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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第17章 隠していた荷物を、床に置く

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第141話 謝る

全員が地図を見終えた後、しばらく誰も口を開かなかった。


食堂の灯りが壁に影を作っている。王都の夜の音が遠くから届く。馬車の音。風の音。拠点の中は静かだ。7人がテーブルを囲んだまま、それぞれが何かを考えている。


ユイは立ったまま、地図の上に置いた自分の手を見ていた。ここまで言った以上、もう引き返せない。抱えたまま進む道は選ばないと決めた。


もう一度、口を開く。


「謝る」


静寂が落ちた。


カイルが少し姿勢を正す。アイリスが腕を組んだまま視線を向ける。エルザが背もたれから体を起こす。ハンスは前を向いたまま動かない。セリスが顔を上げる。セイラが地図から目を離す。リリアが静かにユイを見る。


「最初に気づいた時から話すべきだった。話せる状況はあった。それを選ばなかった。仲間として、それは間違いだった」


理由は付けない。言い訳もしない。ただ、間違いだったと言う。


胸の奥がわずかに軽くなる。だが、それは許されたからではない。自分で選び直したからだ。


最初に応えたのはカイルだった。


「……謝罪は受け取りました」


真剣な声だ。いつもの勢いはない。重さを持って受け取ったという声音。


アイリスがすぐに続く。


「謝罪よりも、これからの話がしたい」


真っ直ぐだ。


「地図の空白の先、どうするつもり」


「装備が揃ったら動く。全員で」


即答だった。


アイリスは少し間を置く。


「じゃあいい」


それだけだ。条件が揃えば動く。全員で行く。それが分かれば十分。


エルザが立ち上がる。


椅子を引く音が食堂に響く。全員が視線を向ける。


「向こうへ行くなら、俺も行く」


短い。理由も説明もない。ただ行くと言った。


ハンスが無言で頷く。重い動作だが、迷いはない。


セリスが顔を上げる。目は揺れていない。


「一緒に行きます」


声は柔らかいままだが、芯がある。不安よりも先に、同行の意思が出ている。


セイラは何も言わない。


一度だけユイを見る。視線が合う。そこに問いはない。ただ確認がある。それだけで十分だというように、再び地図へ目を戻す。


リリアがユイを見る。


その目が、今夜初めてはっきりと温度を帯びる。責めてもいない。許してもいない。ただ、同じ方向を見ようとする静かな決意がある。


それでも、まだ何も言わない。


ユイは7人を見渡す。


受け取られた。前を向くと言われた。行くと言われた。頷かれた。一緒に行くと言われた。無言の同意があった。静かな決意があった。


一人で抱える選択は、もうここにはない。


「装備が完成したら、全員で動く。地図の空白の先へ。今分かっていることは今日話した全部だ。それ以上はまだない」


「わかりました」


カイルが答える。


「了解」


アイリスが短く言う。


エルザが椅子に座り直す。ハンスは静かに息を吐く。セリスが小さく頷く。セイラは何も言わない。リリアは視線を落とし、ゆっくりと瞬きをした。


食堂の空気が変わっていた。


重さは残っている。だが、さっきとは違う。前を向いた重さだ。


ユイは地図を畳む。


今夜、やっと同じ場所に立てた。

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