王子の理不尽な要求と、僕の「影遊び」
更新が遅くなって申し訳ありません。
パソコンの不調により一日ほど空いてしまいました。
本日からまた投稿していけると思うのでよろしくお願いします!
ギルドが封鎖され、僕とフィオナ様が応接室で豪華なお茶会菓子を頂いていると、突然ドアが乱暴に蹴破られた。
「その『神草』を出したというのは貴様か!運がいいな、この私、第一王子エドワードが直々に買い取ってやろう!」
現れたのは、これ見よがしに金ぴかの鎧を着た派手な男だった。
後ろには、強そうな近衛騎士たちが十人も控えている。
「あ、えっと……。買い取るって言われても、もうギルドに預けちゃったんですけど」
「黙れ!王族の命令は絶対だ。報酬として銀貨十枚をくれてやる。感謝して差し出せ」
銀貨十枚。さっきフィオナ様が「国が買える」って言っていたのに、それはあんまりじゃないかな。
「エドワード様!無礼ですよ!テオ様がどれほどのお方かわかっているのですか!?」
フィオナ様が怒って立ち上がる。
けれど、王子は彼女の顔を見るなり、下品な笑みを浮かべた。
「おお、蒼穹の聖女ではないか。こんな冴えないガキと一緒に何をしている。……そうか、貴様もろとも私のコレクションに加えてやろう。者ども、やれ!」
騎士たちが一斉に剣を抜き、僕たちに飛びかかってくる。
フィオナ様が魔法を唱えようとしたけれど、僕はそれを手で制した。
「危ないから、僕がやります。……ちょっと影を広げるだけですから」
僕は足元の影を、部屋全体にふわっと広げた。
「【闇魔法:影のゆりかご(シャドウ・クレイドル)】」
次の瞬間、騎士たちの足元の影が粘着質な触手のように伸び、彼らの体を一瞬で絡めとった。
それはただの拘束魔法じゃない。
「な、なんだこれは!?体が、影の中に沈んでいく……!?ひっ、光が吸い込まれるぅぅ!」
「あ、あんまり暴れないでください。その影、一度入ると『上下左右』の概念なくなっちゃうので、酔いやすいんですよ」
僕が器用貧乏なりに改良した「捕獲用影」だ。
騎士たちは叫び声を上げながら、床に広がる影の中にズブズブと膝まで沈み、そのままマネキンのように固まってしまった。
「な、なな……何をした!私の精鋭たちが、一瞬で戦闘不能だと!?」
「王子様も、少し頭を冷やしたほうがいいですよ」
僕は指をパチンと鳴らす。
すると、王子の影がぐにゃりと立ち上がり、彼自身の首を優しく(?)締めあげた。
「ひぎぃっ!?自分の影が、私を……!?」
「これ、僕の得意な『影遊び』なんです。持ち主が悪いことを考えると、影が勝手に反省してくれるんですよ」
王子は自分の影に引きずられながら、情けない悲鳴を上げて廊下へと放り出されていった。
多分、一晩中自分の影にお説教され続けることになると思う。
「……テオ様。今の、王族に対する反逆罪になる可能性があったのですが」
「え?でも、影が勝手にやったことですから」
「……そうですね。テオ様の影が最強すぎて、法律なんて意味をなさないことを忘れえていました」
フィオナ様は深く溜息をつき、僕が淹れ直したお茶を啜った。
その頃。
王都のガイルたちは、王子の不興を買ってパーティーランクを落とされていた。
「クソッ、なんでこんなに上手くいかないんだ!テオがいた時は、どんな理不尽な依頼もあいつが裏で調整してくれてたのに……!」
彼らはまだ、自分たちの盾になっていたテオの「影」の大きさに気づいていなかった。
王子様、あえなく退場。
自分の影に怒られるというのは、ある意味一番の屈辱かもしれません。
次回、ギルドマスターが血相を変えて戻ってきます。
「テオ君、王都から君に指名依頼が来たぞ!」
お楽しみに!




