国王の裁きと、本当の「器用貧乏」
洗濯物を干し終えた僕がリビングでフィオナ様とくつろいでいると、陛下に呼び出されて玉座の間へ向かうことになった。
そこには、震えながら平伏するガイルたちの姿があった。
「テオ……。お前、本当にテオなのか……?」
ガイルが顔を上げる。その顔は絶望に染まり、かつての自信に満ちたリーダーの面影は微塵もない。
「ガイル殿。貴様らは、この救国の英雄テオ殿を『器用貧乏』と呼び、追放したそうだな」
陛下の冷徹な声が響く。
「い、いえ!あれは、その……あいつが地味なことしかしないから、もっと相応しい場所があると思って……!」
「黙れ。貴様らが『地味な雑用』と呼んでいたのは、この国の最高魔導師すら不可能な神域の業だ。貴様らが今日まで生き延びれたのは、テオ殿が影で全ての呪いを払い、装備を神話級にまで磨き上げ、食事で魔力を極限まで高めていたからに他ならぬ」
陛下が合図を出すと、騎士たちがガイルの剣を床に置いた。
テオの手入れがなくなったその剣は、ボロボロに錆びつき、ただの鉄くずと化していた。
「テオ殿を失った貴様らのパーティーランクは、本日をもって剥奪。Sランクから一気にFランクへと降格とする。二度と英雄を名乗るな」
「そ、そんな……!僕たちはどうすればいいんだ!?」
叫ぶガイルに、僕はそっと声をかけた。
「ガイル、そんなに悲しまないでよ。君たちなら、僕がいなくても『器用』にこなせるって言ったじゃないか」
「……っ!」
「あ、そうだ。僕が昔やってたみたいに、王宮の溝掃除の仕事紹介しようか?結構、やりがいあるよ?」
嫌味のつもりはなかった。でも、僕の言葉はガイルたちの心にトドメを刺したみたいだ。
彼らは「あああ……」と声を漏らし、引きずられるように部屋を出て行った。
「テオ様、今の言葉にはなかなか毒がありましたね」
「え?僕はただ、応援しただけなんだけどな」
フィオナ様が呆れたように微笑む。
こうして、僕の「元いた場所」との因縁は、あっけなく幕を閉じた。
「さて、フィオナ様。夕飯は、影の別荘で拾った珍しいキノコでスープを作りましょうか」
「……それ、たぶん伝説の『万病を治す霊芝』ですよね。もう驚きませんが、いただきます!」
僕たちののんびりした隠居(?)生活は、これからが本番のようだ。
ざまぁ完了です!
Sランクから一気にFランク。彼らには溝掃除からやり直してもらいましょう。
次回、テオ君の家に「謎の卵」が届きます。
「これ、高級食材かな?」
食べようとしたら、伝説の神竜が生まれてしまいました。
お楽しみに!




