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君だけの勇者様  作者: ama
チート系勇者様
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第28話 水のドラゴン

ランとカーラは朝も昼も夜も四六時中一緒にいて、キャッキャウフフとそれはもう仲睦まじく遊んでいる

ランは一匹狼気質であり、幼馴染である俺にも未だにツンツン気味だ

育ての親のチャイナお婆さん相手にもツンデレ全開で素直になれないのに

カーラに対してはデレ全開だ

こんなにも素直に笑顔で楽しくしているランを見ることは初めてだ

ランにとってカーラの存在は心を許せる特別な存在であることは間違いない

「ランが全然構ってくれない…」

と隣にいるミランがグズっている

「見ろよ。あの笑顔。俺達相手には絶対にしないぜ。」

「うぅ…」

「別人みたいだよなぁ…こうやって見ると普通の女の子にしか見えん。」

「俺は1ヶ月一緒に同居して過ごしたけど、あんなに笑った顔見たことないよ。」

「俺なんか14年一緒の村にいたけれど、あんなに笑うランは初めて見るよ。」

「一緒にランチ食べようと誘ってみたけれど秒速で断られたよ…」

「カーラに勝てるわけないだろ。」

「ゔぅ…だって!たまにはさぁ!!俺達のことも構って欲しいじゃん!!なんで俺はずっとカイトと一緒にご飯食べて、海で遊んで過ごさないといけないだよ!!虚しいよ!!」

「俺達の絆が深まってよかったじゃないか。」

「全然深まってないよ!何の勝負をしても毎回負けるからムカつくよ!!」

「勝負に手を抜いたら失礼だろう?」

「ビーチバレーもかけっこもチェスも挙句の果てにじゃんけんまで勝ったことないぞ!!」

「俺は強いからな。」

「毎回負ける勝負なんこおもんないわ!ああ…ランに癒されたい…カイトに虐められた心を慰めてもらいたい…」

「女々しい男だな。」

「うるさい!何が絆だよ!寧ろちょっと嫌いになったぞ!!」

「出来る男は嫉妬されるものだからな。宿命だから仕方ない。」

「ムカつくわ〜。」

何度も勝負をして絆が深まったと思っていたが、どうやら嫌われたらしい

クーデルも毎回勝負をして負けさせていたからな

俺にコンプレックスがあったのは気づいていたが、強くなるには手を抜くわけにはいかない

まぁ…1番勝ちたい勝負は負けたけどな

「ここには息抜きのバカンスに来たんだ。ランが誰よりもこの街で楽しんでストレス発散出来ていそうでよかったよ。」

「俺のストレスは溜まってるけどな。」

「ランに振られたからな。もう自分の村に帰れば?」

「まだ振られてない!それにランが生き残る手伝いをどんなことがあってもやり遂げる覚悟でここにいるんだ。俺の気持ちが実らなくても帰る気はない。」

「失恋した女なんて関わらない方がいいと思うけどな。」

「まだ失恋したわけじゃない!!」

「カーラに完全敗北してるくせに。」

「ランは恋人よりも友人の方が大切なタイプなんだよ。」

「それ言ってて苦しい理論だと気づいているか?」

「うるせぇ!!」

「ランって恋人が出来ると意外と甘々にデレデレになるのかもなぁ。他の人には塩対応のくせに1人だけ特別にそんなデレデレされたらたまんないだろうなぁ。」

「クーデルはそんなランを振ったんだろう?信じられないよ。」

「マリナは人類で1番可愛いから仕方ないよ。」

「クーデルみたいに優しい男が結局1番モテるんだろうな。」

「俺だって優しい男だったぞ。」

「いや…絶対優しくなかったと思う。」

「マリナには超絶優しくしていた!!」

「他の人間には優しくなかったんだろう?」

「無能な人間を矯正していただけだ。」

「その態度が嫌われていたんだよ…」

「俺が世界一幸せにしてやることが出来たのに。」

「好きな男と一緒にいた方が幸せだろ。」

「人の傷口を抉るな。俺もミランのことが少し嫌いになったよ。」

「ハッ。俺がランに相手にされないことを笑ってるくせに。お互い様だろ。」

「それもそうか。」

このままでは俺達の仲が悪くなる一方だ

野郎2人だけでバカンスはきつい

でもあんなに楽しそうにしているランの邪魔をするわけにはいかない

「カーラにはランがもうすぐ死ぬ可能性が高いことを言うなってランから口止めされてる。」

「変に気遣われるのが嫌なんだろうな。」

「おそらくこの街でしかランが素直に遊べる場所はないからな。今は先のことは考えずに楽しく毎日を過ごせていいじゃやないか。」

「ランチぐらいは付き合って欲しいのに…」

「無理無理。いずれこの街も出ていくんだ。俺達なんて相手にする時間勿体ないと思ってるよ。」

「もう1週間もまともに話してないよぉ!」

「暇なら情報収集にでも行くか。」

「どこに?」

「水のドラゴンに。」

「はぁ?ランがいないのにどうやって近づくんだよ。船では波が高くなるから近づかないって言われてたぞ。」

「ミランも飛べるじゃないか。その羽で。」

「ええ?俺1人で偵察に行けって?」

「さすがに頼りないから俺も一緒に行く。」

「どうやって?」

「ミランに乗って。」

「はぁ!?無理無理無理!!カイトみたいなでかい男を乗せて飛べないよ!!」

「軟弱だな。ランなら出来るくせに。」

「ランは軽いからだよ!俺よりもでかい男を乗せて飛べないよ。」

「人を簡単に殺せるぐらいの力があるくせに…本当に無理なのか?試しに俺を抱っこしてみろよ。」

「え…嫌だ…」

「ランを助ける為だぞ。早くしろ。」

俺がそう言うと渋々ミランは俺をお姫様抱っこする

「…意外と持てるな。」

「そうだろう?ミランは人間の時より力が強いんだ。俺を担いで飛ぶなんて簡単のはずだ。」

「でも姫抱っこで移動するなんて嫌すぎる…」

「文句言うな。ランを助ける為だぞ。」

「わかってるよ…」

俺はミランに姫抱っこをされて水のドラゴンがいると言われている海へと飛んで行ってもらう

30分ぐらい飛ぶと水のドラゴンの姿が見えた

ミランに近づいてもらい

「おーい。水のドラゴンさん。少し聞きたいことがあるんだが。」

と俺が声を掛ける

水のドラゴンはこちらを見て尻尾で追い払うように攻撃してきた

「うわ!危ねぇ!!」

とミランが避けてくれた

水のドラゴンは警戒してこちらを伺っている

「おい!話が通じる気がしねぇよ!帰ろう!」

「待て!俺達は魔王と共存を目指している!純血魔族のランを死なせなくないんだ!!」

と俺が水のドラゴンに話すと

『魔王様は人間を愛している。魔王様の意思は魔物の滅亡。我らは死ぬ運命だ。』

と話してくれた

「君は人間を守るドラゴンだと聞いている。どうしてそんなことをしているんだ?」

『魔王様の意思が我らの全て。』

「でも死ぬのは嫌じゃないのか?」

『…。』

「魔王様はどこにいる?」

『貴様のような強い人間に教えるわけないだろう。』

「どうしてだ?魔王を討伐させて人間を保護するのが本当に目的なら教えるべきだろう?」

『…。」

「君も本当は死にたくないんじゃないのか?」

『そうだとしても我々は魔王様には逆らえない。ここで朽ちるのを待つだけ。』

「人間との共存を説得する。人間の保護なら耳を傾けるかもしれない。」

『無駄なことだ。』

「やってみないとわからないだろう?魔王様はどこにいる?」

『我はまだ死にたくない。』

「魔王を倒さない。話し合うだけだ。」

『信用ならん!帰れ!!』

海な波が高くなりこちらを攻撃しようと威嚇してきた

「君が戦うつもりならこちらも戦って口を割らせてもらう。」

『帰れ!!』

大波が俺達を飲み込もうとする

俺はミランから離れて水のドラゴンに飛び乗った

ワイヤーを取り出してドラゴンの体をひょいひょい飛び乗って拘束する

『無駄な足掻きを!!』

ドラゴンはいとも簡単に体を動かしワイヤーを引きちぎった

「流石に無理か。」

『早く立ち去れ!』

俺は水のドラゴンの口の中に入り込む

口の中から剣先を喉に当てる

「魔王の居場所を吐け。俺を噛み殺そうとするなら喉元を切り裂いてからお前の体の中を次々に切り裂いて殺す。」

『…。』

水のドラゴンは動きをピタリと止めた

「交渉成立だな。俺は口から水のドラゴンの上へと移動する。」

『話せなかっただけだが。』

「殺そうとしなかった。それが全てだ。」

『はぁ…めんどくさい。勝手にしろ。私は余生をここで穏やかに過ごしたいだけだ。魔王様はここから北にある雪山に住んでいる。』

「どうもありがとう。お礼は必ずするよ。」

「いらん。2度と顔を見せるな。」

俺は再びミランに姫抱っこしてもらって街へと帰った

「魔王の居場所がわかったのは大収穫だな。ミラン手伝ってくれてありがとう。」

「ドラゴン相手に脅して情報を得るなんて恐ろしいことするなよ…」

「優しいドラゴンでよかったよ。」

「カイトの方が悪役だったよ。」

ランを助ける為に命懸けで情報を得たのに酷い言われようだな


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