの時と同じだ。


だが、今回は違う。


ユイは地面を蹴った。短剣を両手に構え、一気に距離を詰める。魔物の前足が迫る。速い。だが、軌道は読める。前世で積み重ねた戦闘経験が、身体を先に動かしていた。


短剣を交差させ、前足を受け流す。衝撃が腕に走り、骨が軋む。激痛が走る。だが、踏みとどまる。刃が前足を逸らし、爪がユイの頬を掠めた。血が飛ぶ。


「カイル、下がれ!」


ユイの叫びに、カイルがはっと目を見開く。即座に後方へ跳ぶ。次の瞬間、魔物の前足が地面を叩きつけた。岩が砕け、砂埃が舞う。


カイルは無事だった。


ユイはそのまま踏み込み、短剣を振るう。狙いは足元。鱗の継ぎ目だ。刃が食い込み、浅いながらも確かな傷を刻む。


魔物が悲鳴を上げ、後退しようとする。


その隙を逃さず、リオンとヴィクトルが前衛を押し上げた。二人の剣が左右から魔物を挟む。


リオンが足元を斬りつけ、ヴィクトルが首を狙う。魔物が前足を振るうが、ヴィクトルが剣で受け止める。反対側から、リオンの斬撃が走った。


エリナが杖を掲げる。


「炎よ、焼き尽くせ!」


赤い光が魔物の側面を焼く。炎が鱗を焦がし、魔物が怯む。


反対側から、グレンとロウが踏み込んだ。二人の剣が胴体を斬り裂く。狙いは同じく鱗の継ぎ目。黒い血が飛び散る。


アリスが弓を引き絞る。放たれた矢が一直線に飛び、魔物の目を貫いた。魔物が激しく咆哮する。


「効いたぞ!」


グレンの叫びとともに、魔物の動きが鈍る。視界を失い、明らかに体勢を崩している。


ヴィクトルが全員を見渡した。


「今だ! 総攻撃!」


号令と同時に、八名が一斉に動いた。


ヴィクトルの剣が首元を狙い、リオンが足元を斬る。グレンとロウが胴体に連続して刃を入れる。エリナの炎魔法が追撃し、アリスの矢が次々と突き刺さる。


ユイも踏み込んだ。側面に回り込み、短剣を振るう。一本目が脇腹を裂き、二本目が後ろ足を斬りつける。魔物の悲鳴が洞窟に響く。


カイルが剣を抜いた。盾は失ったが、まだ戦える。


「俺も行く!」


カイルの剣が前足を斬りつける。


ついに魔物が崩れ落ちた。巨体が地面に倒れ、轟音とともに砂埃が舞い上がる。


全員が武器を構えたまま、動かない魔物を見つめた。血が地面に広がり、呼吸もない。


「倒した、のか?」


グレンが呟く。だが、リオンは剣を下ろさない。


「まだ分からない」


ヴィクトルも警戒を解かない。


その時、魔物の体が淡く光り始めた。倒れたまま、全身が光に包まれていく。


「何だ、これは」


ロウが後ずさる。エリナが杖を構え直した。


光は強まる。だが、魔物の姿は消えない。完全には消滅していない。


倒れたはずの魔物が、なおも光に包まれている。


嫌な沈黙が、洞窟を支配した。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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