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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第22章 封印解除

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第186話 前世より強い  

総力戦が始まった。

 

退路がない以上、戦うしかない。ユイは短剣を構え、仲間たちに叫んだ。

 

「全員、連携しろ! 一人で戦うな! 必ず二人以上で動け!」

 

クロウフォールとブレイズウォール。残った戦力で、分身たちに立ち向かう。

 

セイラが双剣を振るった。氷気を纏った刃が、分身の腕を狙う。だが、刃は弾かれた。氷が砕け散り、セイラの体が後方に押し戻される。

 

「くっ……!」

 

セイラが歯を食いしばった。すぐに体勢を立て直し、再び斬りかかる。だが、結果は同じだ。何度斬っても、分身には傷一つつかない。

 

ハンスが石壁を展開した。分身の進路を塞ぎ、仲間たちを守ろうとする。だが、分身は石壁を無視するように、拳で砕いた。破片が飛び散り、ハンスの体を打つ。

 

「壁が……!」

 

ハンスが呻いた。ゴーレムの彼の防御力をもってしても、分身の力には抗えない。

 

レオンが咆哮を上げた。両手から炎を放ち、分身たちを焼き払おうとする。炎が闇を照らし、一瞬だけ視界が開けた。だが、分身たちは炎の中を平然と進んでくる。

 

「燃えろ! 燃え尽きろ!」

 

レオンが叫んだ。だが、炎は効かない。分身たちは炎を吸収し、さらに力を増している。レオンの攻撃が、敵を強くしている。

 

「やめろ、レオン!」

 

ユイが叫んだ。

 

「炎は逆効果だ! 魔力を吸収される!」

 

「なら、どうしろと言うんだ!」

 

レオンが怒鳴り返した。だが、彼も分かっているはずだ。どうすればいいのか、誰にも分からない。

 

ザークスが剣を振るい、分身と斬り合った。彼の剣技は一流だ。的確に急所を狙い、無駄のない動きで攻防を繰り返す。だが、それでも分身には通じない。剣が弾かれ、ザークスの体が押し込まれていく。

 

「レオン様、このままでは……!」

 

「分かっている!」

 

レオンが吼えた。だが、打開策は見つからない。

 

フィンとグレンが連携して分身に挑んだ。フィンが斬りかかり、グレンが援護の炎を放つ。だが、二人がかりでも、分身一体を止めることすらできない。逆に、二人とも吹き飛ばされ、地面に転がった。

 

「くそっ……!」

 

フィンが悔しそうに叫んだ。

 

リリアが光魔法を放った。分身の動きが、一瞬だけ鈍る。その隙に、エルザが背後から急所を狙う。だが、刃は闇に阻まれ、深く刺さらない。

 

「効きませんわ……!」

 

リリアが叫んだ。

 

アイリスが周囲を飛び回り、情報を集めようとしていた。だが、闇の中では彼女の目も役に立たない。

 

「分からない……どれが本体か、全然分からない……!」

 

アイリスの声が震えていた。

 

セリスはカイルを守りながら、回復魔法を続けていた。だが、彼女の魔力も限界に近い。顔は青白く、手が震えている。

 

「もう少し……もう少しで……」

 

セリスが呟いた。カイルの腕の治療は、まだ終わっていない。

 

ユイは戦いながら、状況を把握しようとした。

 

クロウフォール8人、ブレイズウォール4人。計12人で、10体の分身と戦っている。数では勝っている。だが、押されている。一方的に。

 

セイラの氷槍が弾かれる。ハンスの石壁が砕かれる。レオンの炎が消される。全ての攻撃が、無力化されている。

 

ユイは戦いながら、確信した。

 

これは、前世で戦った個体より、確実に強い。

 

前世のカオスナイトも、圧倒的な存在だった。一人で戦い、何度も死にかけた。勝てたのは、奇跡に近かった。

 

だが、今の個体は、あれを超えている。

 

封印されていた期間、ずっと力を蓄えていた。その蓄積が、今の圧倒的な力になっている。分身の数も、闇の濃さも、魔力吸収の効率も、全てが前世を上回っている。

 

「勝てない……」

 

ユイの口から、言葉が漏れた。

 

今の戦力では、勝てない。カイルは負傷し、全員が消耗している。分身すら倒せないのに、本体に辿り着くことなど不可能だ。

 

分身の一体が、ユイに向かって剣を振った。ユイは横に跳んで回避する。だが、着地した瞬間、別の分身が背後から斬りかかってきた。

 

セイラが割り込み、双剣で受け止めた。だが、衝撃で二人とも後方に吹き飛ばされた。

 

「ユイ……!」

 

セイラが叫んだ。

 

「大丈夫か……!」

 

「ああ……」

 

ユイは答えた。だが、体が重い。息が上がっている。もう何度、回避と反撃を繰り返しただろう。体力が、限界に近づいている。

 

分身たちが、再び集まってきた。10体が、生き残った全員を囲んでいる。

 

逃げ場がない。勝ち筋が見えない。

 

ユイは短剣を握り締めた。手のひらに、汗が滲む。

 

前世の記憶が、頭を過ぎった。あの時は、一人で勝った。だが、今は違う。仲間がいる。守るべき人がいる。

 

なのに、守れない。

 

勝てない。

 

ユイの心に、初めて絶望が芽生えた。

 

第22章 完

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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