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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第17章 隠していた荷物を、床に置く

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第135話 冷える地点に、引き込め

エルザが立ち止まった。


溶岩の筋が途切れている場所だ。岩盤の色が周囲より暗く、光っていない。足元に手を当てると熱が明らかに違う。ここだけ地熱が低い。溶岩が流れていない分、地面が冷えている。


「ここか」


ユイが確認する。


「……ああ」


「セイラ、試せるか」


セイラが足元の岩に手を触れた。少し間を置いてから答える。


「……ここなら通る。地熱が低い分、冷却が殺されない」


「わかった。ここで仕留める」


問題は誘導だ。エレメンタルを200メートル後方からこの地点まで引き込む必要がある。距離がある。途中で方向を見失われると使えない。


「アイリス、エルザ、2体をここまで引いてこい。途中で見失うな」


「わかった」


アイリスが短く言う。


エルザはすでに来た道を戻り始めている。2人が並び、エレメンタルの方向へ向かった。


残った6人が地点の周囲に散る。


「カイル、ハンスは誘導が来たら即座に打撃に入れる位置に。セイラは中央。リリアは右後方から光を当てる準備。セリスは後衛で待機」


「はいっ」「……わかった」「了解ですわ」「えっと、わかりました」


それぞれが位置を取った。


ユイは正面を見る。岩の向こうで熱波が揺れている。エレメンタルの気配がある。アイリスとエルザはまだ戻らない。


待つ。


その間、セリスが小声で聞いた。


「……うまくいきますか」


「やってみないとわからない」


「そうですね」


セリスは頷いて口を閉じた。それ以上は聞かない。


足音が近づく。アイリスの軽い足音と、エルザの無音に近い足音。2つが並んで走ってくる。


「来た。2体とも」


アイリスが叫んだ。


その背後から熱波が追いかけてくる。岩の陰からフレイムエレメンタルが姿を現した。1体目、続いて2体目。2体が低地熱地帯へ踏み込んでくる。


「固定」


ユイが短く言う。


アイリスとエルザが左右に散り、挟む形を作る。エルザが地を這うように接近し、影の中に沈んだ。影潜みだ。足元から音もなく近づき、毒刃を差し込む。


エレメンタルの動きが鈍る。


「セイラ」


「……撃つ」


セイラが全力で氷槍を形成する。ここでは地熱が低い。冷却が殺されない。白い光の線が空中に引かれ、次の瞬間エレメンタルの中心部に直撃した。


今度は違った。


表面が凍りつく。動きが止まる。内部に亀裂が走る音が響く。


「今だ。打撃」


カイルが踏み込む。全体重を乗せた盾の縁を亀裂の中心へ叩き込む。ハンスのハンマーが同時に炸裂する。


崩れた。


高さ2メートルの炎の体躯が音を立てて砕け散る。岩盤の上に火精核が転がり出る。赤く光る小さな核だ。


「2体目」


ユイがすぐに声を上げる。


動きが止まっている間に同じ手順を繰り返す。エルザの毒刃。セイラの氷槍。カイルとハンスの打撃。2体目も同じように崩れた。


火精核が2つ、岩盤の上に並ぶ。


全員の呼吸が荒い。消耗は中程度。致命的な負傷はない。


夜営に入ったのは日が傾いてからだった。


エルザが焚き火から少し離れた岩に座り、遠くを見ている。ユイはその横に立つ。言葉は出ない。エルザも何も言わない。


その間が、山岳の夜とは少し違う温度を持っていた。


残りは1点だ、とユイは頭の中で確認する。


そして、その後のことをもう考え始めていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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