神竜のブレスは最高のドライヤーでした
伝説の神竜が家族に加わりました。
今日は洗濯後の、さらなる「家事効率化」のお話です。
神竜の幼体「アポロ」が生まれてからというもの、僕の別荘はさらに賑やかになった。
この子は僕の影が大好きで、いつも足元で影をパクパクと食べて遊んでいる。
「テオ様、アポロをあまり甘やかさないで下さい。その子がくしゃみ一つするだけで、この森の半分が消し飛びかねないんですから」
フィオナ様が、アポロを遠巻きに見ながら忠告してくる。
そんなに危ないかなぁ。こんなにふわふわしてて可愛いのに。
「ちょうどいいところに来ましたね、フィオナ様。今、お風呂上がりですよね?」
「ええ、そうですけど……。それが何か?」
フィオナ様の長い髪は、まだ濡れてしっとりとしている。
いつもは闇魔法で乾かしてあげているけれど、今日はもっと効率的な方法を思いついたんだ。
「アポロ、ちょっと手伝ってくれるかな?あー、して」
アポロが僕の手のひらの上で口を大きく開ける。
僕はそこに、器用貧乏なりに微弱な闇魔法を流し込み、出力を調整した。
「よし、そのまま優しく吹いてみて」
アポロの口から、眩いばかりの光が漏れ出す。
それは本来、あらゆる物質を消滅させる”【終焉の咆哮】”
けれど、僕が闇魔法で「指向性」と「温度」を制御したことで、それは極上の温風へと変わった。
「ふぁっ!?な、なんですかこの心地よい風は……!」
ブレス(温風)を浴びたフィオナ様の髪が、ふわぁっと舞い上がる。
ただ乾くだけじゃない・神竜の魔力が髪の芯まで浸透し、一瞬でシルクのような艶とコシが生まれた。
「……信じられない。伝説のブレスを浴びて、死ぬどころか髪質が改善されるなんて。テオ様、これ、王都の美容師たちが知ったら卒倒しますよ」
「しかもこれ、静電気も起きないし、マイナスイオンもたっぷりなんですよ」
「マイナスイオンが何なのかは分かりませんが、凄まじいことだけは理解しました……」
アポロは「褒めて!」と言わんばかりに、尻尾をパタパタと振っている。
神竜の力も、使い方次第で最高に便利な「ドライヤー」になるみたいだ。
その頃。
Fランクに落ちぶれたガイルたちは、ボロボロの焚き火を囲んで震えていた。
「クソッ!火がうまくつかねえ……!煙たくて死にそうだ。テオがいれば、指を鳴らすだけで最高の暖炉を用意してくれたのに……!」
ガイルが涙を流しながら煙に巻かれている頃、僕は神竜をドライヤーにして、のんびりとフィオナ様の髪を梳かしていた。
神竜の名前が決まりました!
その名も「アポロ」
コメントくれた方ありがとうございました!
次回、アポロが初めての「お留守番」。
泥棒が入ろうとしますが、神竜の怒りに触れて……?
お楽しみに!




