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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第21章 遺跡の違和感

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第170話 廃墟の入口

森を抜けた先に、それはあった。

 

崩れかけた石壁。蔦に覆われた柱。かつて何かの建造物だったであろう残骸が、木々の間に佇んでいる。

 

廃墟だ。

 

ユイは足を止め、その光景を見つめた。

 

以前、クロウフォールがここを訪れたのは数ヶ月前のことだ。あの時はカオスナイトと遭遇し、撤退戦を行った。ハンスの石壁はひび割れ、カイルの盾は凹んだ。全員が命からがら逃げ延びた場所だ。

 

「……ここだ」

 

セイラが低く呟いた。

 

「覚えている。この場所」

 

「ああ」

 

ユイは頷いた。

 

だが、何かが違う。

 

前に来た時とは、様子が変わっている。

 

「アイリス」

 

「うん、見てくる」

 

アイリスが低空飛行で廃墟の周囲を偵察に向かった。残りの7人は、入口の手前で待機する。

 

「前より……荒れていますわね」

 

リリアが周囲を見回した。

 

「草が踏み荒らされています。最近、誰かが出入りした形跡ですわ」

 

「ブレイズウォールか」

 

カイルが言った。

 

「先に到着してるんですね」

 

「……それだけじゃない」

 

エルザが地面を見つめていた。

 

彼女はしゃがみ込み、土の上に残された痕跡を指でなぞった。

 

「足跡が複数ある。4人以上。だが……」

 

「だが?」

 

「古いものと、新しいものが混在している」

 

エルザは立ち上がり、廃墟の入口を見つめた。

 

「ブレイズウォールだけじゃない。他にも誰かが来ていた」

 

その言葉に、ユイの目が細くなった。

 

他にも誰かが。

 

依頼が出される前から、この場所に出入りしていた者がいる。

 

アイリスが戻ってきた。

 

「ユイ、中に人がいるよ」

 

「ブレイズウォールか」

 

「たぶん。4人くらいの気配。廃墟の奥の方にいる」

 

「他には」

 

「他には……いないと思う。でも、変なものを見つけた」

 

アイリスの表情が曇った。

 

「奥の方から、光が漏れてる。薄い、青白い光」

 

「光?」

 

「うん。前に来た時には、なかったよね」

 

ユイは黙って廃墟を見つめた。

 

前に来た時には、なかった。

 

あの時、クロウフォールはカオスナイトと戦い、命からがら撤退した。だが、この光は見ていない。

 

だが、今は違う。

 

奥から光が漏れている。それは、何かが変わったことを意味している。

 

「入るぞ」

 

ユイの言葉に、全員が頷いた。

 

隊列を組み直し、廃墟の中へ足を踏み入れる。

 

内部は薄暗かった。崩れた天井から差し込む光が、埃っぽい空気を照らしている。床には瓦礫が散乱し、壁には蔦が這っていた。

 

だが、その中に新しい足跡があった。

 

複数の靴跡が、奥へ向かって続いている。

 

「……最近のものだ」

 

エルザが足跡を確認した。

 

「土が乾いていない。数時間以内」

 

「ブレイズウォールだな」

 

カイルが言った。

 

「急いでいたようですわね」

 

リリアが足跡の間隔を見て呟いた。

 

「歩幅が広い。走っていたか、早足だったか」

 

「……何かを見つけたのか」

 

セイラが低く言った。

 

ユイは頷き、足跡を追って奥へ進んだ。

 

廃墟の内部は、迷路のように入り組んでいた。崩れた壁が通路を塞ぎ、瓦礫が道を狭めている。だが、足跡は確かに続いていた。

 

やがて、光が見えてきた。

 

青白い、淡い光。

 

通路の奥から漏れている。

 

ユイは足を止め、仲間たちに合図を送った。

 

全員が息を潜める。

 

光の先には、広い空間があった。かつては大広間だったのだろう。天井は半分崩れ、空が見えている。

 

その中央に、ブレイズウォールの4人がいた。

 

レオン、ザークス、フィン、グレン。彼らは何かを見つめている。

 

そして、彼らの視線の先に、それがあった。

 

床に刻まれた巨大な紋様。

 

複雑な幾何学模様が、石の床一面に広がっている。その紋様が、青白い光を放っていた。

 

ユイの胸に、冷たいものが走った。

 

前世の記憶が、警鐘を鳴らしている。

 

この紋様。この光。

 

見覚えがある。

 

だが、前に来た時には、ここにこんなものはなかった。

 

「あの光……」

 

リリアが息を呑んだ。

 

「魔法陣だ」

 

ユイは静かに言った。

 

魔法陣。それも、ただの魔法陣ではない。

 

あの規模、あの複雑さ。

 

何かを封じるための陣だ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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