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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第22章 封印解除

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第179話 封印崩壊

激震が走った。

 

ユイが対策を説明している最中だった。地面が揺れ、廃墟全体が軋んだ音を立てた。

 

「何だ!」

 

レオンが叫んだ。全員が体勢を崩し、壁や柱に手をついて身を支える。

 

揺れは数秒で収まった。だが、空気が変わっていた。重く、冷たく、肌を刺すような圧迫感が廃墟全体を包んでいる。

 

「地震……じゃないですわね」

 

リリアが青ざめた顔で呟いた。

 

「封印陣だ」

 

ユイは即座に判断した。廃墟の奥へ走り出す。仲間たちが後に続いた。

 

通路を駆け抜け、大広間に飛び込む。そこで、ユイは足を止めた。

 

封印陣が崩れ始めていた。

 

昨夜見た時とは比較にならない。亀裂が陣全体に広がり、光が制御を失ったように明滅している。青白い光と赤い光が混ざり合い、不吉な輝きを放っていた。

 

「何が起きた……」

 

カイルが息を呑んだ。

 

「封印が、解けますわ!」

 

リリアが叫んだ。彼女の目は陣の中央に向けられている。そこでは光が渦を巻き、亀裂から闇が漏れ出していた。

 

ザークスが剣に手をかけた。フィンとグレンも武器を構える。レオンは前に出て、陣を睨みつけた。

 

「これが、お前の言っていた」

 

「ああ」

 

ユイは短く答えた。予想より早い。何かが起きた。誰かが、封印を壊した。

 

考えている暇はなかった。

 

「全員、下がれ!」

 

ユイが叫んだ瞬間、封印陣の中央が砕けた。

 

光が弾け、衝撃波が広がる。全員が後方に吹き飛ばされた。ユイは地面を転がりながらも、視線を陣から離さなかった。

 

陣の中央に、巨大な亀裂が走っている。その亀裂から、闇が噴き出していた。液体のように、煙のように、実体があるのかないのか分からない黒い靄が、大広間を侵食していく。

 

「光を!」

 

リリアが杖を掲げた。光魔法が発動し、白い輝きが闇を押し返そうとする。だが、効果は薄い。闇は光を飲み込み、さらに広がっていった。

 

「効かない……」

 

リリアの声が震えた。

 

「まだだ。今は抑えるだけでいい」

 

ユイが言った。立ち上がり、短剣を抜く。周囲の仲間たちも体勢を立て直していた。

 

カイルが盾を構える。セイラが双剣を抜いた。ハンスが前に出て、石壁を展開する準備をする。エルザは影に溶けるように姿を消し、アイリスとセリスは後方で警戒態勢を取った。

 

ブレイズウォールも動いていた。レオンが炎を纏い、ザークスが剣を抜く。フィンとグレンが左右に散開した。

 

11人の視線が、陣の中央に集中した。

 

闇が渦を巻いている。その中心で、何かが形を成そうとしていた。

 

「来るぞ」

 

レオンが低く言った。

 

闇が膨れ上がった。大広間の半分を覆うほどの黒い靄が、中央に向かって収束していく。まるで、何かを生み出すために力を集めているかのように。

 

ユイは息を殺して見つめた。前世の記憶が蘇る。あの時と同じだ。カオスナイトが顕現する直前の、この圧倒的な存在感。だが、何かが違う。前世で感じた時よりも、遥かに重い。

 

「ユイさん」

 

カイルが隣に立った。盾を構え、ユイを守るように。

 

「大丈夫だ」

 

ユイは答えた。だが、声が僅かに震えていた。

 

闘の収束が終わった。黒い靄が一点に凝縮され、人型を形作っていく。最初は輪郭だけ。次に四肢が生まれ、頭部が形成され、全身に鎧のようなものが纏わりついた。

 

3メートルを超える巨躯。闇を纏った重厚な鎧。背中には外套のように影が揺らめき、右手には巨大な剣が握られている。

 

そして、顔があるべき場所に、2つの光が灯った。

 

深紅の光。

 

人間の瞳ではない。感情も、意思も読み取れない。ただ、圧倒的な力だけを宿した、赤い光。

 

「あれが……」

 

フィンが声を震わせた。

 

「幻モンスター」

 

ザークスが呟いた。

 

カオスナイトは動かなかった。ただそこに立ち、深紅の双眸で周囲を見渡している。品定めをするように。獲物を選ぶように。

 

ユイは短剣を握り締めた。手のひらに汗が滲む。心臓が激しく打っている。

 

前世で戦った時のことを思い出す。あの時は、一人だった。仲間はいなかった。それでも、辛うじて勝った。

 

だが、今は違う。

 

今は、仲間がいる。

 

闇の中から、赤い光が2つ、こちらを見つめていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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