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聖女様、僕の「家事」に心まで洗われる

「テオ様!私、決めました。今日からここに住みます!」


影の別荘で目を覚ますなり、フィオナ様がとんでもないことを言い出した。

彼女は国で一番偉い『蒼穹の聖女』のはずだ。そんな人が、こんな森の奥で居候なんてしていいんだろうか。


「でも、王都に帰らなくていいんですか?偉い人なんでしょう?」


「嫌です!帰りたくありません!あんな硬いベッドに、冷めた食事、呪いすら落ちていない不潔な法衣に戻るなんて、もう耐えられません!」


フィオナ様は僕の影のソファに抱きつき、必死に抵抗の意思を示している。

どうやら昨夜、僕の闇魔法で作った「熟睡ベッド」がよほど気に入ったらしい。


「それに、これを見てください!」


彼女は、僕が昨日のうちに水魔法と闇魔法で洗っておいた彼女の法衣を差し出した。


「これ、私が神聖魔法で百年かけて浄化するより、今のほうがよっぽど神聖な力が宿っています。......テオ様、あなた何を使って洗ったんですか?」


「え?ただの水魔法で汚れを弾いて、闇魔法で影干ししただけですよ」


「それがおかしいと言っているんです!繊維の奥の呪いが消滅しているだけでなく、魔力が勝手に補充される『神造防具』へと進化してしまっています。こんな魔法、王宮魔導師が束になっても不可能です!」


フィオナ様はうっとりと自分の袖に顔を寄せた。


「おまけに、このほのかな『夜の静寂』の香りはなんですか......。心が安らいで、聖女としての職務を忘れてしまいそうです......」


「それはただの闇魔法の残り香ですね。リラックス効果があるみたいで」


「......もう、ダメです。私はあなたの家事スキルの虜になりました。私をあなたの専属聖女......いえ、居候として置いてください!お願いします!」


フィオナ様が深々と頭を下げる。

そこまで言われて断る理由もないし、一人よりは賑やかでいいかもしれない。


「分かりました。僕も器用貧乏なりに、身の回りの世話くらいしかできませんが、よろしくお願いしますね」


「......器用貧乏の定義が、私の知っているものと一億光年くらいズレていますが......承知しました!」


こうして、僕の「自給自足生活」に、やたらと態度の大きい......いえ、賑やかな聖女様が加わったのだった。


その頃。

王都へ逃げ帰る途中のガイルたちは、泥まみれの装備を洗っていた。

「クソッ、こすっても汚れが落ちない!テオがいた時は、指を鳴らすだけで新品みたいになっていたのに!あいつ、どんなインチキを使ってやがったんだ!」


インチキじゃなくて、ただの洗濯なんだけどね。


聖女様、正式に居座り決定です!

伝説の聖具より、テオ君が洗った服のほうが性能がいいという逆転現象。


次は、いよいよ二人は森を出て、近くの街へと向かいます。

テオ君の「ちょっとしたゴミ捨て」が、再びフィオナ様を絶叫させることに......。

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