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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第22章 封印解除

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第182話 影の軍勢

闇の中から、それは現れた。

 

最初の一体が、円陣の右側を襲った。ハンスが咄嗟に石壁を展開する。だが、衝撃は予想を超えていた。石壁に亀裂が走り、ハンスの体が後方に押し込まれる。

 

「硬い……!」

 

ハンスが呻いた。ゴーレムの彼が、力負けしている。

 

二体目が、左側から来た。セイラが双剣で迎え撃つ。刃と刃がぶつかり、火花が散った。闇の中でも、その一瞬だけは光が見えた。だが、セイラの体が押し戻される。

 

「くっ……」

 

セイラが歯を食いしばった。氷気を纏わせた剣で斬り返すが、相手は怯まない。

 

三体目。四体目。五体目。

 

次々と、闇から分身が湧き出してくる。

 

「5体……いや、もっといる!」

 

アイリスが叫んだ。彼女の感覚が、さらなる気配を捉えている。

 

ユイは短剣を構えながら、数を数えようとした。だが、闇の中では正確な把握ができない。6体、7体、8体。いや、まだいる。

 

「増えている……!」

 

ユイが叫んだ。

 

前世の記録では、シャドウクローンは最大5体だった。それでも十分な脅威だった。だが、今回はそれを超えている。8体、いや10体。倍の数の分身が、全方位から襲いかかってきている。

 

「ハンス! 石壁!」

 

ユイが命じた。

 

ハンスが再び石壁を展開した。今度は前方に、分身の進路を塞ぐように。だが、分身は止まらなかった。複数体が同時に石壁を攻撃する。

 

轟音。

 

石壁が砕けた。破片が飛び散り、ハンスが後退を余儀なくされる。

 

「壁が持たない……!」

 

セリスが悲鳴のような声を上げた。

 

「下がるな! 踏みとどまれ!」

 

レオンが叫んだ。炎を纏った拳で、迫り来る分身を殴り飛ばす。だが、すぐに別の分身が横から襲いかかる。ザークスが剣で受け止め、レオンを庇った。

 

「レオン様、多すぎます!」

 

「分かっている!」

 

レオンが吼えた。両手から炎を放ち、周囲を照らそうとする。一瞬だけ、闇が晴れた。その光の中で、ユイは分身たちの姿を見た。

 

カオスナイトと同じ姿。3メートルを超える巨躯。闇を纏った鎧。巨大な剣。だが、本体よりも輪郭が曖昧で、影のように揺らめいている。

 

10体。確かに10体いた。

 

「10体……!」

 

ユイは声を上げた。

 

5体から倍増している。封印で蓄えた力が、分身の数にも影響しているのか。

 

レオンの炎が消え、再び闇が戻った。

 

分身たちが一斉に動いた。

 

カイルが盾で受け止める。衝撃で腕が痺れ、膝が折れそうになる。それでも踏ん張り、剣で反撃した。刃が分身の腕を掠める。だが、傷はすぐに闇に飲み込まれ、消えた。

 

「再生する……!」

 

カイルが叫んだ。

 

「魔力を吸収して回復している!」

 

ユイが応じた。

 

カオスナイトの能力。ダークブレード。触れた者の魔力を吸収し、自らの回復に充てる。分身にも、その能力が備わっている。

 

フィンが剣を振り、分身に斬りかかった。炎を纏った刃が、分身の胴を薙ぐ。だが、分身は崩れない。逆に、フィンの剣から炎が吸い取られていく。

 

「炎が……!」

 

フィンが驚愕した。グレンが援護に入り、後方から炎魔法を放つ。だが、その炎も分身に吸収される。

 

「魔法が効かない……!」

 

グレンが呟いた。

 

ブレイズウォールの火力が、通用していない。炎魔法に特化した彼らの強みが、完全に封じられている。

 

リリアが光魔法を放った。分身の動きが、一瞬だけ鈍る。だが、それだけだ。光はすぐに闇に飲み込まれ、分身は何事もなかったように動き出す。

 

「一瞬しか効果がありませんわ……!」

 

リリアの声が震えていた。

 

エルザが影から飛び出し、分身の背後を突いた。短剣が、分身の首筋を狙う。だが、刃は闇に阻まれ、深く刺さらない。

 

「硬い……」

 

エルザが呟いた。彼女の暗殺技術をもってしても、分身を仕留められない。

 

10体の分身が、11人を包囲している。数で負けている。火力で負けている。防御も通じない。

 

「どうすればいい……!」

 

セリスが叫んだ。

 

「本体を倒せば、分身も消える!」

 

ユイが応じた。

 

「分身に構うな! 本体を探せ!」

 

「本体? どこにいる!」

 

レオンが叫ぶ。

 

「どれが本体だ!」

 

その声が、闇の中に響いた。10体の分身に囲まれた状況で、本体を見つけ出す。それが、唯一の勝ち筋だった。だが、この暗闘の中で、どうやって。

 

ユイは必死に考えた。前世の記憶を掘り起こす。本体と分身の見分け方。あの時は、どうやって見極めた。

 

そうだ。速度だ。分身は本体より動きが遅い。それが、唯一の識別点だった。

 

だが、今回は違う。

 

10体の分身が、全て同じ速度で動いている。本体との差が、見当たらない。

 

ユイの背筋に、冷たいものが走った。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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