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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第21章 遺跡の違和感

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第175話 緊張の夜

日が落ちた。

 

廃墟の入口付近に、二つの野営地が設けられた。

 

ブレイズウォールとクロウフォール。距離を置いて、それぞれが休息を取っている。

 

焚き火の明かりが、夜の闇を照らしていた。

 

「カイル、見張りを頼む」

 

ユイが言った。

 

「了解です」

 

カイルが立ち上がり、廃墟の入口に向かった。盾を背負い、周囲を警戒する姿勢だ。

 

残りの仲間たちは、焚き火の周りで休んでいた。

 

「疲れましたわね」

 

リリアが肩を回した。

 

「封印陣の分析、かなり神経を使いました」

 

「お疲れ様です」

 

セリスが水を差し出した。

 

「ありがとう」

 

リリアは水を受け取り、一口飲んだ。

 

「でも、まだ分からないことが多いですわ。誰が封印を緩めているのか。なぜ今なのか」

 

「……考えても、今は答えが出ない」

 

エルザが短く言った。

 

「休んだ方がいい」

 

「そうですわね」

 

リリアは頷いた。

 

アイリスとセリスが先に横になった。ハンスは無言で座ったまま、目を閉じている。眠っているのか、起きているのか、分からない。

 

セイラは少し離れた場所で、空を見上げていた。

 

ユイは焚き火の傍に座り、炎を見つめていた。

 

揺れる炎。パチパチと薪が爆ぜる音。

 

静かな夜だった。

 

だが、ユイの心は落ち着かなかった。

 

11番柱が光った。

 

あの瞬間を、ユイは忘れられない。

 

グラヴォルス。

 

前世で戦い、決着をつけられなかった存在。

 

それが今、反応した。

 

何を意味しているのか。

 

考えても、答えは出なかった。

 

「おい」

 

低い声が聞こえた。

 

ユイが顔を上げると、レオンが立っていた。

 

「少し話がある」

 

「……何だ」

 

「ついて来い」

 

レオンは踵を返し、焚き火から離れた場所へ歩いていった。

 

ユイは立ち上がり、その後を追った。

 

廃墟の壁際。月明かりが、二人の姿を照らしている。

 

「お前、何を知っている」

 

レオンが単刀直入に問うた。

 

「さっきも聞いた」

 

「答えなかっただろう」

 

「今も答えない」

 

レオンの目が細くなった。

 

「俺を信用していないのか」

 

「信用の問題じゃない」

 

ユイは静かに答えた。

 

「今は、話す時じゃない」

 

「話す時じゃない?」

 

「ああ」

 

「いつなら話すんだ」

 

「分からない」

 

レオンは舌打ちした。

 

「お前は本当に理屈っぽいな」

 

「よく言われる」

 

「褒めていない」

 

「分かっている」

 

沈黙が流れた。

 

月明かりの下、二人は向き合っていた。

 

「カオスナイトの情報」

 

レオンが口を開いた。

 

「あれは、本で読んだ知識じゃないだろう」

 

「……」

 

「お前、実際に戦ったことがあるのか」

 

ユイは答えなかった。

 

だが、沈黙が答えになっていた。

 

レオンの目が、わずかに見開かれた。

 

「戦ったのか。幻モンスターと」

 

「……答えられない」

 

「答えられない、か」

 

レオンは腕を組んだ。

 

「最下位のクラウンが、幻モンスターと戦った経験がある。おかしな話だな」

 

「おかしいと思うなら、それでいい」

 

「俺は事実を知りたいだけだ」

 

「今は話せない」

 

ユイは繰り返した。

 

「確証がないことは言えない。それだけだ」

 

レオンは黙ってユイを見つめた。

 

数秒の沈黙。

 

「……いいだろう」

 

レオンは背を向けた。

 

「だが、何かあったら俺にも教えろ」

 

「何か、とは」

 

「カオスナイトが出てきた時だ」

 

レオンは肩越しに振り返った。

 

「お前の知識が必要になるかもしれない。その時は、惜しまず出せ」

 

「……分かった」

 

ユイは短く答えた。

 

レオンは頷き、自分の野営地へ戻っていった。

 

ユイはその場に立ち尽くしていた。

 

信用の問題じゃない。

 

そう言った。

 

だが、本当にそうだろうか。

 

仲間にも、レオンにも、何も話していない。

 

11番柱のことも。前世のことも。

 

ユイは、一人で抱え込んでいる。

 

それが正しいのかどうか、分からなかった。

 

ユイは焚き火の方へ戻った。

 

夜が更ける。

 

廃墟の奥では、封印陣が微かに脈打っていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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