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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第15章 泥の底に、何かが沈んでいる

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第116話 泥の中の核

セリスが先頭を歩く。


水晶の杖を胸の前に持ち、視線を水面に向けながら進む。いつもとは違う歩き方だった。周囲の音ではなく、足元から伝わる何かを読んでいるような、そういう集中の仕方だ。


ゴーレムが姿を現した。


霧の中から盛り上がり、泥を滴らせながら立ち上がる。着地の衝撃で泥が飛ぶ。全員が反射的に構えを取った。


「カイル、前」


「行きます!」


カイルが盾を構えてゴーレムの正面へ出る。ゴーレムの注意がカイルに向く。腕が振り上げられた。


その間にセリスが動いた。


ゴーレムの右側へ回り込む。水面すれすれを歩きながら、杖の先を水面に向ける。目を細め、何かを追っている。


「……こっちです」


低い声で言った。


左側、ゴーレムの腰の高さ。そこを指した。


「リリア」


「分かりましたわ」


リリアが長杖を構える。水魔法の術式が展開され、ゴーレムの表面に向けて流れが集まる。面全体ではなく、セリスが指した一点に絞る。


泥が、動いた。


表面の泥が剥がれ、流れ落ちる。内部が露出し始める。灰黒色の、石のような塊が現れた。


「セイラ」


セイラはすでに構えていた。


氷槍が放たれた。


塊を貫く。


ゴーレムの動きが止まった。カイルへ振り上げていた腕が、中途半端な位置で固まる。全身がぶれるように揺れ、崩れていく。


「ハンス」


「……承知した」


ハンスが前に出る。崩れかけたゴーレムに向かい、ハンマーを振り下ろした。泥の塊が四方に飛び散り、ゴーレムが完全に崩壊する。水面に広がり、波紋が消えた。


静かになった。


全員がしばらく動かなかった。


「……終わった?」


アイリスが霧の向こうを確認しながら言う。


「終わった」


ユイが答える。


「セリスさん、すごいじゃないですか!」


カイルが振り返って言った。前回の戦闘とまったく違う決着だった。同じゴーレム系でも、戦術が噛み合えばここまで変わる。その驚きが率直に出ている。


「えっ……いつもはそういう場面じゃなかったので……」


セリスが照れたように後頭部に手を当てる。頬が少し赤い。


「今日は違いましたわ。核の位置を特定できなければ、この戦術は成立しなかった」


リリアが静かに言う。評価の言葉は飾らない。事実として述べる。


「ありがとうございます」


セリスが小さく答えた。


素材を回収する。泥核と再生石。ゴーレムの崩壊地点を探り、核の破片を回収する。泥の中に沈まないよう手順を確認しながら作業した。


2体目が現れたのは、回収の途中だった。


同じ手順で動く。セリスが核の位置を探り、リリアが泥を剥がし、セイラが割る。前回より流れが早い。全員が役割を掴んでいた。


3体目が現れた時、セリスの動きが止まった。


ゴーレムの周囲をゆっくり歩きながら、杖の先を水面に向ける。いつもより時間がかかる。


「……感じが違います」


「どう違う」


「核の位置が、さっきと違う場所にある気がして。いつもより上……たぶん、胸の真ん中あたりです」


「確信か」


「……7割くらいです」


正直な答えだった。ユイは少し考える。7割で動くか、慎重に確認を取るか。


「やれ。外れたら修正する」


「はい」


セリスが決めた場所をリリアに伝える。水流が集中する。泥が剥がれ、今度は上部から核が現れた。セイラの氷槍が貫く。3体目が崩れた。


アイリスが周囲の索敵に移った。


湿原の奥の方へ足を向け、葦の茂みを抜けていく。しばらくして戻ってきた。


いつもなら「異常なし」か「次の目標はこっち」と言う。


今回は違った。


「ねえ、ちょっと来てほしいんだけど」

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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