↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第25章 余韻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
209/214

第210話 レオンの変化

神殿跡の石壁に座ったまま、ユイは全員の状態を確認していた。


リリアとセリスの回復魔法は完了していた。ナオミも、ラスティの者らしく率先して全員の手当てに参加していた。その光景は、一週間前には想像もできなかったはずだ。三つのパーティが同じ場所で、同じ傷を癒すために協力している。


全員の傷が塞がった。17人全員が、ここにいる。


その時だった。


「ユイ」


声が聞こえた。低く、ぶっきらぼうな声。レオンだ。


ユイは顔を上げた。ブレイズウォールの指揮官が、自分に向かって歩いてくる。右肩に包帯を巻いているが、その歩みに迷いはない。戦士としての自負が、その動きに表れている。


「何か」


ユイは短く返答した。


レオンはユイの前に立ち、そのまま数秒間、何も言わない。その沈黙は、決断の時間だった。何かを言おうとしているが、言葉にするのに葛藤している。ブレイズウォール最強の指揮官が、こんな迷いを見せるのは珍しい。


最後に、レオンが口を開いた。


「……認める」


その一言だけだ。


ユイは、その言葉の重みを理解した。レオンにとって、「認める」ことは、何よりも大きな決断なのだ。プライドの高い戦士が、他者を認めるという行為。それがどれほど難しいか。


「お前の指揮は、正しかった」


レオンが続ける。その声はぶっきらぼうだが、その中に確実な敬意が含まれている。


「ありがとう」


ユイは短く返答した。長い言葉は必要ない。むしろ、短い返答の方が、この瞬間には相応しい。


「次に何かあれば、声をかけろ。協力してやる」


レオンがさらに言う。その言葉は、単なる口約束ではない。戦士としての誓いだ。次に何かが起きた時、自分たちはユイの側に立つ。そういう宣言だ。


「こちらこそ、手を貸してくれてありがとう」


ユイが返す。


レオンは頷いただけで、何も言わなかった。それで十分だった。


その歩みには、何かが変わったことが表れている。同時に、ユイは理解した。この瞬間から、何かが始まろうとしている。カオスナイト討伐。それは、単なる敵との戦闘ではなく、世界の均衡を破る出来事だった。そして、その波紋は、確実に広がり始めている。


三つのパーティが共闘した。最下位のクロウフォール。三位のブレイズウォール。四位のラスティ。その三つが肩を並べて戦った。そのことが、世界に何をもたらすのか。ユイは前世の知識から、その答えを知っている。だが、それを今すぐに言う必要はない。


今は、ここに全員がいることだけで十分だ。


ユイは再び、全員を見渡した。神殿跡の石壁に、三つのパーティが集まっている。疲弊しているが、誰も倒れていない。誰も死んでいない。全員が、ここにいる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。