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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第23章 死線

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第187話 消耗戦

戦闘は続いていた。


ユイは短剣を振るいながら、全体の状況を把握しようとした。闇の中で、仲間たちの姿が見え隠れする。リリアの光魔法が、かろうじて視界を確保していた。


だが、その光も弱まっている。


「リリア、状況は」


「もう……限界が近いですわ」


リリアの声が、普段の落ち着きを失っていた。光魔法の輝きが薄くなり、額には汗が浮かんでいる。魔力の消耗が、彼女の体を蝕んでいた。


分身たちは、絶え間なく攻撃を仕掛けてきた。一体を弾いても、別の一体が斬りかかってくる。休む暇がない。


カイルが盾を失った今、前衛の防御力は落ちていた。ハンスが石壁で補おうとしていたが、分身の剣は石壁を容易く砕く。


「ハンス、下がれ!」


ユイが命じた。だが、ハンスは動かなかった。


「……駄目だ。俺が下がれば、後衛が狙われる」


その判断は正しかった。ハンスの巨体が壁になることで、リリアとセリスは魔法を維持できている。


セリスが回復魔法を放った。淡い水色の光がカイルを包み、腕の傷が少しだけ塞がる。だが、傷が増える速度に、回復が追いついていない。


「俺に回復は不要です! セリスさん、他の仲間を!」


カイルが叫んだ。


「駄目です! 今、止めたらカイルさんの腕は使えなくなります!」


セリスの声が悲痛だった。仲間を見捨てることは、彼女にはできない。


レオンが炎を放った。分身の動きが一瞬だけ止まる。だが、すぐに炎を吸収し、再び動き出した。


「くそっ……!」


レオンが舌打ちした。魔力を使えば使うほど、敵が強くなる。矛盾した状況だった。


ユイは分身と斬り合いながら、頭の中で計算を続けていた。


全員の消耗具合。残りの魔力。体力。


どの数字も、絶望的だった。


こんなに長く戦う予定ではなかった。


本来なら、本体を見極め、短期決戦で核を砕くはずだった。分身は本体より動きが遅い。それが前世の知識だった。


なのに、今は全てが同じ速度で動いている。どれを狙えばいいのか、分からない。


「リリア、下がれ。光魔法は必要な時まで温存しろ」


「ですが……! 光がなければ、皆さんが……!」


「今、全ての魔力を使い切ったら、後がない」


リリアは唇を噛んだ。光魔法がなければ、仲間たちは視界を失う。だが、維持し続ければ、魔力は尽きる。


どちらを選んでも、詰んでいた。


「……了解ですわ」


リリアが光魔法を弱めた。途端に、闇が濃くなった。仲間たちの姿が、さらに見えにくくなる。


分身たちが、また動き出した。


「来るぞ!」


カイルが叫んだ。


計算が合わない。前世では、数時間で勝てた。一人で、勝てた。今回は仲間が12人いるのに、勝てる気配がない。


分身の剣が、ユイに向かって振り下ろされた。


横に跳ぶ。息が上がっている。体が重い。


カオスナイトの攻撃は、止まらない。

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