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君だけの勇者様  作者: ama
第1章 君だけの勇者様
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第9話 腕試しクエスト

「お金なんてすぐなくなるんだから!孤児院に寄付するのは魔王を倒してからでも良いでしょう?」

「でも…多すぎないか?こんな大金持ち歩くなんて…。」

「大丈夫だから!チャチャッと魔王倒しちゃえばいいのよ!」

「そんな簡単に魔王は倒せないと思うけど…。」

「いいから!お金も手に入ったし、武器屋に行くわよ!」

「魔法使いなのに魔法の杖がないからな。」

「仕方ないじゃない。家にある魔法の杖デカすぎるんだから。」

俺達は城から武器屋へと移動した。

さすが都会の武器屋。

何でも揃っていた。

こんなにたくさんの武器があるなんて知らなかった…。

俺は魔法の杖のコーナーへと移動する。

たくさんの杖があり、中には小さな魔法の杖もあった。

「これなんかいいんじゃないか?」

俺は小さな杖を指差してランに話し掛けるが、ランの姿がない。

どこいった??

一人にするなと忠告を受けたところなのに。

俺は慌ててランの姿を探す。

すると魔法の杖とは関係のない場所に何故か突っ立ていた。

「ラン?何してるんだ?魔法の杖はこっちだぞ?」

「かっこいい…。」

そう言ってランが見つめている先にある武器は大鎌だった。

「すごいな…。こんな大きな鎌で戦う戦士もいるんだな…。」

「うん…。」

「もうよく見ただろう?魔法の杖はこっちに…。」

「私これにする。」

「は?」

「私この大鎌を買う。」

「はあああああああああ??何言ってんだ!使ったこともないくせに!」

「今日から大鎌使いになるの。」

「ランは魔法使いだろうが!」

「今日から大鎌使いです。」

「アホか!今日から大鎌使いになって魔王に勝てるわけないだろうが!」

「そんなのやってみないとわからないじゃない!!」

「わかるわ!!」

「やだ!魔法使いはもう時代遅れ!!これからは大鎌使いの時代だから!!」

「ランはお婆さんを助ける気が本当にあるのか!?」

「あるに決まってるでしょう!!私が何年努力して封印魔法練習したと思ってんのよ!」

「じゃあその大鎌は置いていけ!」

「やだ!絶対やだ!!おばあちゃんだって魔法じゃなくてこの大鎌で倒したよーって報告したら絶対喜ぶんだから!」

「喜ぶというより驚くよ!」

「いいじゃんべつに!」

「だいたいランは魔法の杖が大きいから持って来なかったって言ってただろう?この大鎌はどう見てもめちゃくちゃデカいじゃないか!こんなの持ち歩けないだろう?」

「大丈夫だから!毎日持って歩けるもん!」

「何故そこまで…。」

「かっこいいから!」

「魔法使いだってかっこいいだろう?」

「かっこよくない!ダサい!古臭い!!」

「………。」

お婆さん…。

お婆さんが一生懸命教えた魔法をこの子は今日、大鎌がかっこいいという理由だけで辞めようとしています…。

お店の人がこちらに接客に来て

「こちらの大鎌なんと魔法石も埋めることが出来て、魔法の杖と同等の力も出すことが出来ますよ〜。」

「ほら!これって私の為の大鎌じゃない?この大鎌は私に会う為に造られたんだわ!きっとそうよ!!」

キラキラとした瞳でランに熱弁される

絶対にやめた方がいいのに…

絶対にやめた方がいいのに!!

「これ…買います…。」

「わーーーい!!勇者様大好き!!」

ランにおねだりされてしまうと弱い

魔法の杖の役割も出来るならまぁ…。

明らかに邪魔そうな大鎌だけど、本人がめちゃくちゃ気に入ってるし…。

その後は服屋に行き、防具がしっかり出来るものを支援金のお陰で買うことが出来た。

ランは私は魔法使いじゃなくて大鎌使いだからと魔法使いのローブではなく、女戦士用の服を購入していた。

可愛らしい魔法のローブを着ているランも見たかったけれど、女戦士の服もこれはこれでとても似合っており、可愛かった。

可愛い女の子は何を着ても映えるもんなんだな。

「準備万端!完璧だわ!!」

「そうだな…。」

俺はその大鎌がとても不安だが

「ギルドに行くわよ!魔物の討伐依頼が来ているらしいわ!私達は王様お墨付きの勇者認定をされてるから魔物を討伐すると謝礼金が貰えるのよ!」

「おお。凄いな!」

「まずは雑魚敵からやっつけて大鎌の腕試しをするわよ!」

「うん。」

俺達はギルドに行き、魔物討伐の紹介を受けに行く。

「お、ランちゃーん♡♡」

ギルドにはタクトが居て、話しかけてきた。

「うわ、またいた。」

「タクトさんも魔物討伐に行くんですか?」

「うん。魔物相手はさすがに初めてだから低ランクから腕試しするつもりだよ。」

「俺達もです。」

「お前ら勇者試験合格したのか?」

「はい。」

「ふん。勇者様が落ちるわけないでしょう?」

「へー。凄いじゃん。おめでとう。」

「ありがとうございます。」

「ところでランちゃんその大鎌どうしたの?」

「かっこいいでしょう?」

「うん…。もしかしてランちゃんの武器?」

「そうよ!」

「大鎌使ったことあるの?」

「ないわよ。今日から大鎌使いになったの。」

タクトが凄い顔で俺を睨んでくる。

何故止めなかったのか顔で訴えてくる。

「俺はちゃんと止めたんだ…。」

「嘘つけ!もっとちゃんと止めろよ!」

小声でタクトが話しかけてくる。

「今日は大鎌使いのデビュー戦なの!魔物を倒すわよ!」

「じゃあ俺達と一緒にスライムの討伐に行く?」

タクトだけではなく、タクトは仲間が後二人いるらしい。屈強な斧使いとヒーラー担当の僧侶だ。

「いいわね!スライム!!」

ランが乗り気になっている。

俺も初めての討伐でこんな大鎌に夢中のランを守りながら戦うのは不安だから一緒に討伐に行くのはとても心強い。

「是非よろしくお願いします。」

俺達はタクトの仲間達と共にスライムの討伐に行くことになった。

スライムが出没する野原に到着し、早速小さなスライムを見つけた。

「出たわね!スライム!」

ランは大鎌を構え、スライムに攻撃する。

ブンッと大振りするが、スライムに当たらない。

「スライムが小さすぎて当てるのが難しいわね…。」そうしているうちにスライムがランに向かってぴょんぴょんと飛んでくる。

「わ!来ないでよ!」

ランはブンブンと大鎌を振り回す。

「あ!」

振り回していた大鎌が手からすり抜け、俺達の方へ飛んでくる。

「うわあああああああああああああああ!」

俺達は飛んできた大鎌を必死に避ける。

「ラン!!」

俺はランの方に目を向けるとランはスライムに近づかれてパニックになっていた。

「やだやだ!来ないで!!」

ランはスライム相手に炎の魔法を使い、燃やそうとするが、スライムに炎は効いていない。

「嘘でしょう!?だったら…」

次は水魔法をスライムに攻撃するが、水魔法も全く効かなかった。

「え!?やだ!魔法が効かない!?」

そうしているうちにスライムはランの顔の上に乗っかり、そのまま服の中をうねうねと移動しだした。

「や!やだ!気持ち悪いよぉ!やめてよぉ!」

ランは泣いてしまった…。

「ラン!」

俺はスライムがランの胸の辺りにきたときに鍵の剣で倒すことが出来た。

スライムは剣には弱いのか一撃で倒すことが出来た。

「ラン!大丈夫か!?」

「うぇっく。うえええええええええん!!勇者様あああああああああ。怖かったよおおおおおお。」

「もう大丈夫だから…。」

ランに傷があるか確認したが、スライムの粘液が全身についているだけで特に怪我はなさそうだった。

その後もランは大鎌を抱き抱えながら泣いていて、俺とタクト達だけで野原のスライムを全て討伐した。

スライムの討伐が終わり、ランに帰ろうと言うと

「うぇっく。こんなスライム一匹に勝てないなんて…。私こんな役立たずのゴミで…。うええええええええん。」

「そんなことないよ。ランは強いから大丈夫。俺達二人で魔王を倒すんだろう?」

「だって…魔法効かない…。」

「今日から大鎌使いだから大丈夫。」

「そっか…。そうだよね!!特訓して絶対魔物を倒せるようになるんだから!!」

「ランちゃん…大鎌は向いてないんじゃ…。」

タクトがランに口を挟む

「うるさい!今日はスライムだから当たらなかっただけ!明日はドラゴン倒しに行くわよ!」

「え…本気で言ってるの…?」

今日スライムを一匹も倒せなかったランはドラゴン討伐に一番のやる気を見せている。

「お前明日死ぬかもな。」

「うん…。」

俺はタクトにそう言われて肯定することしか出来なかった。

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