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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第24章 共闘

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第202話 作戦会議

作戦の細部を詰める時間は、わずかしかなかった。


カオスナイトの分身が、じりじりと距離を詰めてくる。

グレンの炎で牽制しているが、長くは持たない。分身たちは炎を警戒しながらも、確実に包囲網を狭めている。


ユイは素早く指示を続けた。


「第1隊の動き方。カイルとハンスが先頭、マーヴィンが右翼、フィンとグレンが左翼。三角陣形で分身を誘導する」


「了解です」


カイルが頷く。右腕を庇いながらも、大剣を握り直した。


ハンスとマーヴィンが視線を交わす。

重戦士二人は、言葉なく連携の形を決めていた。ハンスが左に動けば、マーヴィンが右を埋める。


だが、ハンスの石の体には深い亀裂が走っている。いつ崩れてもおかしくない。


「リリア、視界の確保を頼む」


「了解ですわ。魔力は残りわずかですが、光を灯す程度なら」


「無理はするな。断続的でいい」


リリアが頷く。顔色はまだ青白い。


「第2隊。本体との交戦だが、倒す必要はない」


ユイはレオンとゼックを見た。


「足止めだけでいい。ノアの狙撃が成功すれば、カオスナイトは弱体化する。そこから総攻撃に移る」


レオンが低く唸る。


「足止めか。俺向きじゃないな。俺は攻めるのが性に合っている」


「だが、お前の炎がないと本体を押さえられない。カオスナイトの闇を相殺できるのは、レオンの炎だけだ」


「……分かっている」


レオンは不本意そうだが、否定はしなかった。


ゼックが軽く口を挟む。


「俺は側面から削るよ。隙を作れればいい」


セイラが静かに言った。


「足元を凍らせる。動きを封じれば、隙が生まれる」


だが、彼女の氷の装身具は半分砕けている。


エルザは無言だったが、小さく頷いた。


「セリス、第2隊の後方で待機。回復は私が合図したら」


「はい……任せてください」


セリスが杖を握り締める。声に力がない。魔力は枯渇に近い。


「第3隊。ノア、封印陣の位置は分かるか」


「廃墟の中央。あの光が漏れている場所だ」


ノアが弓で示す。

闇の領域の奥、かすかに赤黒い光が脈打っている。封印陣の残骸だ。


「射線は確保できる。問題ない」


ナオミが言った。


「私が矢に魔力を上乗せするわ。貫通力を上げれば、陣の中核まで届く」


アイリスが二人の護衛に回る。


「任せて。誰も第3隊には近づけさせないから」


だが、彼女の腕には血が滲んでいる。


配置が決まった。


ユイは全員を見渡した。

17人。傷だらけで、疲弊している。回復薬で誤魔化しているだけ。

万全な者は、誰もいない。


だが、全員の目に、諦めの色はなかった。


カイルが壊れた盾を見つめ、呟いた。


「盾はもう使えません」


ハンスが横に立った。


「俺が前に出る。お前は剣で戦え」


「……はい!」


カイルの目に、決意が宿る。


フィンが拳を握る。


「レオン様のために、必ずやります」


グレンが炎を纏い、静かに答える。


「ああ。生きて帰るぞ」


「最後に一つ」


ユイの声が、全員に届く。


「誰も死ぬな」


短い言葉だった。

だが、その言葉に、全員が息を呑んだ。


「勝って、全員で帰る。それが目的だ」


レオンが鼻で笑った。


「当然だ。俺の部下は、俺が守る」


ゼックが肩をすくめる。


「死ぬつもりはないよ。まだ……やり残したことがあるしね」


その言葉には、いつもの軽さがなかった。


カオスナイトの分身が、ついに動き出す。


「第1隊、前へ」


ユイの声が響く。


「行くぞ!」


カイルが叫び、ハンスと共に駆け出した。

右腕の痛みを堪えながら、大剣を振り上げる。


ハンスの石の体が軋む。それでも、前に出る。

マーヴィンが横に並び、大剣を構えた。


フィンとグレンが左翼に展開する。

炎を纏った拳が、闇を照らす。


後方では、リリアが杖を握りしめていた。

魔力は枯渇に近い。それでも、彼女は立っている。


作戦が、始まった。

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