第33話 憧れ
私はカーラと海に遊びに来ている
カーラは露出の少ない水着を着ていたワンピースというらしい
私は女性の水着はビキニしか見たことないから驚いた
私もワンピースの水着がいいと言うと
「ランにワンピースの水着は似合わないから」
と何故かワンピースの水着を売っている店を教えてくれなかった
カーラに連れられて海へ入る
「わぁ…凄い…」
以前、クーデルと来た時よりももっと海の水が澄んで綺麗な魚がよく見えるようになっていた
「凄いでしょう?水のドラゴンがここに住み着いてから海は見違えるほど日々綺麗になっていったの。珊瑚や熱帯魚がよく見えるでしょう?」
「うん。こんなに綺麗な海初めて。」
「水のドラゴン様々だよ。リービル国は水のドラゴンのおかげで観光客が倍に増えて豊かな国になったのよ。」
「リービル国の人々は私が魔物の姿でも案外すぐに受け入れてくれたからね。魔物に対しての偏見も少ないくて過ごしやすいわ。」
「ここに住んじゃう?」
「そうね。将来的にはお婆ちゃんも連れて来てここで暮らしたいわ。」
「え!?本当!?やったー!!今すぐお婆ちゃん呼んでこようよ!」
「将来的にって言ったでしょう?今すぐには無理なの。」
「将来的にね…それこそ無理なんじゃないの?」
ちょっとした沈黙になる
「やっぱり私のこと知ってた?」
「レアジーニャ街で魔族の生き残りが魔王との共存を主張した記事はこちらにも書かれていたからね。」
「こんなところまで広まっていたのね。」
「でも名前までは書かれてなかったから。ランのことなんじゃないかって半信半疑だったよ。さっきの反応で確信したけどね。」
「カマをかけられて引っ掛かっちゃったのね。」
「純血魔族だから魔王が滅びると死んでしまうのでしょう?」
「そう。だからカイトとミランと一緒に魔王との共存を目指して旅をしているの。」
「クーデルは知っているの?」
「知らないわ。クーデルは私が魔物になったことも知らない。」
「どうして?クーデルはランに協力してくれるでしょう?」
「さぁ…そうでもないかもよ。クーデルはもう私だけの勇者様じゃなくなったからね。伝説の聖女と共に魔王を倒す本物の勇者になるんだから。」
「ランが死ぬと知って魔王を倒すわけないと思うけど。」
「どうだろう。私1人の命なんて全世界の人類の命に比べたら軽いもの。世界平和の為なら私の命なんて捧げられて当然だと思うわ。」
「クーデルに殺されるかもしれないってこと?」
「クーデルは世界平和の為に戦ってる勇者だもの。当たり前よ。」
「そんなの…ひどいよ。」
「そうかな。私はそうは思わない。何かを得るには対価は必要よ。」
「あんなに仲良かったのに…?殺されても平気なの?」
「辛くないといえば嘘になるけどね。いつかはクーデルと戦う運命になるんじゃないかな。私も死ぬ気はないからね。私の為に頑張ってくれている仲間の為にも。」
「クーデルに勝てるの?」
「カイトが強くてね。魔王との共存なんて夢物語の悪あがきだと思ってたけど、カイトなら本当に出来ちゃいそうで…最近少し希望を持ってしまっているの。」
「絶対に!諦めちゃダメだよ!!死んじゃ魔物ダメ!!約束して!!」
とカーラは珍しく大声を張り上げて私に言う
少し涙目になりながら
「うん。必ず生き残ってみせるよ。私はしぶとい女なの。」
と微笑むとカーラも安堵したように笑った
私達は海を出て噴水広場に来た
そこには勇者マルクの銅像が建っていた
「勇者マルクの冒険譚って読んだことある?」
と私はカーラに尋ねる
「ないなー。私が読むのは美術に関するものだけ。」
「そっか。私は勇者マルクの冒険譚が大好きで、何回も読んだのよ。」
「へー。意外。」
「そう?勇者という存在に憧れを抱いているのは勇者マルクの影響だと思うわ。」
「300年前に魔王を封印した勇者でしょう?」
「そう。仲間が殺されても絶望することなく、たった1人で魔王に挑んだ勇者。勇者マルクのおかげでこの世界は300年もの間平和に生きることが出来たのよ。かっこいいわよね…」
「たしかに銅像はイケメンね。勇者マルク。」
「顔じゃなくて生き様がかっこいいのよ!わかってないなぁ。」
「300年前の話なんて美化されてるだけかもよ。」
「そんなことないわよ!勇者マルクの冒険譚は手記も残っていて冒険の中で苦しみながらも人類の為に命を賭けて戦った生き様が書かれているんだから!」
「ふーん。じゃあ今度気が向いたら読んでみようかな。」
「面白いわよ!おすすめ!」
「そんなに好きなんだね。この勇者マルクって人が。」
「大好き!勇者マルク様に会いたかったなぁ。」
「300年前の人なんて会えるわけないじゃん。」
「死んで天国に行けば会えるかな?」
「冗談でもそんなこと言わないでよね。」
「あはは!」




