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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第20章 最下位の名前

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第166話 報告そして次へ

拠点に戻ると、全員が食堂に集まった。


窓から夕日が差し込んでいる。8人がテーブルを囲む。誰も口を開かない。今日起きたことを、それぞれが整理している。


ユイが最初に口を開いた。


「今日、ランキングを確認した」


全員の視線が集まる。


「クロウフォールは最下位だ」


カイルが頷いた。


「知ってます。掲示板で見ました」


「ブレイズウォールのリーダー、レオン・ドラグナーに絡まれた。3位のクラウンだ」


「あの人、結構怖かったですね」


「怖くはない。ただ、私たちを見ていた」


ユイはテーブルの上に手を置いた。


「ラスティのゼックも来た。4位だ。あいつも、私たちを見ていた」


リリアが静かに言った。


「上位のクラウンが、最下位の私たちに興味を持っている。それは、良いことなのでしょうか」


「分からない。だが、見られているのは事実だ」


ユイは全員を見渡した。


「ここで、方針を確認したい」


セイラが視線を向ける。エルザが腕を組む。ハンスが黙って待つ。


「クロウフォールの目的は、ランキングを上げることじゃない」


ユイは言葉を選びながら続けた。


「私たちの目的は、幻モンスターの真実に辿り着くこと。15本の柱の謎を解くこと。空白の地点で何が起きているのかを知ること」


カイルが頷く。


「俺もそう思います」


「ランキングは、活動の結果として動くものだ。上位を目指して動くのではなく、謎を追った結果として順位が変わる。それでいい」


リリアが穏やかに言った。


「私はユイの判断に従いますわ。最初からそう決めています」


「リリア」


「信じていますから」


アイリスが手を挙げた。


「私も賛成。ランキングとか、正直どうでもいいし。面白い方がいい」


セリスも頷く。


「私も、ユイさんについていきます」


エルザが短く言った。


「……同じだ」


ハンスが低い声で続ける。


「……謎を追う。それが目的なら、異論はない」


セイラは何も言わなかった。ただ、静かにユイを見ていた。


その視線に、否定はない。


ユイは小さく息を吐いた。


「もう一つ」


全員が待つ。


「私たちは最下位だ。誰もが見て、弱いと判断する」


「それは……」


カイルが言いかけた。ユイが続ける。


「だから、見える」


「見える?」


「上位のクラウンは常に注目されている。アイアンクロスが動けば、ギルドも国家も反応する。ブレイズウォールが依頼を受ければ、他のクラウンも警戒する」


ユイはテーブルを見つめた。


「だが、最下位は違う。誰も警戒しない。誰も注目しない。だから、自由に動ける」


リリアが目を細めた。


「空白の地点への遠征も、誰にも邪魔されなかった」


「そうだ。最下位だったから、誰も気にしなかった」


セイラが低く呟いた。


「……弱いと思われていることが、武器になる」


「その通りだ」


ユイは立ち上がった。


「私たちは最下位だ。だから、見える。上から見下ろされているからこそ、上が見えない場所が見える」


全員が黙って聞いていた。


「次の目標は、白紙の謎を解くこと。15本の柱の意味を知ること。そして、消えた冒険者たちがどこへ行ったのかを突き止めること」


カイルが拳を握った。


「俺は守ります。ユイさんが謎を追う間、俺が全員を守ります」


「頼りにしている」


ユイは小さく笑った。


「行くぞ。最下位のまま、誰も見ていない場所へ」


全員が頷いた。


夕日が窓から差し込み、8人の影がテーブルに落ちていた。


-----


同じ頃。


王都の裏路地。


ザインは壁に背を預け、空を見上げていた。


報告書は提出した。虚偽の報告書だ。空白の地点への到達は、記載していない。


上司は気づいていない。信頼しているからだ。


だが、ザインの心は決まっていた。


ユイ・セイラス。


18歳の冒険者。だが、動きが違う。判断が速い。そして今日、3位のレオン・ドラグナーと睨み合い、一歩も引かなかった。


あの少女は、何かの鍵だ。


封印。幻モンスター。15本の柱。すべてが繋がっている。そして、ユイ・セイラスはその中心にいる。


組織には報告しない。上司にも言わない。


独自に追う。


ザインは壁から離れた。


ミラとドレイクは、東の山脈の封印を調査している。次の段階の準備だ。


だが、ザインの興味は別の場所にある。


ユイ・セイラス。あの少女が何者なのか。何を知っているのか。なぜ、あの目をしているのか。


理由は後から見つければいい。今は、動くことが先だ。


ザインは歩き出した。


夕闘の中、その影が路地の奥へ消えていく。


第20章 完

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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