元パーティーの再会。僕の「ゴミ箱」は彼らにとって聖域でした
世界の「大掃除」を終えて、帝国での建国祭も無事に幕を閉じた。僕はフィオナ様とカトレア様と一緒に、久しぶりに自分の別荘に帰ることにした。帝国の最速飛空艇で送ってもらったけれど、別荘の前に見覚えのある「ボロボロの集団」がうずくまっていた。
「……あ、ガイル。それにみんな。久しぶりだね」
かつての仲間たちは、装備は錆びつき、服は泥だらけで、まるで何日も食べていないような顔をしていた。
僕が声をかけると、ガイルは震える手で僕を指差した。
「テ、テオ……お前、帝国で何をしたんだ……。空が光輝き、枯れた大地が蘇り……世界中の英雄たちが、お前の名前を口にしている……」
「え?ただのお掃除だよ。汚かったから、ちょっとね」
僕がのんびりと答えると、ガイルたちは地面に膝をつき、泣きながら叫んだ。
「ふざけるな!俺たちはSランクの誇りを持って旅に出たんだ!なのに……魔獣一匹倒せず、飯すら満足に食えず……。お前がいないだけで、世界がこんなに過酷だって知らなかったんだよ!」
後ろにいた魔法使いのセーラも、涙で顔をぐしゃぐしゃにしていた。
「テオ……お願い、戻ってきて……。もうお掃除なんて言わないから。あなたの淹れたお茶が、あなたの作ったスープが……。あ、あの味が忘れられないの……!」
僕は困ってしまった。今の僕には、フィオナ様もカトレア様も、そしてアポロもいる。
「うーん……。戻るのは難しいけど、お腹が空いてるなら『ゴミ箱』の中の余り物でも食べる?」
僕は自分の『お掃除便利バッグ』から、昨日帝国で食べきれなかった「余り物のサンドイッチ」が入った容器を取り出した。僕にとっては「捨てようかな」と思っていたものだけど。
「……っ!な、なんだこの香りは……!?帝国の秘宝、龍の肉か!?それに神聖な果実のソース……!」
ガイルたちは獣のようにサンドイッチに食らいついた。一口食べた瞬間、彼らの全身から光が溢れ出し、錆びた装備がパキパキと音を立てて修復されていく。
「う、美味い……。美味すぎる……。俺たちが今まで食ってきたのは、本当に食べ物だったのか……?」
「テオ様。彼ら、あなたの『ゴミ』を食べて全回復していますわよ……」
フィオナ様が呆れたように呟く。カトレア様も「帝国の最高級のレストランでも、そのゴミには勝てないわね」と、複雑な表情で眺めていた。
「キュイッ!」(僕の食べ残しなのに!)
アポロが少し不満げに鳴く。ガイルたちは、その神竜の威圧感にようやく気づき、腰を抜かしてひっくり返った。
「……俺たちの負けだ、テオ。お前はもう、俺たちの手の届かないところにいるんだな……」
ガイルは力なく笑い、自分たちの「器の小ささ」をようやく認めたようだった。彼らは食べ終えると、深々と頭を下げて、どこかへと去っていった。
別荘の玄関を開けると、懐かしい木の香りが僕を迎えてくれる。
「さあ、掃除の続きをしましょうか。不在の間に、少し埃が溜まっていそうですから」
僕はいつもの箒を手に取り、平和な「日常」を取り戻すための第一歩を踏み出した。




