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帝国の最高級宿。僕の「枕元のおまじない」で霊峰が噴火?

案内されたのは、帝国の賓客だけが泊まることを許される超一等地の宿『煉獄の塔』だった。

部屋の窓からは、帝国の象徴である巨大な活火山「霊峰バルフレア」が雄大にそびえ立っているのが見える。


「テオ殿、ここは火の属性値が世界で最も高い場所よ。ぐっすり眠れるように、安眠の魔道具も完備しているわ」


カトレア様が胸を張るけれど、僕は少しだけ寝付きが悪そうだと感じた。

空気に含まれる火の火力が濃すぎて、なんだかピリピリするんだ。


「うーん、ちょっと空気が熱いですね。器用貧乏なりに、枕元に『空気清浄機』を置かせてもらいますね」


「ええ……。帝国の最高級の空気に、不満があるの?」


僕は自分の『お掃除便利バッグ』から、適当な魔石を取り出した。

闇魔法で「熱を吸い込む渦」を作り、水魔法で「冷涼な結界」をコーティングして、枕元にポンと置く。


「【闇魔法:影の熱吸収(シャドウ・サーモ・イーター)】」


すると、部屋の中がスゥーッと涼しくなり、高原の森のような爽やかな空気が流れ始めた。

……けれど、異変は外で起きていた。


「お、王女殿下!見てください!霊峰バルフレアの活動が……止まりました!!」


「……は?」


窓の外を見ると、さっきまで激しく煙を吐いていた火山の火口から、煙が一気に消え去っている。

僕の置いた「空気清浄機」が、山一つ分の熱エネルギーを、おまじない感覚で吸い取ってしまったらしい。


「テオ様……。あなた、帝国のエネルギー源である火山の熱を、自分の『安眠』のために全部奪ったのですか?」


「え、だって寝苦しいのは嫌ですし。……あ、お返ししますね。吸い取りすぎたかな」


僕は魔石を少しだけ叩いて、吸い取った熱を「浄化されたエネルギー」として空に放出した。

すると、火口から純白の光が天高く吹き上がり、帝国の夜空にオーロラのような輝きが広がった。


「……伝説の『白き噴火』……。建国以来、一度も起きたことがないという幸運の兆しが、テオ殿の枕元で起きたわ……」


カトレア様は、もう驚くのをやめて、そのままベッドに倒れ込んだ。

フィオナ様も、「もう、この人の隣にいるだけで世界が変わってしまいますわね」と笑っている。


「キュイッ!」(涼しくていい気持ち!)


アポロも僕の枕元で、冷やされた空気をお腹いっぱい吸い込んでいた。



その頃。

帝国の城下町の安宿で、冷房も効かない部屋で汗だくになっていたガイルたちは、窓から言えるオーロラを見て震えていた。

「な、なんだあの光は……!?帝国の山が……白く光ってやがる。テオ……あいつ、今度は山まで手なずけたってのかよ……!」


彼らが寝苦しさに悶えている間、テオは神話級のエネルギーに包まれながら、最高に深い眠りについていた。

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