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イルグラード(VR)  作者: だる8
第三章 上位職を求めて
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第89話 黒衣のゴブリン

 岩魔鷲(ロックイーグル)の大群を制圧して鬼人(グレン)と別れたあとは、特に厳しい戦闘も無くオレと(ガドル)は安定して素材採集を続けることが出来ていた。


 それでも時折岩魔鷲(ロックイーグル)は飛来してくるし、地上ではゴブリンの上位種に襲われることもあったが、オレ達が窮地に陥ることはなかった。

 むしろ、岩魔鷲(ロックイーグル)などは『鳥の羽』を大量にドロップしてくれるので、オレに取っては素材採集となんら変わらないため、慣れてしまったらタダの美味しい獲物にしか見えない。

 でも(ガドル)にとっての岩魔鷲(ロックイーグル)は、純粋に素材採集を邪魔してくる面倒な敵なようなので、オレが一人で撃退出来ている時は手も出さずに素材採集を続けるようになった。


 そんな感じで素材採集からのインゴット精錬を始めとして、戦闘から入手した鳥の羽と精錬したブロンズインゴットで標準弾矢(スタンダードボルト)を続々と生産を続けることで、さらにオレ達のLVは一つずつ上がった。

 しかも素材は大量に入手出来ているので、(ふところ)事情もだいぶ温かくなりそうだ。


 ちなみにオレも一つだけ聖銀(ミスリル)鉱を見つける事が出来た。

 ただ、今のオレには全く使い道がないので、(ガドル)に預けることにした。(ガドル)は頑なに買い取ると言い張っていたが、オレ達は仲間なんだからそこを変に気にされると困る。ちゃんと使える可能性が高い(ガドル)に渡しておいて後から還元して貰った方がパーティとしての利益は大きいはずだと言い聞かせた。


 ……代わりに(ガドル)の取り分としていたブロンズインゴットを大量に渡されてしまったが。


 (ガドル)によると、彼のレベルではブロンズインゴットはもう生産にほとんど使わないそうだ。オレの言う主張を当てはめるなら、標準弾矢(スタンダードボルト)に調合した方が戦力強化になると言われてしまい、言い返せなかったからだが。


 ちゃんと遠隔戦力として役に立たないとと改めて思った瞬間である。


 そんなことをしながら《ノスド採石場》を徘徊しているうちに時間が経ち、空が赤みが差し始めた頃にオレ達は帰還することに決めた。夜の戦闘のことを考えたら、暗くなる前に大人しくルーテリアに引き上げた方がいいからだ。


 帰還のために、最後に襲ってきた岩魔鷲(ロックイーグル)からドロップした鳥の羽を回収していると、ふとオレは景色に違和感を覚えた。


 『方角の目印』に……と、採石場から見えるやや遠めの景色を覚えたオレの中で、印象深く残っている(うずたか)く積もった岩石群。

 オレの記憶で岩石群(それら)があったと思っていた方角に、岩石群(それ)が見当たらなかったからである。《採石場》という『特に目印もないダンジョン』で迷ったと思ったオレは思わず(ガドル)に声を掛けた。


「ガドル!確かあそこに岩の山があったと思うんだが、オレの記憶違いか?」


 (ガドル)はオレの指した方向に視線を向けてジッと考え込んでいる。


「いやぁ、オラは周りの景色をそこまで覚えてないだ。でもファクトさんが無くなったと思うならなくなったんでないか?」

「……それはそれでマズい。本当に無くなったんだとすると、オレは採石場(ここ)の道筋と方向がよく分からん」


 オレは腕組みをして唸った。


「たぶん大丈夫だど。オラ、一応自分なりに目印をつけて進んできただ。だから出口方面へは行けるはずだ」


 なんと頼もしい(ガドル)の言葉だろう。

 その言葉に甘え、オレは(ガドル)の案内で《ノスド採石場》の入り口へ向かって歩き出した……が、その直後のことである。


 ゴオッという豪快に風を切る音と共に、オレ達の背後から不吉な音が迫ってきたのだ。


「ガドルッ!伏せろっ!」


 オレは前を歩く(ガドル)を突き飛ばしながら地面に伏せた。

 頭上を結構な熱量を持つ大火球が通り過ぎ、進行方向で着弾と共に炎上した。爆風がその大火球の威力を教えてくれる。恐らくはイクスプロージョン級の魔法である。


「じ、冗談じゃねえ!」


 オレは慌てて振り向き、大火球を放った主を確認する。


 なんと、ゴブリンの集団だった。

 そしてその全員が魔法使いらしき杖を構えている。一匹だけ明らかに周囲と異なる威厳を保った黒衣のゴブリンがおり、そいつがゴブリンの魔法集団を司っているリーダーのようだ。


「あいつかっ!」


 オレはすぐさまクロスボウに標準弾矢(スタンダードボルト)をセットすると、黒衣のリーダーゴブリン目掛けて狙い澄ませた一発を放った。


『ギャヒィィィ!』

「なんだと?!」


 オレの放った標準弾矢(スタンダードボルト)は、狙った黒衣のゴブリンでは無く隣に控えていたゴブリン魔法使い(メイジ)捉えて(・・・)いた。いや、正確に言うと黒衣のゴブリンを狙った標準弾矢(スタンダードボルト)の軌道上に、ゴブリン魔法使い(メイジ)が割り込んできたのだ。

 すぐに次弾矢をセットしたオレは、もう一度黒衣のゴブリンに狙いを定めて標準弾矢(スタンダードボルト)を発射した。すると、今度も着弾直前に付近のゴブリン魔法使い(メイジ)が吸い寄せられるように割り込んで、黒衣のゴブリンへの攻撃を邪魔したのである。もちろん邪魔したゴブリン魔法使い(メイジ)自体は倒せているのだが……。


「身代わりにしてるのか!」


 そうとしか思えない。

 自主的に庇っているというより、強制的に近くのゴブリン魔法使い(メイジ)を召喚しているように見える。敵とは言え胸くその悪い奴だ。


 オレがゴブリン達の様子を観察している合間にも、ゴブリン魔法使い(メイジ)たちから一斉に火球(ファイアーボール)が襲いかかってくる。それを確認した(ガドル)はオレの前に出ると、自慢の大盾スクトゥム火球(ファイアボール)を受け止め、弾いて見せた。やるな!(ガドル)


『ギャギャギャッ!!』


 奇声を上げるとともに黒衣のゴブリンが杖を高く掲げた。

 すると、掲げた杖の先に火球が生まれる。そして周囲のゴブリン達から魔法力のような物を集めてドンドン火球が大き(デカ)くなっていく。


 さっきの強烈な一撃は多分これだ!集団魔法……のようなものだったようだ。こいつは危険である。


「ガドル!これは回避だ!」

「もちろんだっ!」


 配下のゴブリン魔法使い(メイジ)からかき集めた力で練りあがった巨大火球ヒュージファイアボールが、黒衣のゴブリンの手によってオレ達に向かって襲いかかってきた。先ほど威力を見ているオレ達は、これを受けるわけにはいかない。

 さいわい初撃を躱す事が出来たことから、この魔法に誘導(ホーミング)性能は無さそうなので、とにかく全力で移動して回避するしかない。


 オレ達は巨大火球ヒュージファイアボールの軌道に対して直角方向へ回避することで、なんとか直撃を避ける。が、それでも着弾の爆風で吹き飛ばされたオレ達はそれなりのダメージを食らってしまう。


「痛いだよ!」

「ダメだ、回避してても勝てない!そもそも巨大火球(アレ)を撃たせたらいけないらしい!」


 オレはクロスボウに貫通弾矢(ニードルボルト)をセットした。黒衣のゴブリンが身代わり作戦を強行するなら、その弱点を突くまでだ。


「くらえっ!」


 オレの手から放たれた貫通弾矢(ニードルボルト)は、黒衣のゴブリン目掛けて真っ直ぐ飛んでいく。


『ギャギャ!』


 奇声とともに、黒衣のゴブリンは杖を掲げた。

 案の定、近くのゴブリン魔法使い(メイジ)が軌道上に召喚されるも、オレの貫通弾矢(ニードルボルト)は身代わりを貫く(・・)だけで、その奥にいる黒衣のゴブリンへと向かっていく。


『ギャギャ!』


 二体目が召喚される。

 が、同じ末路をたどっただけであり、貫通弾矢(ニードルボルト)の進行はいささかも止められない。


『ギャース!』


 結局、貫通弾矢(ニードルボルト)は周囲のゴブリン魔法使い(メイジ)を全て犠牲にしたところで威力が相殺された。

 この一撃で黒衣のゴブリンを仕留めることは出来なかったが、黒衣のゴブリンの愚策のお陰で周囲のゴブリンを一層することが出来てしまった。これであの巨大火球ヒュージファイアボールは撃てなくなった筈だ。


 残った敵は黒衣のゴブリン一体を残すのみである。


「今だ!」


 オレは再び標準弾矢(スタンダードボルト)をセットし、一匹残った黒衣のゴブリン目掛けて放った。今度こそ邪魔者なく射抜ける()である。


 しかし……


 オレの期待通りの結果にはならず、放った標準弾矢(スタンダードボルト)は黒衣のゴブリンの目の前で激しい炎を上げて燃え上がり、焼失してしまった。

 木の矢(ウッドボルト)などとは違って、いわゆる燃える(・・・)材質ではない標準弾矢(スタンダードボルト)が……である。


 どうやらオレは、黒衣のゴブリン(こいつ)の強さを見誤っていたようだ。


 明らかに単体(・・)で強い。

 周囲のゴブリンを身代わりにしていたのは、恐らく自分の力で無効化するのが面倒(・・)くさいから……。そうとしか考えられない。魔物に搭載されているAI思考は思った以上に人間くさいところがある。


 だがそんなことは些末な出来事である。

 黒衣のゴブリンは単体(・・)で、先ほどよりも更に巨大な極大火球(インフェルノ)が、今にもオレ達に襲いかからんと生成されていたからだ。


「マズいな……あの野郎、今頃やる気だしやがって」


 隣で蒼い顔をしている(ガドル)を横目に見ながら、必死に思考を回転させていた。


==========================

名前:ファクト

性別:男

種族:ドワーフ

称号:クイーンビーバスター

==========================

職業:調合士

LV:14

腕力:30 (24+ 6(STR+50%))

活力:45 (30+15(VIT+70%)+1)

敏捷:43 (33+10(AGL+70%))

器用:50 (48+ 2(DEX+50%)+1)

魔力:19

運 :20

―――――――――――――――――――――

武器:ハンティングダガー(STR+12) :即死効果50%

盾 :

サブ:クロスボウ(STR+10) :命中精度80%UP:調合士装備時

弾 :ウッドボルト(STR+5)

頭 :ハードレザーバンド(VIT+4) :VIT値+1

手 :ハードレザーリスト(DEX+4) :DEX値+1

胴 :ハードレザージャケット(VIT+12) :毒無効

下肢:ハードレザートラウザ(VIT+5/AGL+4) :クリティカル回避5%

足 :ハードレザーブーツ(AGL+10) :移動速度20%UP

―――――――――――――――――――――

所持金:

 3,540G

―――――――――――――――――――――

固有スキル

 調合

 アイテム鑑定:調合士

―――――――――――――――――――――

修練スキル

 虫の知らせ

 必中

 短刀術

―――――――――――――――――――――

レシピ

 回復薬小

 回復薬中

 毒消し薬

 麻痺治療薬

 木片

 魔力粉 ※2way

 木の弾矢(ウッドボルト)

 標準弾矢(スタンダードボルト)

 徹甲弾矢(ブレイクボルト)

 回復領域(ヒールフィールド)

 魔力障壁(マジックウォール)

 ブーストLV2

―――――――――――――――――――――

受注クエスト

 回復薬小の納品(束)350G/10個

 毒消し薬の納品(束)250G/10個

 麻痺治療薬の納品(束)300G/10個

 回復薬中の納品(束)1,500G/10個

 魔力粉の納品(束)6,500G/10個

 新作武器の材料調達

―――――――――――――――――――――

==========================

名前:ガドル

性別:男

種族:猫の獣人

称号:鍛冶マイスター:シルバー

==========================

職業:鍛冶

LV:13

腕力:31 (25+6(STR+50%))

活力:76 (30+43(VIT+70%)+3)

敏捷: 8 (15-7 (AGL+70%))

器用:46

魔力:11

運 :30

―――――――――――――――――――――

武器:アイアンハンマー(STR+10) :スタン効果10%

盾 :スクトゥム(VIT+30/AGL-10)

頭 :アイアンヘッドギア(VIT+6) :VIT値+1

手 :パワーグラブ (STR+2/VIT+4)

胴 :チェーンメイル(VIT+10)

下肢:レザートラウザ(VIT+4)

足 :アイアングリーヴ(VIT+7) :VIT値+2

―――――――――――――――――――――

固有スキル

 《鍛冶[シルバー]:付与効果小》

 《装備鑑定:鍛冶》

―――――――――――――――――――――

修練スキル

 《鉄壁》

―――――――――――――――――――――

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