第8話!カフェに必要なもの
「おい、どこ行くんだ⁉︎」
「みゅーっ!」
チラチラと後ろを振り返り、一定の距離を保ちながら、森を駆けていくみゅーを、俺はひたすらに追いかけていた。
この感じ、初めてこいつと会った時のことを思い出す。
違うところといえば、こちらを気遣うようになったことか。
今度は、一体どこへ連れていかれるのだろう。
「……あれ」
キョロキョロと辺りを見回すが、みゅーの姿はどこにも見当たらない。
さっきまで、確かに前を走っていたはずなのだが……。
「おーい、みゅー!」
名前を呼びながら、森の中を歩いていく。
いつでも家へ戻れるという安心感から、最初の頃に感じた恐怖心はない。
ゆっくりと、散歩をするような感覚で、進んでいく。
「……お?」
数メートル先にある、落ち葉の山。
いや、山ではない。不自然な膨らみに、落ち葉が被さっているだけだ。
それが、みゅーであることを察知した俺は、すぐにその体を掴み、引っこ抜きにかかる。
「ったく、何したらこんなに埋まるんだ⁉︎」
綱引きのように、一、二と緩急をつけて引っ張っていると、ズボッという音とともにみゅーが引き上げられた。
「何で、こんな……」
「みゅぐ、みゅぐ」
口いっぱいに、落ち葉を頬張っている、みゅー。
最初こそ、喉に詰まらせているのではと慌てたが、どうやらそうではないようだ。
「……食べて、いるのか?」
よく見ると、みゅーの口にある葉は、普通の葉ではない。
鮮やかなピンク色をしていて、俺がいた世界にはなかったものだ。
もしかすると、これは食用だったりするのか?
恐る恐る手を伸ばし、ペロリと舐めてみる。
「……甘い」
まるで、コットンキャンディーのようなふんわりとした甘さが、口いっぱいに広がる。
だが、食感はやはり植物のそれで、ザラザラとしていてとても食べられそうにはない。
「口寂しい時には、いいかもしれないな」
しかし、味のする葉があるだなんて。
何かに、使えないだろうか。そう、何か……。
「そうだ、これでお茶を作ったら、どうだろう!」
名案だとばかりに、みゅーを見るが、首を傾げるばかりで返事はない。
「カフェには、お茶が必要だろう? これで美味しいお茶を作ってリズに飲ませれば、考えを変えてくれるかもしれない!」
一人でどんどん納得し、改めて周りを見てみる。
ピンク、青、緑──。様々な色の葉が、そこら中に落ちている。
「この葉を使って、そうだな……。オリジナルの、ブレンド茶を作ろう!」
「みゅー? みゅ!」
分かっているのかいないのか、みゅーの元気ある返事に押され、俺は大きく右手を上げた。
「……ところで、お茶ってどうやって作るんだ?」
「みゅ?」




