表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第16章 錆びた道化と師匠の嘘

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
124/131

第124話 同属性に、刃は届かない

青白い光が霧を割った。


高さ2メートルを超える体躯が、洞窟の奥から滑り出てくる。半透明の氷の巨体。腕も脚もない、ただの塊だが、移動するたびに壁の結晶が反射して複数の影が走る。アイスエレメンタルだ。


「前衛、距離をとれ。接触するな」


ユイの声に、カイルとハンスが後退した。


エレメンタルの動きは遅い。ゆっくりと前進し、その軌跡に薄い霜が積もっていく。遅いのは分かっている。問題は別のところにある。


「セイラ、一発試せ」


「……分かった」


セイラが杖を構え、氷槍を形成する。白い光の線が空中に引かれ、次の瞬間、エレメンタルの中心部に直撃した。


音がした。鈍い、吸い込まれるような音だ。


氷槍は砕けなかった。エレメンタルの体表に触れた瞬間、形を失い、そのまま吸収された。エレメンタルは一瞬だけ表面が揺れ、すぐに元の形に戻る。


「……吸収された」


セイラが低い声で言った。


全員が同じことを理解した。氷属性は通らない。同属性の攻撃を吸収している。


「カイル、一度受けてみろ。手応えを確かめるだけでいい」


「了解です」


カイルが盾を前に出してエレメンタルと距離を詰める。エレメンタルの体表が突き出すように変形し、カイルの盾を打った。カイルが踏ん張った。衝撃は大きくないが、盾を持つ腕に冷気が伝わり、肘のあたりまで痺れが走る。


「冷気が腕に来ます。凍りかけた」


素早く後退する。ハンスが加勢してエレメンタルの正面に立ちはだかり、ハンマーの柄で体表を叩く。金属が当たる感触はある。だが傷が入らない。叩いた箇所が一瞬凹み、すぐに再生した。


「岩じゃない。氷の表面が再生している」


ハンスが低く言い、再び後退した。


ユイは正面からエレメンタルの動きを観察する。遅い。接触攻撃に冷気がある。再生が速い。同属性を吸収する。それが今分かっていることだ。


「弱点は相反属性か、物理で動きを固定してからの打撃だ」


火属性は誰も持っていない。光属性はリリアが使える。物理打撃はカイルとハンス。問題は固定する手段だ。


「セリス」


「はい」


「水魔法でエレメンタルの外皮に干渉できるか。固体の氷より流水を制御する方が難しいはずだ。外皮の流動性を上げれば、動きを乱せるかもしれない」


セリスが一瞬考えた。杖を両手で持ち直す。


「……試してみます。私の水魔法で、外皮を流れにくくできるかもしれません。固体の氷より流水は制御しにくいはずで」


「やれ」


セリスが水の薄膜をエレメンタルの体表に張りつける。エレメンタルが再形成しようとする動きが、わずかに鈍った。表面の流動がゆっくりになっている。


「リリア、光魔法をエレメンタルの表面に集束させろ。急速に温度差を作れれば、内部に亀裂が入るはずだ」


リリアが射線を調整しながら答えた。


「外側を急激に温めれば、内側との膨張差で亀裂が走るはずですわ。やってみます」


リリアの光が束になり、エレメンタルの右側に当たる。エレメンタルの表面が微かに変色した。内部で何かが動く音がする。氷の割れる、細い音だ。


「亀裂が入っています」


リリアの声が少し上がった。


ユイはカイルとハンスを見た。2人が同時に頷く。


「固定して打撃。これが通る」


ユイが短く言い、カイルとハンスが同時に前へ踏み込んだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

少しでも「面白い」「続きが気になる」と感じていただけましたら、

ブックマーク・評価・感想などで応援していただけると、とても励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ