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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第23章 死線

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第193話 合流

レオンの炎が、闇を照らしていた。


ユイはその光を目印に、走った。足が重い。体中が痛い。頬の傷から、まだ血が滲んでいる。だが、止まるわけにはいかない。


「レオン!」


叫びながら、炎の方向へ向かう。闇の中を、手探りで進む。分身の気配がないことを確認しながら、慎重に、しかし素早く。


やがて、人影が見えた。


レオンだ。その横には、フィンとグレン。そして、地面に横たわるザークス。


「ユイか」


レオンが振り返った。その顔には、疲労と怒りが滲んでいる。だが、先ほどの暴走は収まっていた。ユイの言葉が、効いたらしい。


「ザークスは」


「生きている。だが、重傷だ。腹を貫かれた」


レオンの声が、低く沈んでいた。普段の傲慢さが、消えている。


ユイはザークスを見た。腹部に大きな傷。血が染み出し、地面に赤い染みを作っている。顔は蒼白で、呼吸が浅い。意識があるのかどうかも分からない。


「他の仲間は」


「分からない。闇の中で、散り散りになった」


ユイは周囲を見回した。闇が、依然として周囲を覆っている。レオンの炎が弱まれば、また完全な暗黒に戻る。仲間たちを探すなら、今しかない。


「ユイ!」


声が聞こえた。


セイラだ。闘の中から、駆けてくる。双剣を構えたまま、警戒を緩めずに。その後ろには、ハンスの巨体が見えた。


「セイラ! ハンス!」


「無事か」


セイラが言った。彼女の顔には、疲労の色が濃い。双剣を握る手が、微かに震えている。普段は決して見せない弱さだ。


「……なんとか」


ハンスが低く答えた。彼の鎧には、大きな亀裂が走っていた。胸部、肩、腕。至る所に、分身の攻撃を受けた跡がある。ゴーレムの頑強な体でなければ、とうに倒れていただろう。


続いて、カイルとセリスが現れた。


カイルは盾を持っていなかった。完全に砕けたのだろう。大剣だけを握りしめ、右腕には血が滲んでいる。顔には悔しさが滲んでいた。守るべき者を、守れなかった。そんな表情だ。


セリスがカイルを支えるように歩いていた。彼女自身も、疲労で顔色が悪い。回復魔法を使いすぎたのだ。


「カイル、セリス」


「ユイさん……! 良かった……!」


セリスの声が震えていた。涙が、頬を伝っている。恐怖と安堵が、入り混じった涙だ。


「皆さん、無事で……」


「まだ全員じゃない。リリアは。アイリスは。エルザは」


ユイが問うと、セリスは首を横に振った。


「分かりません……闇の中で、離れてしまって……」


その時、別の方向から気配が近づいてきた。


エルザだ。影から滑り出るように現れた。音もなく、気配も薄く。暗殺者の動きだ。その後ろには、アイリスがいた。


「……無事」


エルザが短く言った。感情のない声。だが、ユイには分かった。彼女も、限界に近い。


「リリアも、連れてきた」


アイリスが、リリアを支えていた。リリアの顔は蒼白で、足元がふらついている。魔力の枯渇だ。光魔法を使いすぎた。闇の領域を打ち消すために、全ての魔力を注ぎ込んだ。


「リリア」


「ユイ……さん……」


リリアが、かすれた声で言った。普段の丁寧な口調が、崩れている。


「申し訳……ありません……もう、光魔法は……」


「いい。よく持ちこたえた」


ユイはリリアの肩を支え、地面に座らせた。責めるつもりはない。彼女がいなければ、もっと早く全滅していた。


全員が、集まった。


クロウフォール8人。ブレイズウォール4人。計12人。


だが、その姿は悲惨だった。


カイルの盾は砕け、右腕は負傷している。ハンスの鎧には亀裂が走り、体力も限界に近い。セイラは疲労で顔色が悪く、魔力も残り僅かだ。リリアは魔力が完全に枯渇し、立っているのがやっとだ。セリスも、回復魔法の連続で気力が尽きかけている。エルザは無傷に見えるが、影に潜む力を使い果たしている。アイリスは戦闘向きではなく、情報収集が専門だ。


ブレイズウォールも同様だった。レオンは魔力を消耗し、炎の勢いが弱まっている。ザークスは重傷で戦闘不能。フィンとグレンも、傷だらけで疲労困憊だ。


ユイは冷静に、全員を見渡した。


戦える者は、何人いる。


自分。セイラ。ハンス。エルザ。レオン。グレン。


6人。それも、全員が消耗している。


「このままじゃ、全滅する」


ユイは呟いた。


その言葉は、自分自身への戒めだった。現実を直視しろ。希望的観測を捨てろ。


「ユイ」


セイラが、低い声で言った。


「……どうする」


その問いに、ユイは答えられなかった。


分からない。前世の知識は役に立たない。経験則は通用しない。


沈黙が、闇の中に広がった。


その時、空気が変わった。


闇の奥で、何かが動いている。気配が、膨れ上がっていく。


カオスナイトが、闇の奥で何かを始めようとしていた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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