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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第17章 隠していた荷物を、床に置く

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第138話 鋼鉄の爪亭で、預ける

王都に戻ったのは夕方だった。


全員で荷をほどき、素材の状態を確認する。火精核と雷結晶、最後の2点だ。破損はない。輸送中に問題はなかった。


「行くぞ」


ユイが言い、全員がついてきた。


鋼鉄の爪亭へ向かう道は短い。王都の中心から少し外れた一角に、工房の看板がある。金属を叩く音がいつもならここまで届いているが、今日は静かだ。


扉を開けると、ゴードンがカウンターの奥で何かを研いでいた。


「来たか」


顔を上げずに言う。


「全部揃った」


ユイがカウンターに素材を並べ始める。


1点ずつ置いていく。魔石、硬鱗、鋭牙、魔核、硬岩、魔獣皮、再生石、氷精核、火精核、雷結晶。


10点が並んだ。


ゴードンが手を止める。カウンターに近づき、素材を1点ずつ手に取った。魔石を指の腹で触れ、重さを確かめる。硬鱗を光にかざし、表面を見る。鋭牙を爪で叩き、音を聞く。魔核を握り、密度を確かめる。


確認の動作は無言だ。急がない。1点ずつ丁寧に見ていく。


「緊張しますね……」


カイルが小声で言う。


誰も答えない。全員がゴードンの手元を見ている。


硬岩、魔獣皮、再生石、氷精核、火精核。


最後に雷結晶を手に取る。青白く光る結晶だ。光にかざし、角度を変え、表面を指で撫でる。少し間を置いた。


カウンターに戻す。


「よく揃えた」


それだけだ。褒めも貶しもしない。ただの確認。


ゴードンが10点の素材を一通り見渡す。指で1点ずつ触れながら、頭の中で何かを組み立てている。


工房の中が静まり返る。誰も口を挟まない。


「素材の数と質は分かった。お前らの装備の状態も前に見ている。どう使うか、誰に何を当てるか、俺なりに考える」


「頼む」


「3日後に来い。その時に全員まとめて結果を伝える。修理と強化、どちらをどこまでやれるか、その場で説明する」


「全員連れてくる」


「ああ。8人全員だ。装備を直接確認しながら話す」


ゴードンが素材を1点ずつ丁寧に布へ包み始める。それを見届けてから、ユイは工房を後にした。


外に出ると、夕方の王都の空気が顔に当たる。溶岩帯の熱も雷原の帯電も、ここにはない。乾いた、普通の空気だ。


「ついに……」


カイルが小さく言う。


「長かったね」


アイリスが言った。


「はい」


セリスが小さく答える。


エルザは何も言わない。ただ少しだけ足の速度を落とす。ハンスは無言で前を向く。リリアは静かに工房の扉を振り返る。セイラは何も言わない。


ユイは全員を見渡す。


岩場から始まった。深森、山岳、湿原、氷洞、溶岩帯、雷原。7つのフィールドを回り、10点の素材を集めた。怪我をした。消耗した。戦術を作り直した。何度も想定が外れた。それでも全員が戻ってきた。


3日ある、とユイは思う。


装備が完成する前に、やることがある。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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