表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロリ☆カフェ  作者: Luculia
5/11

第5話!一触即発

「さて、まずは僕らがどうやって、この世界へ迷い込んだのかということだが……」


 送りを終え、家へと戻ってきた俺たちは、テーブルに円を描くようにして座り、今回のトンデモな現状について話し合おうとしていた。


 自然と、このメンバーの中では一番まともであろうせんじが、会話の指揮をとる。

 とうごとやひろは、やる気がなさそうなのが、表情から見て取れた。


 とうごだなんて、机に突っ伏して寝ている始末だ。むにゃむにゃと、時折寝言のような声がもれている。

 むさしも、ソワソワと絡まった髪を指で弄り、会話など出来そうにない。


「……さきとは、この世界へくる直前、元いた世界で何をやっていたんだ?」


 必然的に、話のタネは俺へと振られることになる。


「ええと、そうだな……俺は……」


 未だに、俺の中の記憶は曖昧だ。

 言葉や、最低限の知識、マナーは覚えているというのに、俺自身のこととなると途端に靄がかかったようになる。


 それでも俺は、あの時森でほんの少しだけ蘇った記憶を頼りに、ポツポツと話し始める。


「……俺は、普通の会社員で、あの日……歩道橋を渡っている時に落ちて、多分死んだんだと思う」


 死んだ──。確証はないが、なぜだか俺は、自分が死んだのだと認識していた。


「んー。会社員ってことは、さきとって意外と歳いってたんだなー」


「とうご⁉︎ って、俺はまだ二十代だ! 全然若いだろ!」


 寝ていたと思っていたとうごが急に話し始めるものだから、俺は驚き的外れなことを言ってしまう。


「二十代って、何歳よ?」


「え? 二十八……」


 フンと鼻で笑われ、俺はポカポカと殴りつける。

 なぜだろう。十歳以上も年下だからだろうか、ものすごく悔しい。


「起きているんだったら、お前も言ってくれないか」


 ため息混じりの声から、かなり疎ましく思っているであろうことが、ひしひしと伝わってくる。


「あー、俺はなー。何だっけ、確か喧嘩で負けてー、そのまま死んだって感じ?」


「喧嘩って……。まだ、十七歳だろ?」


 俺がガキだった頃は、考えられないことだった。


「いわゆる、不良だったんだろう? それで死んだんじゃ、世話ないよな」


 明らかに馬鹿にしたような口調で、せんじは言った。


「うーん、でも……何で喧嘩してたのかとか、家のこととかは何も思い出せないんだよなぁ」


「どうせ、いい家庭環境とは言えなかっただろうよ。思い出さないで正解だ」


 チラッと、とうごがせんじの方を見る。

 その眼差しからは、怒りの色が感じられた。


「あ、あー! やひろは、何かそういう事件とか担当したことあるの⁉︎」


 このままでは、まずい。空気を変えようと、やひろに話しかけてみたが、反応は期待出来なさそうだ。

 むさしに話しかけて置けばよかったなと、少し後悔する。


「……ん。たくさん、事件に関わった……」


 意外というか、奇跡的にやひろは、俺の問いに答えてくれた。何だかんだ、会話が成立したのは、これが初めてじゃないか。


「色々、危険なこともあった……。だから、死んだ……」


 静かに、淡々と、ただ事実だけを述べるような話し方に、場はシンと静まり返った。


「あ、あの、僕も同じです……。死にました……あまり、覚えてないけど……」


 声を上げるなら今だと思ったのか、むさしがおずおずと話し出した。

 詳しい死因は、よく覚えていないみたいだ。


「ああ、そういえば、むさしはニートってやつだったか。これ以上、親に迷惑かけることがなくなって、ある意味よかったんじゃないか?」


「そっ……」


「そんなこと、言わなくてもいいだろ!」


 俺が言うよりも早く、とうごがせんじを怒鳴りつけた。


「は? 僕は事実を言っただけだろ。社会に貢献するべく励んでいる僕たちと、一日中家でゲームしているだけのやつが、こうして死んでここにいるんだ。神さまって平等なんだな」


「テメェ!」


「ちょっと待てって! 落ち着け!」


 テーブルを乗り越えて、せんじを殴ろうとするとうごを、必死に押さえつける。

 もはや、周りのことなど見る余裕もない。


「僕はね、超一流大学に入学して、エリート人生を謳歌するはずだったんだ! それが、こんなところで死んで……お前みたいな、ど底辺には分からないだろうよ!」


 ああ、これだ。せんじの、人を見下したような喋りは、これが原因だったんだ。

 死んでしまったことが、本気で悔しいのだろう。


 だが、それをぶつけることが出来ない。この世界には、ない。

 だから、こうして人に当たるんだ。

 おじいさんを慕っていたり、俺に謝ってきたり。きっと、根は悪いやつではないはずなのに。


「……もう、話し合いは、終わり……」


「あ、おい!」


 やひろが、勝手に席を立ち部屋を出ていく。

 確かに、話せるような状況ではないが、だからといって自分だけさっさと戻るのか?


 同じ異世界に迷い込んできた同士、協力をして元の世界へと帰る方法を模索しようとしていたのに、どうしてこうなるのだろう。


 自分勝手な行動ばかりなメンバーに、俺は胃が痛くなるのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ