第9話!お茶を作ろう!前編
「うーん、お茶……かぁ」
テーブルに置かれた色とりどりの葉を、恨めしそうに睨み呟く。
あっちこっちから葉を集め、家に戻る頃には既に日が傾きかけていた。
リズにはこっぴどく叱られたが、俺の頭の中はどうやってお茶を作るかということしかなかった。
「俺のいた世界では、お茶っ葉ってのがあったんだが……」
夜遅く、みんなが寝静まった後も、俺の苦悩は続いていた。
目の前にある葉は、お茶っ葉というより、落ち葉のようだ。
「これも、お湯に浸ければお茶になるのか?」
「みゅ……」
みゅーが、不思議そうな表情で見つめてくる。
それはまるで、分からないことで何をそんなに悩んでいるのかと、訴えているようだった。
「……そうだよな。悩んでいたって、仕方ないよな」
山盛りの葉を抱え、そのままコンロへバッサリと置く。
「さて、まずはお湯を沸かして……」
鍋に水を入れ、つまみに手をかけたところで、俺の手が止まる。
「これ、子ども一人で火を使って、大丈夫なのか?」
言ってから、ハッとして首をブンブンと振った。
「いやいや! 俺は、子どもじゃない! 立派な大人だ!」
つまみを時計回りに勢いよく回す。
カチッカチッという音が数回鳴り、ポッと小さな火がついた。
「そのまま葉を入れて、本当にいいのか? いやでも、ここは俺のいた世界とは別物なわけで……」
撫でてほしいのか、俺にグイグイと頭を押してけてくるみゅーを軽くあしらいながら、ぶつぶつと呟く。
そうこうしているうちに、鍋の中の水はすっかり煮立ち、ゴプゴプと音を立て始めている。
「そろそろか……」
小さな手で掴んだ葉を、無造作に鍋の中へと放り投げる。
葉は、嵐の中を彷徨う小舟のように、右往左往した後深い底へと沈んでいった。
かき混ぜたり、揺すったりしてみるが、そもそもどの程度煮詰めればいいのかも分からない。
適当な頃合いを見てカップに注いでみるが、その色は灰色で毒々しく、とてもではないが人間が口にするようなものではなかった。
「でも、一応……」
ズズッと、少量をすすってみたが、そのあまりの不味さに、クラリと意識が遠のいていく。
何なんだ、この味は……。
苦味の中に、渋み……というより痺れがあり、本能的に飲み込んではいけないものだと、その場に吐き出した。
「みゅみっ……!」
床に溢れたのを舐めたみゅーも、聞いたことのないような声を上げて卒倒している。
「人を殺すのには、使えそうだな……」
目に涙を溜めながら、言ってみたが、まるで笑えない。
こんな危険なもの、間違えて誰か飲んでしまったら、えらい騒ぎになってしまう。
鍋の中身を全て捨て、俺はホッと安堵したのと、再び振り出しに戻ってしまったのとで、ため息をつくのだった。




