薬草採取のついでに霊薬(エリクサー)を量産する
今回は、冒険者の基本「薬草採取」です。
普通は地味な作業ですが、テオ君が関わると森の生態系が変わります。
ギルドマスターを気絶させてしまったけれど、何とか登録だけは完了した。
僕のランクは、実績がないということで一番下のEランクだ。
「まずは小銭を稼がないとね。フィオナ様、この『薬草採取』っていう依頼にしましょう」
「......はい。テオ様と一緒なら、何が起きても驚かない準備はできています」
フィオナ様が、諦めたような。悟りを開いたような顔で頷く。
僕たちは街の近くの草原へとやってきた。依頼の内容は、傷薬の材料になる『青薬草』を十束集めることだ。
「ええと、青薬草は......あ、これだ。でも元気がなくて枯れかかってるなぁ」
地面に生えているのは、ひょろひょろとした元気のない草だった。
これじゃあ、ろくな薬にならないかもしれない。僕は少しだけ、器用貧乏なりに「お手入れ」をすることにした。
「【水魔法:栄養凝縮・霧散】」
指先から、ほんの少しだけ水分を霧状にして振りかける。
もちろん、ただの水じゃない。
やむ魔法で不純物を消し去り、水魔法で魔力の密度を極限まで高めた「特性の栄養水」だ。
すると、どうだろう。
霧が触れた瞬間、足元の草がバキバキと音を立てて巨大化し始めた。
「......テオ様」
「あ、またちょっとやりすぎちゃったかな」
青かったはずの薬草は、まばゆい虹色の光を放ち始め、葉の先からは黄金の雫が滴っている。
たった一束で、瀕死の重傷すら一瞬で完治させそうなオーラを放つ『伝説の霊薬草』へと変異してしまった。
「テオ様。これ、市場に出したら一つの国が帰る値段になります。これを『薬草採取』として納品するつもりですか?」
「えっ、ダメかな?ちゃんと青い部分も残ってるし」
「色の問題ではありません!そもそも、あなたが歩く度に周囲の雑草が全部『世界樹の苗』に代わっています!森の生態系が......いえ、世界の魔力バランスが崩壊します!」
フィオナ様が周囲を見て叫ぶ。
確かに、僕が歩いた後の地面からは、見たこともないような神々しい花々が咲き乱れていた。
「仕方ないなぁ。じゃあ、これをお土産にしてギルドに持っていこう」
僕は虹色に輝く薬草を適当な紐で束ねて、カゴに放り込んだ。
ついでに、闇魔法で「鮮度保持」をかけておく。これで千年経っても腐らないはずだ。
その頃。
僕を追い出したガイルたちは、高価な治療薬を買い占めていた。
「クソッ、なんでこんなにポーションが高いんだ!テオがいた頃は、あいつが摘んできた草を嚙むだけで傷が治っていたのに......!」
ガイルはまだ気づいていない。
テオが「そこらへんの草だよ」と言って渡していたものが、実はすべて聖域で採取された超高級薬草だったということに。
薬草採取、無事に完了(?)です。
納品された受付嬢が再び気絶する未来が見えますね。
次回、ギルドに虹色の薬草を納品。
街中の錬金術師たちがテオ君を拝み倒しにやってきます!
お楽しみに!




