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孤児院の勇者  作者: ピッピ
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40章 決戦


 きれいな朝日が地上から顔を出し、その姿全て現した頃、地平線に魔族軍が姿を現した。こちらの軍団も朝食を既に済ませ完全な戦闘態勢に入っている。今日の一戦は王国の歴史に残る一戦になる事を皆理解していた。王国が有ればの話だが。

 全軍に国王が訓示を与え、法王が祝福を与える。王国軍の士気は最高潮だ。国王も法王も自分たちの役割をよく理解して頑張ってる。


 「勇者よ、国王達がお前を見ておるぞ。何か言って欲しそうじゃぞ。」


 「分かってるよ。勇者として言ってやるよ。女神様。」


 俺はマイクを握って全軍に向かって一言喋るようにした。人前で喋るのは嫌いなのだが実は喋るのは非常に上手いのだ。昔、人前で喋る職についてたからな、まさかこんな所で役に立つとは思わなかった。

 20万人の視線が俺だけに集まる、ありったけの精神力をかき集めて視線に負けないように気合を入れるだが表情は全く変えない。全員の緊張が最高潮に達した時におもむろに全員に語り掛ける。


 「この場に立つ全ての王国兵士達よ、この王国の興廃はこの一戦にあり!各員一層奮闘努力せよ!!」


 「「「うおぉぉ~お~!!!!!!」」」


 そして俺は昨日作らせていた白地に赤のZ旗を砦に高々と掲げた。これより後のない印であるZ旗だ。願わくば日露戦争の様に勝ことを願って真似したのだ。

 全軍旗を見て益々やる気を出して怖いくらいだ。


 「何だ勇者、やれば出来るではないか。」


 「まあな。」


 「いや~おっちゃんが、又変なこと言うかと思って冷や冷やしたぜ。」


 「チチ、お前は俺の母親か!」


 さて魔王軍と戦うか、はっきり言って王国なんかどうでも良い。俺はチチとヒメの為に戦うのだ。この2人の幸せを邪魔する奴は魔王でもぶち殺すのだ。


 「ヒメ、全軍に通達!戦闘準備!」


 「了解、全軍に通達、戦闘準備!」


 魔族軍が地響きを立ててこちらに迫って来る、今回はワイバーンとドラゴンも空にいるのでにぎやかだ。特にドラゴンの姿を見た兵士達は青い顔をしていた。


 「旦那!ドラゴンが10匹もいるぜ!どうすんだ?」


 「ドラゴンがどうかしたのか?デカいトカゲだろう?空飛んでるけどな。」


 ドラゴンはこの世界では無敵に近い存在らしい。体長20メートルもあり、ブレス攻撃は50メートル近く届きおまけに空まで飛ぶのだ。

 ドラゴンを倒すには騎士団がドラゴンが寝ている隙に突撃して倒すしかないそうだ、それでもドラゴンが空に上がるとなすすべも無くブレス攻撃でやられるのだそうだ。なるほど、武士対攻撃ヘリみたいなものか。そりゃあ怖いはずだ。


 「心配するな、ドラゴンは俺が全部落としてやる。スカイスイーパーはワイバーンを狙え!」


 皆はドラゴンを見て恐怖を感じている様だが、俺からすれば100メートル程の低空をたかが100ノット程度で飛んでいるただの標的だった。遅くて鈍い標的機と同じだ、デカいので特別な機動も出来そうもないカモだ。俺はあいつ等ドラゴンの悪夢そのものだ。なにせ俺は砲兵の中でも対空に特化している砲兵、高射特科だったのだ。


 「行くぜ、爺さん!」


 ポルシェの発電機につながれたL90がその銃身を持ち上げる。35ミリ連装機関砲だ、こいつは冷戦時代地面の上を500ノットで攻撃してくる攻撃機を撃ち落とす為に作られたスイス製の兵器だ。今ではどこかの倉庫の中で静かに寝ているはずだ、今はガンタンクになったからな。昔を懐かしんでこっそり召喚していたのだ。ワイバーンを撃ち落として遊ぼうと思って。あれからワイバーンが来なくなったから倉庫の隅で埃をかぶっていたのを引っ張り出して来たのだ。


 先頭の一番デカい黒いドラゴンに直接照準で狙いをつける。弾は榴弾と徹甲弾を交互に装てんしてある。因みに徹甲弾は距離500メートルで200ミリの鋼鉄をぶち抜く威力がある。車に当たれば吹き飛ぶし榴弾がが当たれば穴だらけだ。

 悠々と飛んでいるドラゴンのやや前を狙い爺さんの発射ペダルを踏む。


 ドム!ドム!ドム!ドム!


 腹に響く轟音が砦に響き、シャンパンの瓶程ある空薬きょうが前方にまき散らされる。これが撃ちだすと地響きがして何キロも先まで発射音が聞こえるのだ。


 1キロ先のドラゴンは1秒後に着弾した35ミリ砲弾でバラバラされて落ちていった。僅か1クリップ14発でこの威力だ。映画の中ではデカいトカゲに負ける自衛隊だが実際に50メートルのトカゲが出たら瞬殺だ。現代兵器は生き物が耐えられる様な威力ではないのだ。


 「「うお~!!勇者殿の大砲魔法がドラゴンを倒したぞ!!」」


 ドラゴンに恐怖していたぶん。俺が簡単にドラゴンを落とした事により王国兵士の士気は更に上がった。皆身体が軽い状態だ。


 それからも次々とドラゴン達をズタズタに引き裂いて行った。幾ら逃げても無駄だ。のろのろ飛んでいるトカゲ共は音速の3倍で追いかける弾から逃げるのは不可能だ。この爺さんが後10基あれば魔族軍なんぞ全滅させてやれるのだが、爺さんはこれしかなかった。


 「打ち方終わり。」


 「旦那、もう終わりか?」


 「ああ、全弾撃った。もう砲撃魔法は品切れだ。」


 「そうか、こいつがもっと有ればな~。」


 「後はレビンに任せたぞ。俺は弱いからな。」


 「ドラゴン10匹倒して良く言うぜ!」


 ドラゴンを撃ち落とした今は、スカイスイーパーがワイバーンをどんどん肉片に変えて行っていた、4連装の重機関銃の威力と発射速度はワイバーン等ものともしない。次第に空を飛ぶ魔族は消えていった。


 「スカイスイーパー部隊射撃終わり。弾切れです。」


 「よし、全員持ち場につけ!」


 重機関銃の弾は各1000発持たせていたが弾切れの様だ、十分な訓練をしていないので弾丸を節約しながら戦うのは無理だ。後は64式と火炎瓶で戦う事に成る。

 ドラゴンとワイバーン達大型の魔獣を一瞬で落とされた魔族は明らかに突撃速度が鈍っていた。ここで砲撃を加えられれば一気に勝負をつけて停戦に持っていけるのだが、残念ながらまだ相手はやる気の様だ。


 「魔同部隊合唱魔法用意!」


 「バリスタ部隊、発射用意!」


 魔族部隊との距離が1000メートルを切ったので、王国軍の総攻撃が行われる。こちらが有利なのでやる気満々だ。向こうは明らかに浮足だっている。ドラゴンを倒した魔道が自分たちに向けられればどうなるか分かっているからだ。


 「魔族軍、ひるむな!」


 「敵陣に入れば、かえって安全だぞ!一気に突撃せよ!」


 距離が離れれば人族が有利と見た魔族が、最後の力を振り絞って突撃をかけて来る。乱戦に持ち込んで相手に強力な魔法を使わせない作戦だ、この場合退却以外の唯一とれる作戦だ。しかし、彼らは考えが甘いここは20万人が2週間かけて作った要塞なのだ、要塞の500メートル以内は落とし穴だらけなのだ。


 「合唱魔法発動しました。順次魔法攻撃を開始します。」


 「大型バリスタ発射開始!大型魔獣を狙え!」


 「64小銃部隊、距離400メートルより射撃開始。」


 王国軍の中距離攻撃隊と64小銃300丁による攻撃が開始された。魔族軍はバタバタと大地に倒れてゆく、こちらの要塞の100メートルまでたどり着けたのはわずか1万足らずだ。


 「あいつら、まだやる気なのか?」


 「旦那、あいつら恐怖で完全に正気を失ってる。」


 「馬鹿、魔王が!早く降伏しやがれ!」


 完全に正気を失って暴走状態のただの動物となった魔族はまだこちらに突撃してくる。


 「弓屋隊発射開始!」


 「投擲隊発射開始!」


 要塞の上に居た弓矢隊1万と投げ槍・投石部隊1万による攻撃が始まった。火炎瓶の投擲も始まり魔族はほぼ壊滅状態だ。


 「馬鹿魔王!まだか!まだ降伏しないのか。全滅するぞ。」


 「誰が馬鹿だ!」


 その時俺の目の前に空から魔王が降って来た。俺を守ろうとしたレビンは10メートル程吹き飛ばされて泡を吹いて痙攣していた。


 「やっと来たか魔王!待っていたぞ。」


 「貴様が勇者か!」


 やっと勇者と魔王が顔を合わせる事が出来た。最終決戦の最後を飾る戦いが今から始まる。


 


 

あははは、とうとうL90を出しました。もともと64式とL90が出したくて書き出した話なんです。

実際のL90は撃ちだすと煙くって周りが見えなくなる困ったちゃんでした。

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