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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第19章 空白の先で、何かが待っていた

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155/199

第155話 開けた場所

樹木を抜けると、空が広がった。


石の広場だった。


雑草は生えているが、形は保たれている。円形に近い。直径30メートルほど。周囲を木立が囲み、ここだけが切り取られたように開けている。


地面は石畳。隙間を苔が埋めているが、石そのものは崩れていない。人の手が入った跡がある。最近ではない。だが、完全に放置もされていない。


「落ち葉が端に寄せられている」


アイリスが広場の縁を指す。


確かに一箇所に集められている。風で溜まった形ではない。掃いた跡だ。


「直近で誰かがいた」


エルザが低く言う。


「ただし今は無人」


全員が広場を見渡す。人影はない。動くものもない。風だけが抜ける。鳥の声もない。


「……静かすぎる」


セイラが呟く。


ユイは中央へ視線を向けた。


柱が立っている。


1本ではない。複数。等間隔に並ぶ石柱。高さは2メートル弱。灰色。装飾はない。


「数えるか」


カイルが一歩出ようとする。


「待て」


ユイが制する。


「まず外縁を確認する。アイリス、エルザ、周囲を見ろ。ハンス、カイル、入口を押さえろ。リリア、セリス、セイラ、ここで待機」


「了解」


「……承知」


アイリスとエルザが散る。ハンスとカイルが木立の入口へ。残り4人が中央付近に留まる。


ユイは動かず、柱の配置を目で追う。


15本。


3列、5本ずつ。規則的だ。意図がある。


「15本ありますね」


セリスが小声で言う。


「等間隔ですわ。計算されています」


リリアが続ける。


セイラは無言で柱を見ている。


やがてアイリスとエルザが戻る。


「外縁に異常なし。ただ踏み跡が一点に集中してる場所がある。定期的に誰かが来てる」


「……管理されている」


エルザが言う。


「落ち葉、踏み跡。放置ではない」


ユイは頷いた。


誰かがこの場所を維持している。


「中央へ行く」


石畳を踏む音が響く。自分たちの足音だけだ。


柱に近づく。


表面に刻まれた文字が見える。古い。だが風化していない。読めない。


「文字がある」


カイルが手を伸ばしかけ、止める。


「触っていいですか」


「慎重にだ」


カイルが指先で石に触れる。


「冷たい。でも普通の石みたいです」


リリアが別の柱を観察する。


「古代語系に近いですが、私の知る体系とは違います。エルフの文字でもありません」


「読めないのか」


「読めません。形は似ていますが、配列が異なります」


エルザが指先でなぞる。何も起きない。


ハンスが柱の太さを測る。


「……古い。だが削れていない」


「どういう意味だ」


「数百年は経っている石だ。だが角が丸くなっていない。風雨の痕跡が弱い」


セリスが水晶杖を向ける。


「感知します」


目を閉じる。


「何かあります。でも触れられない。そこにあるのに、掴めない」


「封印か」


「分かりません。ただ、普通の石ではありません」


15本の石柱。


誰も読めない文字。


規則正しい配置。


カイルが全員を見る。


「カオスナイトって、幻モンスターだったよな」


空気が変わる。


「ここに柱が15本ある。そういうことじゃないか」


誰も答えない。


ユイは柱を見つめたまま、動かなかった。

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