神竜のお留守番。別荘を狙った窃盗団が「世界の終わり」を見る
王都での騒ぎも落ち着き、僕とフィオナ様は少し離れた街まで「ちょっとした日用品」を買いに出かけることにした。
賢者の石を砕いた脱臭剤(予備)や、聖剣の予備の砥石なんかも買っておきたい。
「アポロ、お留守番できるかな?悪い人が来たら、追い払っていいからね」
「キュイッ!」
アポロは影のソファで丸くなり、可愛らしく返事をした。
この子がいれば、火の用心くらいは大丈夫だろう。
僕たちが出かけてから一時間後。
森の中に隠された僕の「影の別荘」の前に、十数人の武装した男たちが現れた。
王都で指名手配され、行き場を失った凶悪な窃盗団『黒い牙』だ。
「おい、見ろよ。こんな森の奥に真っ黒な豪邸があるぜ……。きっと金持ちの隠し別荘だ」
「へっへっへ、中にいる奴らを皆殺しにして、宝を全部奪ってやろうぜ!」
彼らは欲に目をくらませ、別荘の扉を蹴り開けた。
だが、中にいたのは一匹の、小さくてふわふわした「トカゲ」だけだった。
「なんだ、ガキのペットか?邪魔だ、どけ!」
一人の男がアポロを蹴り飛ばそうとした、その瞬間。
――ズズズ……。
アポロの背後の影が、天井を突き破るほど巨大な「真の姿」として立ち上がった。
黄金の瞳が盗賊たちを射抜き、空間そのものが恐怖で震え始める。
「な、なんだ……!?空気が、重い……!体が動かない……!」
「キュ……イッ!!」
アポロが小さく鳴いた。
けれど、放たれたのは音波ではない。
それは、周囲の「存在そのもの」を否定する、神の威圧。
――ドォォォォォォォォン!!
次の瞬間、別荘を囲んでいた盗賊たちは、一瞬で「ただの砂」へと変わり、風に吹かれて消えていった。
彼らが持っていた武器も、装備も、悪だくみの記憶さえも、この世から完全に抹消されたのだ。
数時間後。僕たちが帰ってくると、アポロは玄関先で尻尾を振って待っていた。
「あ、アポロ。いい子にしてた?何かあった?」
「キュイ!」
「あら、なんだか庭の草むしりが進んでる気がしますね。アポロちゃんが掃除してくれたのかしら」
フィオナ様が不思議そうに辺りを見回す。
盗賊たちがいた場所には、彼らの持っていた金貨(アポロが食べ残したもの)がいくつか転がっていた。
「あ、アポロ、金貨なんて拾ったの?偉いね。これでおやつでも買おうか」
「キュイィィ!」
伝説の盗賊団が一瞬で壊滅したことなど、僕たちはこれっぽちも気づいていなかった。
盗賊団、戦う前に「砂」になりました。
アポロ君にとって、不法侵入者はただの「お掃除対象」だったようです。
テオ君の「器用貧乏」な能力が、ついに隣国の王女様に見つかってしまい、さらなるハーレム……いえ、混乱の予感です。
お楽しみに!




