39章 魔王軍
最終決戦を控えて俺達は出来ることは何でもした。ここで決着をつけるつもりなので軽トラの機動性を犠牲にして盾で覆い装甲車の様にした。これに小銃手4人乗り半径400メートルはキルゾーンになった。1台有ったブルドーザーは重装甲を施し本物の装甲車のようになった。これにも小銃手4名とスカイスイパー1基を載せているので、半径2キロのキルゾーンを持つ移動トーチカになった。後の兵器は砦の上に配置している、近代兵器の強みは射程の長さと連射性能なので、見通しの良い安全な場所が一番効果的に運用できるからだ。
「勇者殿、予備兵力10万全員終結しました。」
「やあ王様、結構集まったな。」
最終決戦なので、王都の防衛に付いていた民兵、冒険者、引退した兵士、義勇兵を全てここに集めた。もう王都には女子供と年寄しか残っていない。俺達が負ければ直ぐに全員避難する計画だ。たとえ負けても魔族に食料は絶対に渡さない、彼らが全部持って逃げるのだ。
今回は持久戦を行う予定だ。なるたけ長引かせて彼らに食料を消費させてやるのだ。第2次防衛ラインに全兵力20万と兵站部隊5万の大部隊が集結した。
「おっさん、これで勝てるのか?」
「やって見なければ分らんな。」
「そこは、勝てると言う所だろう普通。」
「普通じゃないからな~。」
「相変わらず、旦那は訳分からないぜ。」
「なんで、レビンが居るんだ?お前の部隊向こうだろ?」
「あんたの護衛だよ、旦那。」
「俺の護衛?」
「教皇と国王の命令でな、あんたが死ぬと負けるからな。王国親衛隊100名もこの周りで護衛に入った ぜ。」
「何だかフラグ臭くて嫌だな。」
「そこは有難がれよ!」
俺はこの護衛部隊が嫌だった、重要人物だとバレルと敵に集中攻撃を受けるからだ。何だか嫌なフラグが立った様なしていたが黙っていた。もう直ぐ魔族軍が来そうだからだ。
一方魔族領、魔王城。
「魔王様、第2次攻撃隊が壊滅した模様です。」
「何だと!」
「第2次防衛隊の精神感応員からの知らせですので間違いないかと思います。」
「何故負ける!先発隊1万に5万の後続部隊。合わせて6万の魔族軍が人族なんぞに負けるはず無い!」
「それが、第2次攻撃隊が国境を越えた所、既に先発隊は壊滅。その後相手の魔導士に指揮官が次々にや られたそうです。」
「何だと!初耳だぞ、何故黙っていた!」
「・・・・」
魔王城では、魔族の参謀役が魔王に作戦失敗を報告していた。そして独裁者の下に居る者らしく不利な情報は握り潰し魔王が喜ぶ報告だけを上げていた。そして、隠しきれなくなって本当の情報を魔王にしたときには既に手遅れだった。
「くそ!馬鹿が!このままでは我々は滅ぶぞ!」
「申し訳ありません!」
「今更あやまって済む問題ではないわ!」
「全軍出撃準備!全魔王軍出るぞ!」
「魔王様!無理です。我々には既に余分な食料が有りません。」
「領内から全て徴収しろ!どうせこのままでは半分の魔族は飢えて死ぬのだ!」
「ドラゴン部隊も全て出撃だ。あいつらは飯を食い過ぎるからな、ワイバーンやグリフォンも全て出す ぞ!」
「魔王様、絶対補給が間に合いませんぞ。考え直して下さい。」
「何、半分も生き残っていれば人間共を叩き潰してくれる。」
そして、魔王領ないで食料の強制徴収が行われた、住民はこれを見て魔族領に見切りをつけ各地に散らばっていく。また兵士達も脱走する者達が出始めていた。
内乱ばかりを繰り返し国力が低下した上に戦争を仕掛けたツケが徐々に魔族を追い詰めてゆく。戦争は個人同士の争いとは全く違う事を知らない魔族の愚かさが原因だ。そして戦争は愚か者は自分の血で代償を払うのだ。
「全軍出撃!」
魔王が高らかに宣言する。全魔族軍10万、大型魔獣が多数いる軍勢は物凄く強そうだ。この軍団を見たら人族に勝てる気がするのも無理はない。実際ここで今すぐ戦えば20万の王国軍は負けるだろう。しかし彼らは張りぼての戦闘部隊だった。戦争とは補給部隊同士の戦いなのを知らない素人の率いる部隊と本物の元軍人が率いる部隊の差が徐々に出てくる事に成る。
魔族軍は全速力で進軍する。食料の消費を減らす為だ。
「急げ!貴様ら、遅れる者は置いて行くぞ!」
10万の軍団が荒野を進む。魔族の驚異的な体力で1日で100キロづづ走破してゆく、しかしこの速度に着いていけないものが多数出て行くのは当然だった。補給物資を満載していた部隊は最初に遅れだし、足の遅い魔獣も徐々に遅れ始める。魔族領を出た時には半数が脱落していた。
「魔王様、王国領です。」
「うむ、やっと着いたか。わが軍はどうだ?」
「現在約5万残っております。」
「そうか、それだけいれば十分だ。人族を滅ぼしてやろう。」
「しかし、国境なのに人の姿が見えませんな。」
「そう言えば、そうだな。」
「大方、我々に怯えて何処かに隠れているのでしょう。」
「ふふ、人族は軟弱な生き物だからな。明日は我々の恐ろしさを見せてやるぞ。」
「はい、お任せください。」
魔族は第2次防衛ラインの30キロの距離で野営を始めた。決戦を前にして手持ちの食料を全て平らげ次の日には王都に攻め込むつもりだった。
「チェックメイトキング2、こちらゴジラ」
「こちらチェックメイトキング2、ゴジラどうぞ。」
「敵魔族軍約5万、野営に入りました。」
「了解ゴジラ、そのまま監視せよ。動きが有れば知らせよ。オーバー。」
「了解。通信終わり。」
俺達の監視網は完全に魔族軍の位置と規模をとらえていた。そして、翌日の最終決戦へカウントダウンが始まった。




