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帝国の祝祭。僕の「打ち上げ花火」で夜空が浄化されました

ついにバルフレア帝国の『建国記念祭』当日がやってきた。

城下町は活気に溢れ、中央広場には巨大なステージが組まれている。僕とフィオナ様、カトレア様は特等席に招かれたけれど、どうにも空のコンディションが良くない。


「カトレア様。なんだか雲行きが怪しいですね。これじゃ夜の花火が見えにくいですよ。それに、街の魔導工場の煙が少し溜まっているみたいだし」


「ええ……。帝国の祝祭は火の魔力を一気に開放するから、どうしても空が濁ってしまうの。これも『活気』の証だと思って諦めるしかないわ」


「うーん、器用貧乏なりに、ちょっと『空気の入れ替え』兼ねた演出をさせてもらいますね」


僕は自分の『お掃除便利バッグ』から、昨日宝物庫の掃除で見つけた「余った魔石の欠片」を取り出した。

闇魔法で「汚れを吸い込む核」を作り、水魔法で「七色の屈折」を与え、手のひらでシャッフルする。


「【闇魔法:影の煙突掃除(シャドウ・スモーク・スイープ)】」


僕はその魔石を、空高くに向かってピンッと弾き飛ばした。

すると、ヒュゥゥゥ……と尾を引いて昇った光の粒が、上空でパチンとはじけた。


ドォォォォォォォォン!!


夜空に広がったのは、ただの花火じゃなかった。

巨大な「光の掃除機」のような輪が広がり、街を覆っていたどんよりとした煙や曇り空を一瞬で吸い込み、代わりに透き通るような星空を出現させたんだ。


「な、なによこれ……!花火が広がるたびに、空が……世界が綺麗になっていくわ!」


「見てくださいテオ様!弾けた光の粒子が地上に降り注いで、人々の服の汚れや、街の落書きまで消し去っていきますわ!」


フィオナ様が指差す先では、お祭りを楽しんでいた市民たちが「おおおっ!服が新品になったぞ!」「持病の腰痛が消えた!」と大騒ぎになっていた。

僕が放ったのは、空気中の不純物を分解して「純粋な魔力」に還元する『広域洗浄弾』だった。


「……テオ殿。貴公は祝祭の花火を『全自動クリーニング』に利用したのね。……もう、美しすぎて文句も出ないわ」


カトレア様がうっとりと空を見上げる横で、皇帝陛下は「これこそが真の建国記念だ!」と涙を流して立ち上がっていた。


「キュイィィ!」(空が美味しい!)

アポロも、浄化された美味しい空気を胸いっぱいに吸い込みながら、空を舞い踊っていた。


その頃。

広場の隅で屋台の皿洗いのバイトをしていたガイルたちは、空から降ってきた光の粉を浴びて絶叫していた。

「な、なんだ!?皿の汚れが一瞬で落ちたぞ……!それどころか、俺たちのボロボロの鎧までピカピカに……。テオ……あいつ、俺たちの惨めな汚れまで『お掃除』しやがるのかよ……!」


彼らが光り輝く自分の惨めさに咽び泣いている間、テオが作り出した「世界一綺麗な夜空」の下で、祝祭は最高潮を迎えていた。

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