ギルドマスター、テオの正体に震える
ついにギルドのボスが登場します。
伝説級の鑑定眼を持つギルドマスターですが、テオ君のステータスは彼の理解を超えていたようです。
「おいおい、一体何の騒ぎだ?ギルドの壁に風穴を開けた馬鹿はどこのどいつだ」
静まり返ったギルドに、野太い声が響いた。
奥の部屋から現れたのは、傷だらけの重厚な鎧を纏った大男。この街の冒険者ギルドを束ねるギルドマスター、元Sランク冒険者のバルトロだ。
彼は壁の大穴と、粉々に砕け散った測定器の台座を見て、顔を引きつらせた。
「......受付の娘が気絶してやがる。おい、嬢ちゃん。何が起きた」
「あ、あの......バルトロ様。そちらのテオ様が、水鉄砲を......」
フィオナ様が恐る恐る指差す。
バルトロは僕をジロリと睨みつけると、鼻で笑った。
「ハッ!冗談も休み休み言え。こんな弱そうなガキが、金剛石入りの測定器を粉砕できるわけねえだろ。どれ、俺の【真実の眼】で拝ませてもらうぜ」
彼は鑑定スキルを使い、僕をじっと見つめた。
「......あ、がっ.........!?」
バルトロの顔から、一気に血の気が引いた。
目を見開き、口をパクパクとさせて、まるで心臓麻痺でもおこしたかのように震え始めたんだ。
「お、おい......嘘だろ......。属性『水』『闇』の......『概念級』だと......?概念級なんて、神話の創世神話にしか出てこねえ最高位だぞ......。しかも、なんだこの魔力量は......測れねえ......底が見えねえ......!」
「あの、ギルドマスター?大丈夫ですか?」
僕が声をかけると、バルトロは弾かれたように数メートル後ろへ飛び退いた。
「寄るな!化け物!......いや、神か!?お前、自分が何者か分かってんのか!?」
「えっと、ただの『器用貧乏』ですけど」
「そんな器用貧乏がいてたまるかぁぁ!!お前のそれは『器用』なんじゃねえ!すべての事象を『思い通りに書き換えてる』だけだ!水を撃てば空間が割れ、影を操れば因果が捻じれる......。そんなもん、歩く天変地異だぞ!」
バルトロはガタガタと震えながら、その場に崩れ落ちた。
伝説の鑑定スキルで見ると、僕の体からは世界を十回くらい滅ぼせる魔力が溢れ出しているように見えるらしい。
「フィオナ様......ギルドマスターも、なんだか疲れが溜まってるみたいですね」
「......テオ様。そろそろ『自分がおかしい』という自覚を持ってくれませんか......?」
フィオナ様が遠い目をしている。
でも、本当なんだ。僕はただ、パーティーを追い出されただけの、何をやらせても「そこそこ」な人間なんだから。
その頃。
王都の酒場で、ガイルたちは新しい荷物持ちを探していた。
「おい、もっとマシな奴はいねえのか!どいつもこいつも飯はまずいし、キャンプの結界もガタガタじゃねえか!あの器用貧乏がいれば......クソッ!」
彼らはまだ知らない。
自分たちが「神」に洗濯や炊事をさせていたという、恐ろしい事実に。
ギルドマスター、鑑定スキルで無地に(?)死亡(※精神的に)。
テオ君の「概念級」という正体が、ついに公的な地位を持つ人物に知られてしまいました。
次回、テオ君が初めての「Eランク依頼」を受けます。
内容は『薬草採取』ですが......テオ君が採取すると、薬草がとんでもないことになります。
お楽しみに!




