第27話 仲直り
俺はミランにランが魔物だとこの絵を描いた友人に知られたから泣いた可能性が高いことを伝えた
ミランも魔物であることというだけで差別を受けた過去があるからだろうか
ランに共感して悲しんでいた
ミランも魔物だからランの友人と接触するのは辞めた方がいい
「俺が1人で会いに行ってみるよ。」
そして夜になり、俺はランの友人を探しに行く
ランが風魔法で海の上を飛んでいる絵を頼りに場所を予想して行ったが一発目で当たりだったようだ
海辺の近くで絵を描いている女の子を見つけた
俺は邪魔をしないように背後から近づくと
パッとすぐに後ろを振り向かれた
気配を消していたはずなのにただの一般人の女の子がすぐ気づくなんて驚いた
いや…ただの一般人ではないのかもしれない
「君が…ランの友人かな?」
俺は気付かれて目が合ったので話しかけた
ランの友人は穏やかに笑って丁寧に挨拶をしてくれた
「初めまして。カーラと申します。貴方は?」
「カイト。ランの幼馴染だ。」
「カイトさん。今日はランのことで話があって会いに来てくれたのでしょう?ランは私のことをなんて言ってました?」
「いや…ランは布団に篭って出てこなかっただけだよ。俺が勝手に調べて君に辿り着いただけさ。」
「ランに内緒で?」
「内緒というか…まぁそうだな。」
「フフッ。クーデルさんと一緒ですね。」
「クーデルとも友人なのか?」
「いいえ。私はクーデルさん大嫌いです。ランを独占したいくせに他の女が好きだという最低な男ですからね。」
「ランはクーデルに振られたショックで魔物になったんだよ。」
そう言うとカーラは驚いた表情をして、その後すぐに悲しげな顔をした
「そう…だったんですね…」
「失恋したショックで魔物になったランが久しぶりに会った友人に拒絶されてもっとショックを受けて塞ぎ込んでしまったんだ。」
「いや…いきなり現れて魔物になってたらそりゃあ警戒しますよ。夜中に1人だし。」
「まあ…それもそうか。」
「そうですよ。久しぶりに会った友人が魔物になったら私だってショックですよ。」
「でも傷つけることを言うのは違うだろう?」
「何も言ってないわよ!驚いて怯えてしまっただけ。私が怯えたらとてもショックを受けて去ってしまったわ。」
「それだけか?」
「それだけよ。私は何も言ってない。」
「はぁ…。急に魔物が現れたら女の子なら怯えて当たり前なのにな。薄々気づいていたが、ランってメンタル弱いな。」
「失恋したショックで魔物になるんだから強くはないでしょうね。弱くみられたくない負けず嫌いで努力して強くなる修行をしていたようだし。」
「すまない。ランが迷惑かけたな。」
「私は何も…今日もランが来てくれたのかなと思って昨日怯えてしまったことを謝ろうと思ってたのに。」
「魔物になってからメンタルが弱くなってるようだ。すぐに泣く弱虫になってるが、変わらず友人でいてくれると嬉しい。」
「ランはずっと魔物のままなの?人間には戻れないの?」
「ランは実は生まれた時から魔物なんだ。この世で唯一の純血魔族。人間にはなれない。」
「そっか…。でもランは魔物になっても変わらないわよね?理性を失って襲ったりしないわよね?」
「角と翼と尻尾が生えて泣き虫になったぐらいだよ。」
「フフッ。じゃあ前より可愛げがあっていいかもね。」
「前よりめんどくせぇ女にはなったけどな。」
「カイトさん。私、ランと仲直りがしたいです。協力してくれますか?」
カーラは満面の笑みで言った
「カーラはランが怖くないのか?」
「正直、会った瞬間は怖かったですよ。でも私が怯えたらすごく傷ついた顔をしたんです。それで…ランは変わってないんだと確信しました。今はちっとも怖くありません。」
「そう…じゃあ一緒にランの部屋に見舞いに行こう。体が重くてだるくてしんどいらしいからな。」
俺達はランの宿の部屋に入る
「ラン。カーラが見舞いに来てくれたぞ。」
と声をかけるとランは驚いてベッドから飛び起きた
「えっ!?はっ!?」
パニックになっているランを無視して俺とカーラは部屋に入る
ランは思わず布団をまた被って角と羽と尻尾を隠した
「ラン。昨日は急に魔物になったランを見て驚いただけなの。もう一度顔を見せて。今度は怯えたりしないから。」
カーラが言ってもランは布団から出てこようとしない
俺はバサっと無理矢理布団を剥がす
「辞めてよ!カイト!!」
「いつまでうじうじしてんだ!お前の友人が仲直りに来てくれたんだ。顔を見て話せ!!」
「鬼!悪魔!!!」
俺には敵意剥き出しでキレていたが、
カーラの視線に気付き、涙目になり自分の角を手で隠す
「ごめん…魔物になっちゃった…」
とランが震えた声でカーラに言う
「聞いたわよ。クーデルに振られたから魔物になったんだって?」
とカーラが言うとポロポロと大粒の涙がランの目から溢れる
「だって…悔しくて…可愛くて性格良くて幼馴染のマリナに勝てるわけないもん…」
「確かにランの方が性格悪いしメンヘラだし魔物だしいいところ全然ないかもしれないけど…私はそんなランが大好きだよ。」
そう言ってランが隠してした角をそっとカーラは撫でた
「ランが魔物になっても私達はずっと友達だよ。また会いに来てくれてありがとう。」
カーラがそう言うとランはカーラに抱きついてわんわんと大声で泣き出した
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになったランの顔が幸せそうで
大事な友人と仲直りさせられてよかったと安堵した




