第29話 ミランの特訓
水のドラゴンから魔王の居場所を聞き出すことに成功したので、俺達は街へ飛んで帰る
「ドラゴンを脅して脅迫するなんて世界中でカイトだけだよ…」
とミランに呆れた様子で咎められた
「随分とお人よしなドラゴンだったからついね。水のドラゴンは俺のことを力で捩じ伏せることも可能だったはずなのに、人間を殺さないという魔王様の意思があるせいで反撃することはないと踏んでいたからね。」
「カイトでもドラゴン相手はやっぱり勝てないの?」
「本気を出されたら流石に骨が折れそうだとは思うね。負けるつもりはないけれど。」
「じゃあ水のドラゴンがカイトを噛み殺そうとしてきたら戦うつもりはなかったの?」
「そうだね。ここで命懸けで戦う理由もないし、魔王の居場所はまた別の方法で手に入れればいいからね。お人よしのドラゴンでラッキーだったよ。」
「なんか水のドラゴンよりカイトの方が悪人に見えたよ…」
「善悪で俺は行動していない。俺達の目的は人間への反逆とも取れる。そうだろう?」
「別に責めてるわけじゃないさ。頼もしいからよかったよ。」
「嫌悪感丸出しで話してきたくせに。」
「嫌な人間だなとは思うからね。」
「ランを助ける為に命懸けで戦っているのに酷いな。」
「ごめんて。カイトが味方で心強いよ。敵に回れば恐ろしいなと思っただけさ。」
「敵に回る?どうして?そんなことを考えたのか?」
「だって…カイトの1番好きな女の子はこの世界の聖女であり、魔王を倒す存在なんだろう?俺達と相反する立ち位置にいる存在だ。聖女には逆らえないんじゃないのか?」
「なるほど。当然の疑問だな。」
「どうなんだよ。」
「マリナは女神のように優しい人だ。魔王を倒せばランが死ぬと知ったら魔王を倒すとは言わないよ。」
「もしもそれでも魔王を倒すと言ったら?」
「うーん…どうしようかな。」
「ほら!あり得ない話じゃない。カイトはマリナとかいう女の方が大事なんだから裏切る可能性はある。」
「でも俺はランを生かす為に命懸ているよ。それは本当だ。」
「今は味方だから心強いよ。」
「じゃあ絶対に裏切らないミランがすることは俺が裏切った時にランを守る方法だね。」
「うぇ!?そうだけど…自分が裏切るかもしれないからって…恐ろしいことを堂々と言うなよ。」
「その時にならないとわからないからな。街に帰ったらミランの特訓でもするか。ランはまだこの街で遊びたいだろうし、暇だろ?」
「強くなれるならそうしたいけど…」
そうこうしているうちに俺達は街に戻り、ミランが強くなれる特訓を考える
「まず忠告しておくが、俺に力で勝てるわけない。」
「嫌な忠告だな…」
「今からどんな強力な魔法を会得しても俺はミランには絶対に負けない自信があるよ。」
「そうですか…じゃあどうすればいいんですか?」
「俺とランが戦えばどちらが勝つかわからない。」
「互角なんですか。」
「正直に言うと俺の方が弱冠不利だ。ランは人間相手には誰にも負けないぐらい最強だ。俺がかろうじて勝てる可能性があるぐらいだ。」
「ランってそんなに強いんですね…」
「だからミランがすることはランのサポートだ。」
「なるほど。」
「回復魔法とか覚えれば勝率は確実に上がる。」
「俺は魔物なのに回復魔法なんて使えるのか?」
「だって修復魔法は使えるんだろう?純粋な魔物じゃない元人間のミランなら人間が使う魔法が使えるということだ。」
「確かに…」
「とりあえず魔法書でも読んで回復魔法のやり方を学ぶぞ。」
「本を読んですぐに会得出来るものなんですかね…」
「修復魔法は学ばなくても使えるんだろう?魔法は才能が全てらしいからな。読んだだけで使える可能性はある。」
俺達は図書館へと向かい、回復魔法の魔法書を探した
「お。あった。あった。」
「上級魔法書とか書いてますけど…」
「ええと…回復魔法とは細胞の活性化を素早くさせる修復魔法と時間回帰の複合魔法であり高度な構築魔法である。」
「時間回帰魔法から覚えないと出来ないみたいですね。」
「時間回帰魔法は…血筋で使える魔法使いは決まっており、使えない魔法使いの方が多い。」
「え。無理じゃないですか。」
「よし。時間回帰魔法を使え。」
「いやどうやって!」
「血筋で。」
「いやいやいや!途中から魔物になって魔法が使えるようになっただけの俺に血筋も何もないって!」
俺はミランの歯を
バキッ
と一本折った
「いってえええええええ!!何すんだよ!!」
ミランは怒りで無意識に俺にブレスを当てて攻撃する
騎士達はこのブレスにあたり死んだのだろう
俺は剣でブレスの軌道を変えて避けた
図書館はブレスでバサバサと本が倒れていくので、俺はミランを連れて見つからないようにすぐに外へと逃げた
「急にブレスを吐くな。人間を殺したら魔物の印象が悪くなるだろうが。」
「急に歯を折る方が意味不明だろうが!!」
ミランの口からまだ血がボタボタと垂れている
「回復魔法で回復すればいい。」
「ぐううう!!クソがああああああああああああああ!!!」
ミランは魔法を使って歯を復活させて回復させた
「お。本当に出来た。すげぇな。ミラン。」
「俺は絶対攻撃魔法を会得していつかカイトが裏切った時にぶち殺す!!」
「ハハッ!それは無理だよ!さっきのブレスも全く脅威を感じなかったからね。攻撃は向いてないよ。よかったじゃないか。ランが攻撃するからミランはランのサポートに回る仕事ができる。相性がよくてよかったな。」
「人の歯をいきなり折っておいて謝罪もないのか!?」
「回復魔法を会得するのに1番手取り早かっただろう?」
「回復魔法が使えなかったらどうするつもりだった!?」
「別に歯が一本なくても困らないだろう?差し歯でも入れておけばいいんだから。」
「せめて一言声を掛けるとか!」
「今から歯を折りまーすって?ミランが同意するとは思えないな。」
「だからって急に歯を折るな!!この悪魔!!」
「回復魔法を会得出来てよかったじゃないか。感謝されたいぐらいだよ。」
「死ね!!!」
激怒してミランは先に宿へと帰ってしまった
人との付き合いは難しいものだな




