納品した薬草が国宝に指定された件
虹色に輝く『薬草(仮)』をカゴに詰め込み、僕たちは再びギルドの門を潜った。
受付には、昨日の騒ぎで気絶していた職員さんが、額に冷えピタを貼って座っていた。
「......あ。すみません。依頼の薬草、持ってきました」
「......あ、テオ君。昨日は大変だったわね。ええ、薬草採取ね、確認するからそこに出して」
職員さんはまだ少し顔色が悪い。僕は申し訳ない気持ちになりながら、カゴをカウンターに乗せた。
その瞬間。
パァァァァァァッ!!
ギルド内が、夜明けのような神々しい光に包まれた。
カゴから溢れ出した魔力が、周囲の冒険者たちの疲れや二日酔いを一瞬で浄化していく。
「......なに、この光?目が、目がぁぁ!」
「体が軽いぞ!?持病の腰痛が治った!」
「テオ君。......これ、何?」
「えっと。指定された青薬草です。ちょっと栄養が良すぎたみたいで、少し光ってますけど」
「光ってるレベルじゃないわよ!これ、【虹の神草】じゃない!一本で死者すら蘇らせるって言われて、数百年発見されてない絶滅種よ!?」
職員さんの絶叫が響く。
すると、奥の部屋からギルドマスターのバルトロが、転ぶような勢いで飛び出してきた。
「おい、またお前か!今度は何を……って、ぎゃああああああ!?」
カゴの中身を見た瞬間、バルトロは床に膝をついて拝み始めた。
「な、なんてこった……。神話の時代にしかないはずの神草が、しかも『束』で……。おい、誰か!今すぐ王室騎士団と錬金術師ギルドに連絡しろ!このギルドを即座に封鎖だ!」
「えっ、封鎖?僕、ただ依頼の報告に来ただけなんですけど」
「バカ野郎!こんなものが街にあると知られたら、隣国が戦争を仕掛けてくるレベルなんだよ!」
バルトロは泡を吹きながら、厳重な魔法の箱にカゴを封印した。
どうやら、これ一枚で一つの国が買える、というフィオナ様の言葉は冗談じゃなかったらしい。
「テオ様。言わんこっちゃありません。ほら、街の錬金術師たちが血眼でこっちを見ていますよ」
「……器用貧乏なりに、頑張って育てすぎちゃったかな」
結局、僕の依頼報酬は「金貨数枚」のはずが、あまりの価値に測定不能となり、当面の間は「ギルドの特別管理対象」として、王族並みの待遇を受けることになってしまった。
その頃。
僕を追い出したガイルたちは、ボロボロの体を引きずって王都の病院にいた。
「クソッ、薬草は足りねえだと!?なんでこんな時に限って、市場に質のいい薬草が出回らねえんだ!」
ガイルは知らない。
自分たちがかつて「ゴミ」のように扱っていた少年が、今や世界中の錬金術師が喉から手が出るほど欲しがる「神の草」を量産しているということを。
薬草を納品しただけで、ギルドが封鎖されました。
テオ君、もはや隠れ住むことが不可能なレベルで目立ち始めています。
次回、噂を聞きつけた王国の第一王子が登場。
「その薬草を俺に譲れ!」と高圧的に迫ってきますが、テオ君の闇魔法が火を吹きます。
お楽しみに!




