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帝国の秘宝(鍋敷き)と、カトレア様の限界

カトレア様、メイドとして馴染んできましたが、やはり皇女としてのプライドが疼くようです。

今回、彼女が持ち出した「帝国の秘宝」が、思わぬ形で再利用されます。

料理対決で敗北したカトレア様は、今日こそはテオ殿に「帝国の凄さ」を思い知らせようと、実家から取り寄せた厳重な箱を抱えていた。


「テオ殿!これを見なさい!バルフレア帝国に伝わる至宝”【絶火の円盤(イグニート・ディスク)】”よ!」


箱から取り出されたのは、燃え盛るような真っ赤な紋様が刻まれた、重厚な金属の円盤だった。

なんでも、火の神の加護を受け、周囲の熱をすべて吸収・遮断し、永遠に冷めることのない熱量を蓄えるという伝説の武具らしい。


「これさえあれば、どんな極寒の地でも軍隊を維持できる……まさに国宝。これなら、テオ殿も驚くでしょう!?」


「へぇ、熱を遮断して、ずっと温かいままなんですね。……ちょうどいいかも」


僕はその『絶火の円盤』をひょいと受け取った。

カトレア様が「熱くて持てないはずなのに!?」と驚愕する中、僕は器用貧乏なりに、闇魔法で表面の「攻撃的な熱」だけを影の底に沈めた。


「よし。これならテーブルが焦げなくて済みそうです」


「……えっ?」


僕は熱々のスープが入った大きな鍋を、そのまま『絶火の円盤』の上にドンッ!と置いた。


「【闇魔法:定温保持(サーモ・フィックス)】」


伝説の円盤は、僕の魔法と合わさることで、完璧な『保温機能付き鍋敷き』へと変貌を遂げた。


「テオ殿……。今、世界を滅ぼせるほどの熱量を秘めた至宝を、スープが冷めないための『鍋敷き』にしたの……?」


「はい。これ、便利ですね。カトレア様、ありがとうございます。帝国の道具って、実用的でいいなぁ」


「実用的……。そうね、実用的ね……。あはは、あはははは……」


カトレア様は、自分の国のアイデンティティが「便利なキッチン用品」として処理された衝撃で、ついに壊れたように笑い始めてしまった。


「カトレア様、大丈夫ですか?お豆腐の味噌汁、温かいうちにどうぞ」


「……いただきます。……美味しい。悔しいけれど、今まで食べたどの高級料理より、この鍋敷きの上にあるスープが一番美味しいわ……」


彼女の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。

こうして、帝国の秘宝は正式に「テオ君の家の食卓」にレギュラー入りした。


その頃。

野宿をしていたガイルたちは、冷え切ったスープを震えながらすすっていた。

「クソッ、火が消えちまった……。テオがいれば、魔法一つで一晩中温かい飯が食えたのに。あいつ、今頃ぬくぬくと何やってんだ……」


彼らが凍えている頃、テオの家では国宝の上でグツグツと煮えるスープを囲み、幸せな食卓が囲まれていた。

帝国の秘宝、鍋敷きに就任。

カトレア様のプライドは、もう粉々を通り越して霧散しています。


次回、別荘の地下から「不気味な声」が響きます。

続きは次の話で!

お楽しみに!

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