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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第22章 封印解除

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第177話 朝の異変

夜明けが来た。

 

空が白み始める頃、ユイは全員を起こした。

 

「話がある」

 

短い言葉だけを告げて、焚き火の周りに仲間たちを集めた。ブレイズウォールのメンバーも、ユイの様子を見て集まってきた。

 

「どうした、朝っぱらから」

 

レオンが低い声で問う。

 

ユイは全員の顔を見渡した。クロウフォールの仲間7人。ブレイズウォールの4人。11人の視線が、ユイに集中している。

 

「昨夜、封印陣を見てきた」

 

ユイは淡々と報告した。

 

「ひび割れが広がっていた。光が脈打っていた。封印が、もうすぐ解ける」

 

沈黙が広がった。

 

リリアが息を呑んだ。カイルの顔が強張る。セリスが不安そうにユイを見つめた。

 

「もうすぐ、とは」

 

ザークスが確認するように問うた。

 

「今日かもしれない。明日かもしれない。だが、数日以内には確実に解ける」

 

「根拠は」

 

「亀裂の広がり方。光の強さ。脈動の間隔。全てが、限界に近づいている兆候だ」

 

ユイは冷静に答えた。

 

だが、心の中は違った。前世の記憶が、警告を発している。封印から解放されたカオスナイトは、予想以上に強い可能性がある。

 

「なら、解ける前に叩く」

 

レオンが即座に言った。

 

「封印が解ける前に、中に何があるか確認して、潰す。それが最善だろう」

 

「待て」

 

ユイが制した。

 

「今の状態で挑めば、全滅する」

 

「何だと」

 

レオンの目が鋭くなった。

 

「封印の下にいるのは、カオスナイトだ。幻モンスターの一体。昨日も言った」

 

「だから何だ。俺たちは12人いる。力を合わせれば」

 

「相手は単なる強敵じゃない」

 

ユイはレオンの視線を真っ直ぐに受け止めた。

 

「闇の領域を展開すれば視界が奪われる。分身を出されれば数の優位が崩れる。魔力を吸収されれば、魔法が使えなくなる。正面から挑んでも、押し切られる」

 

「なら、どうしろと言うんだ」

 

「対策を練る。光魔法で闇を弱める準備。本体を見極める方法。短期決戦で核を砕く手順。全てを整えてから戦う」

 

レオンは舌打ちした。

 

「悠長すぎる。その間に封印が解けたらどうする」

 

「解けても、すぐには動かない。幻モンスターは顕現直後に力が不安定になる傾向がある」

 

「傾向? 推測で作戦を立てるのか」

 

「推測じゃない」

 

ユイは言葉を切った。

 

言いたいことは山ほどあった。前世で戦った経験。カオスナイトの弱点を見極めた方法。一人で勝つまでにどれだけの時間がかかったか。

 

だが、それは言えない。

 

「……知識だ。確かな知識に基づいている」

 

「知識? どこで得た」

 

「答えられない」

 

レオンの表情が険しくなった。

 

「お前はいつもそうだ。肝心なことは何も言わない。自分だけが何かを知っていて、俺たちには教えない」

 

「今は話す時じゃない」

 

「いつまでそれを言う」

 

レオンが一歩前に出た。

 

「臆病者め」

 

その言葉が、空気を凍らせた。

 

カイルが身を乗り出そうとした。フィンが目を見開く。ザークスが「レオン様」と呼びかけようとした。

 

「……黙って聞け」

 

静かな声が響いた。

 

セイラだった。

 

彼女はレオンとユイの間に立ち、レオンを真っ直ぐに見据えた。

 

「臆病者? 違う」

 

セイラの声は低く、芯があった。

 

「ユイの判断は、今まで外れたことがない」

 

「何?」

 

「カオスナイトに最初に遭遇した時も、ユイが撤退を決めた。あの時、強行していたら全滅していた」

 

セイラは淡々と続けた。

 

「幻モンスターの情報。封印の構造。対処法。全てユイが知っていた。私たちは、その判断で生き延びてきた」

 

「だから何だ。それは過去の話だ」

 

「過去も現在も、変わらない。ユイは正しい判断をしてきた。今回も、そうだ」

 

セイラの目は、レオンから逸らさなかった。

 

「お前が力を誇るのは勝手だ。だが、今は聞け。ユイの言葉を」

 

沈黙が流れた。

 

レオンはセイラを睨んでいた。だが、何も言い返さなかった。

 

数秒の間。

 

「……ちっ」

 

レオンは舌打ちして、視線を外した。

 

「分かった。聞いてやる。で、どうすればいい」

 

ユイは小さく息を吐いた。

 

セイラの援護に、心の中で感謝した。

 

「まず、光魔法の準備だ。リリア、どのくらいの規模で闇を弱められる」

 

「範囲と時間次第ですわ。全力なら、半径10メートルを30秒程度」

 

「それでいい。次に、分身の対処法を」

 

ユイは説明を始めた。

 

戦術を練る時間はある。

 

だが、封印が解けるまでの猶予は、どれだけ残っているか。

 

ユイには分からなかった。

 

ただ、一つだけ確かなことがあった。

 

レオンは黙った。

 

だが、納得はしていなかった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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