表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/40

賢者の石、テオにとっては「脱臭剤」でした

聖剣をピカピカに磨き上げた後、僕は倉庫のさらに奥で、不思議な輝きを放つ「赤い石」を見つけた。

それは不気味なほど真っ赤で、ドクドクと拍動しているような魔力に満ちている。


「テオ様、それは……!まさか、錬金術師たちが一生をかけても作り出せないと言われる”【賢者の石】”ではありませんか!?」


フィオナ様が、これまでにないほど目を剥いて叫んだ。

なんでも、あらゆる金属を金に変え、不老不死すら実現すると言われる伝説の触媒らしい。


「えっ、これ、ただの『脱臭石』じゃないんですか?」


「……は?」


「ほら、この石、周囲の淀んだ魔力を吸い込んで、綺麗な空気に変えてくれるみたいですよ。倉庫の中がカビ臭かったからコーティングし、吸着効率を最大まで高める。


「【闇魔法:影のフィルター(シャドウ・吸着)】」


すると、倉庫内に充満していた不快な匂いが一瞬で消え去り、高原の朝のような爽やかな空気が流れ始めた。


「よし、これで完璧。フィオナ様、この石は僕の影の家に置いておきますね。トイレの消臭にちょうどよさそうだし」


「世界を支配できる秘宝を、トイレに置かないでください!!」


フィオナ様が泣きながらツッコミを入れてくる。

でも、実際に空気が綺麗になったんだから、石も本望だと思う。


掃除を終えた僕は、ピカピカに磨いた『皮剥き用の剣(聖剣)』と、洗濯済みの『最高級マント』を持って、国王陛下の元へ向かった。


「陛下、倉庫のゴミを片付けてきました。これ、まだ使えそうだったのでお返ししますね」


僕が聖剣を差し出すと、陛下だけでなく、立ち並ぶ近衛騎士たちが全員、その場にガバッとひれ伏した。


「おおお……!輝きを取り戻した『エクスカリバー』ではないか!まさか、あんなガラクタの山からこれを蘇らせるとは……。テオ殿、君はやはり……!」


「あ、ついでにこれも。掃除の時に出たカスで作った『脱臭剤』です。陛下の寝室に置くとよく眠れると思いますよ」


僕は賢者の石(の破片で作った小石)を陛下に手渡した。

陛下の手が、その凄まじい魔力量にプルプルと震えている。


「……こ、これは……不純物が一切ない、究極の……。もはやお礼に差し上げるものが、この国には残っていないかもしれぬ……」


陛下が感極まって涙している横で、フィオナ様は「もう、どうにでもなれ」とばかりに天を仰いでいた。


その頃。

王都の路地裏で、ガイルたちは「金」を使い果たし、自分たちの装備を質に入れようとしていた。

「な、なんだって!?この剣は錆びすぎてて鉄くず以下の価値しかないだと!?クソッ、テオがいれば……!あいつが磨けば、どんななまくらでも最高級品になったのに……!」


彼らはまだ、自分たちの足元に転がっていた「本当の価値」が、永遠に失われたことに絶望すらできていなかった。

賢者の石、まさかのトイレ行き(回避しましたが)。

テオ君の「便利ならいいじゃない」という精神が、今日も誰かの常識を破壊しています。


次回、テオ君が王宮で「お茶会」に招かれます。

そこで出された「最高級の茶葉」に、テオ君がダメ出しを始めて……?

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ