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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第22章 封印解除

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第181話 第1段階

カオスナイトが動いた。

 

剣を振り上げたわけではない。突進してきたわけでもない。ただ、片手を持ち上げただけだった。

 

それだけで、世界が変わった。

 

闇が爆発的に広がった。カオスナイトを中心に、黒い波動が放射状に拡散していく。壁を、床を、天井を、全てを飲み込みながら。

 

ダークドメイン。闇の領域。

 

ユイは咄嗟に目を閉じた。だが、意味はなかった。目を開けても、閉じても、何も見えない。完全な闘が、視界を奪っていた。

 

「くっ……!」

 

誰かが呻いた。カイルの声だ。すぐ近くにいるはずなのに、姿が見えない。

 

「全員、声を出せ! 位置を確認しろ!」

 

ユイが叫んだ。

 

「ここです!」

 

カイルの声。右斜め前。

 

「いますわ!」

 

リリアの声。左後方。

 

「……いる」

 

セイラの声。右後方。

 

「私もいます!」

 

セリスの声。後方。

 

ハンス、エルザ、アイリスも次々と声を上げた。クロウフォールは全員無事だ。

 

「ブレイズウォールは!」

 

「俺はここだ!」

 

レオンの声が響いた。前方、少し離れた位置。

 

「ザークス! フィン! グレン!」

 

「います、レオン様!」

 

「俺も!」

 

「ああ」

 

ブレイズウォールも全員いる。だが、位置がばらばらだ。闇の領域が展開された瞬間、陣形が崩れた。

 

ユイは周囲を見回した。だが、何も見えない。手を伸ばせば、自分の指先すら見えない。完全な暗黒。光が一切存在しない空間。

 

「リリア! 光魔法を!」

 

「やってみます!」

 

リリアの声がした。数秒後、後方で光が灯った。白い輝きが、闇を押し返そうとする。

 

だが、すぐに消えた。

 

「効かない……!」

 

リリアの声が震えていた。

 

「光が、吸収される……!」

 

ユイは歯を食いしばった。前世でも同じだった。ダークドメインの中では、通常の光魔法は効果が薄い。だが、今回はそれ以上だ。光が一瞬で飲み込まれている。以前より、闇が濃い。

 

半径20メートル。それがダークドメインの範囲だ。前世の記憶では、そうだった。だが、今回はどうか。封印で力を蓄えたカオスナイトは、より広い領域を展開しているかもしれない。

 

「動くな! その場に留まれ!」

 

ユイが命じた。

 

「闇の中で動き回れば、同士討ちになる!」

 

「だが、このままでは!」

 

レオンが叫んだ。

 

「奴はどこにいる!」

 

分からない。ユイにも、カオスナイトの位置が掴めなかった。闇の中では、気配を探ることも難しい。視覚だけでなく、他の感覚も鈍っている。

 

足音が聞こえた。重い、地面を踏みしめる音。だが、どこから聞こえているのか分からない。前からか、後ろからか、それとも横からか。闇が音を歪めている。

 

「来る……」

 

アイリスが囁いた。彼女の感覚は鋭い。だが、それでも方向を特定できていない。

 

「どこから……」

 

その瞬間、空気が動いた。

 

ユイは反射的に横に跳んだ。直後、自分がいた場所を何かが通過した。風圧だけで、体が押し流されそうになる。

 

「危ない!」

 

カイルの声。彼もまた、何かを感じ取って回避したようだ。

 

「散開しろ! 固まるな!」

 

ユイが叫んだ。

 

だが、散開すれば仲間の位置が分からなくなる。かといって、固まっていれば一網打尽にされる。どちらを選んでも、不利だった。

 

「まずい……」

 

ユイは呟いた。

 

これが、カオスナイトの第1段階。ダークドメインによる視界封鎖。この中で、分身を出され、本体に翻弄される。それが、前世で経験した戦い方だった。

 

だが、前世では一人だった。自分の判断だけで動けた。今は違う。11人の仲間がいる。全員を守りながら戦わなければならない。

 

闇の中で、複数の気配が動いた。

 

一つではない。二つでもない。三つ、四つ、それ以上。いくつもの気配が、バラバラの方向から近づいてくる。

 

「何だ、これは……」

 

レオンの声が響いた。

 

「囲まれている……!」

 

ザークスが叫んだ。

 

分身だ。シャドウクローン。カオスナイトが生み出す、闇の複製体。前世では最大5体だった。だが、今回は何体いる。

 

数えられない。闇の中では、気配だけが頼りだ。その気配が、四方八方から迫ってくる。

 

「全員、背中を合わせろ!」

 

ユイが命じた。

 

「円陣を組め! 外側を向いて防御態勢!」

 

声を頼りに、仲間たちが集まってくる。だが、暗闇の中での移動は困難だった。ぶつかり合い、よろめき、それでも何とか円陣を組もうとする。

 

気配が、さらに近づいた。

 

「来るぞ!」

 

カイルが叫んだ。

 

闇の中で、複数の気配が動いた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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