↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第21章 遺跡の違和感

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
167/208

第168話 3位と最下位

依頼の受付を済ませ、ユイたちがギルドを出ると、まだブレイズウォールの姿があった。

 

ギルド前の広場。レオンが腕を組んで立ち、ザークスが何か報告している。フィンとグレンは少し離れた場所で待機していた。

 

「……まだいたのか」

 

アイリスが小声で呟く。

 

「先に出るって言ってたのに」

 

「装備の最終確認でしょう。長期の調査依頼ですもの」

 

リリアが冷静に分析した。

 

ユイは足を止めなかった。ブレイズウォールの横を通り過ぎようとする。

 

「最下位」

 

レオンの声が飛んできた。

 

ユイは立ち止まり、振り返る。

 

「また会ったな」

 

レオンが近づいてくる。金色の瞳が、真っ直ぐにユイを見据えていた。

 

「さっきの続きだ。お前たち、なぜこの依頼を選んだ」

 

「……答える義務はない」

 

「義務の話はしていない」

 

レオンの声が低くなる。

 

「俺が聞いているんだ」

 

威圧。3位のクラウンとしての圧力が、空気を重くする。

 

カイルが一歩前に出た。

 

「ユイさんが答えたくないと言っているんです。それ以上は——Loss」

 

「黙れ、盾役」

 

レオンの一言で、カイルの言葉が遮られた。

 

「お前に聞いていない」

 

「……っ」

 

カイルが歯を食いしばる。ユイが片手を上げ、彼を制した。

 

「目的が違うなら、別々に動けばいい」

 

ユイは静かに言った。

 

「同じ依頼でも、求めるものが違う。そうだろう」

 

「目的?」

 

レオンが眉を上げた。

 

「お前らの目的は何だ」

 

「……」

 

ユイは答えなかった。

 

沈黙が流れる。レオンの目が細くなった。

 

「答えない、か。二度目だな」

 

「答える必要がない」

 

「必要がない?」

 

レオンが一歩近づいた。

 

「最下位のくせに、随分と偉そうだな」

 

その言葉に、セイラが動いた。

 

一歩前に出て、レオンとユイの間に立つ。氷青色の瞳が、冷たくレオンを見上げた。

 

「……邪魔だ」

 

セイラの声は低く、静かだった。だが、その一言には明確な拒絶が込められている。

 

レオンの目が、わずかに見開かれた。

 

「お前……ドラコニアか」

 

「……氷竜の血だ」

 

「炎竜の俺と、氷竜か。面白い」

 

レオンの口元に、かすかな笑みが浮かんだ。だが、それは好戦的なものではなかった。

 

「いい目をしている。最下位にしておくには惜しいな」

 

「……興味ない」

 

セイラは短く返した。

 

その時、ザークスが進み出た。

 

「レオン様」

 

「何だ」

 

「時間の無駄です。我々の目的は異常の排除。彼らと言い争っている場合ではありません」

 

ザークスの声は丁寧だが、硬い。レオンの暴走を止める役割を、彼は的確に果たしていた。

 

レオンは舌打ちした。

 

「……分かっている」

 

彼はユイから視線を外し、踵を返した。

 

「いいだろう。先に行く」

 

数歩歩いて、肩越しに振り返る。

 

「だが、邪魔はするなよ。足手まといは置いていく」

 

「……了解した」

 

ユイは短く応じた。

 

レオンは鼻を鳴らし、仲間たちに合図を送った。

 

「行くぞ」

 

ブレイズウォールが動き出す。4人の姿が、北門の方角へ消えていった。

 

広場に残されたクロウフォールの8人。

 

「……感じ悪いですね」

 

セリスが眉をひそめた。

 

「3位ってだけで、あんな態度……」

 

「実力があるのは事実ですわ」

 

リリアが静かに言った。

 

「ブレイズウォールは討伐実績で評価されているクラウンです。レオン・ドラグナー個人の戦闘力は、王都でもトップクラスと言われています」

 

「だからって……」

 

「セリス」

 

ユイが名を呼んだ。

 

「気にするな。あれが彼のやり方だ」

 

「でも——」

 

「私たちは私たちのやり方で動く。それでいい」

 

セリスは口をつぐんだ。ユイの言葉には、反論を許さない静かな力があった。

 

「……ユイ」

 

エルザが近づいてきた。

 

「同じ場所に向かっている。鉢合わせは避けられない」

 

「ああ」

 

「どうする」

 

「……向こうの目的は異常の排除だ」

 

ユイは北門の方角を見つめた。

 

「私たちの目的は、異常の原因を突き止めること。重なる部分はあるが、同じではない」

 

「棲み分けができる、と?」

 

「できなければ、その時に考える」

 

エルザは小さく頷いた。

 

「……了解」

 

ユイは仲間たちを見回した。

 

「出発する。準備はいいか」

 

「はい!」

 

カイルが応じる。他の全員も頷いた。

 

ユイは歩き出した。

 

同じ場所。同じ依頼。だが、求めるものは違う。

 

レオンは力で解決しようとする。異常があれば排除する。それが彼のやり方だ。

 

だが、ユイは知っている。

 

北の森には、力だけでは解決できない何かがある。

 

以前、撤退を選んだ理由。あの時感じた異様な気配。

 

答えは、あの森の奥にある。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

少しでも「面白い」「続きが気になる」と感じていただけましたら、

ブックマーク・評価・感想などで応援していただけると、とても励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。