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君だけの勇者様  作者: ama
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第7話 才能主義

朝目が覚めると隣にはランがまだ眠っていた。

とても満足そうに幸せそうに眠っていた。

俺の隣でずっと幸せに暮らして欲しいと心の底から願った。

ランが信じてくれる勇者になれるように。

ランの隣に堂々と立てる男に。

俺を勇者にしてくれた。大事な女の子。

「おはよう。ラン。」

俺はランを起こす。

「うるさい!!」

ランは俺の手を振り払い起きることを拒否した。

「そろそろ起きないと。今日は勇者試験の日だよ?遅効する訳にはいかない。」

「わかってる…。わかってるから…。もうちょい寝かせて…。」

「朝食食べる時間なくなるよ?」

「朝食要らないからもうちょい寝かせて…。」

ランはこんなに朝が弱いのか。

毎朝よく遅効せずに学校に来てたな。

マリナはよく遅効してたけど。

「朝食は毎朝食べないと元気出ないよ?」

「うるせぇ!くそばばあ!!もうちょい寝かせろって言ってんだろうが!!」

「俺はお婆さんじゃないんだが…。」

寝ぼけている。

毎朝お婆さんはランとこんなやりとりをしていたのだろうか。

さっきまで天使のような寝顔だったのに今は悪魔だ。

「おい!勇者試験遅れるぞ!」

「ゅ、、勇者試験んんん?」

「起きたか?」

「今何時?」

「六時。」

「試験は何時?」

「十一時頃かな。」

「おやすみ。」

「おい!寝るな!!」

「馬鹿じゃないの?まだまだ寝れるじゃん!」

「一緒に朝食食べて、街を散策しようよ。」

「一人でどうぞ。」

「ランを一人残して行けないよ。」

「大丈夫ですので、寝かして下さい。」

「そんなに寝てたら時間がもったいないよ?ほら、街にあったカフェがモーニングメニューをやってたよ。朝限定のパンを食べれるのは今しかないんだよ?」

「………。」

「食べたいだろう?一緒に行こうよ。」

「…わかった。起きる。」

ようやく起こすことに成功した。

この様子だとランは毎朝起きることが苦手で、お婆さんと喧嘩していたようだ。

パンが好きなのか意外とあっさり起きてくれた。

好きなもので誘惑して起きすことはこれからも有効かもしれない。

モーニングメニューがあるカフェへ行くとモーニングメニューは朝の十時までやっているらしく、騙された!とランは怒っていた。

しかし、焼きたてのパンが食べ放題のメニューでランの機嫌はすこぶるよくなっていった。

満足そうにパンを頬張る姿はとても愛らしかった。

「ランはパンが好きなんだね。」

「大好き!おばあちゃんと一緒にによくパンを作って食べていたわ。この焼き立てのふわふわがたまらんのよね。」

「料理は好きなの?」

「うん。自分で好きなものを作れるからね。」

「今度ランが作った料理も食べてみたいな。」

「キッチンと材料があればいつでもいいわよ。」

「旅の途中は難しそうだな。残念。」

「フフフッ。魔王倒して村に戻ったらご馳走してあげる。」

「楽しみにしてるよ。」

「おばあちゃんは怪しい鍋で魔法薬を作ったりもしてたなぁ。」

「ランは作らなかったの?」

「私ね。作れなかったの。」

「難しいの?」

「簡単な魔法薬も作れなかった。教わった魔法はたくさんあったのに、私が使える魔法は自然界にあるものだけ。火、水、風、氷、土、雷魔法しか使えないの。もちろん封印魔法は何度も何度も練習したのに簡単な基礎もできなかった。魔法は才能が全てなのよ。練習しても出来ない魔法は出来ない。理不尽だわ。私の中の魔力は高いのに。」

「そうなんだ。魔法って大変だね。」

「おばあちゃんに使えない魔法はなかったわ。ムカつくことにね。才能主義の魔法界隈が憎い。」

「剣士だって才能だよ。俺はカイトから毎日訓練をつけて貰っていたのにカイトみたいな筋肉は全然つかなかったし…。」

「努力しても実らない辛さ。わかるわよ。」

「毎日カイトに負けて劣等感だけが募っていくこの気持ち。」

「双子はあっさりと封印魔法の基礎が出来た時の辛さ。」

「辛くなってきた…。この話はやめよう。」

「今日も言われるのかな王様にお前には才能ないって。」

「こわいこと言うなよ…。」

「そんなこと言われたら大暴れしてやるけどね。努力家舐めんなよって。」

「フフフッ。もし落ちても二人で魔王倒しに行こうな。」

「当たり前じゃない。行くなと言われても絶対やめないんだから。支援金目当ての個人面接をするだけよ。」

「そうだな。」

今日、俺が落ちてもランは俺のことを信じて魔王討伐の旅を続けてくれるだろう。

それだけで俺は誰よりも強い勇者になれる。

パン食べ放題でお腹が膨れ、その後二人で街を散策した。

ハーデス村にはないものばかりで見ているだけで楽しかった。

特に気に入ったのは音が鳴る箱。

オルゴールというらしい。

箱を開けると音楽を奏でる。

綺麗な音色が鳴っておりとても驚いた。

ランは髪飾りの店が気に入ったらしい。

頭にリボンやお花を飾るらしい。

かわいいと色々な髪飾りを手に取って見ていた。

こうしてみていると年頃の可愛い女の子なんだなと実感する。

街を散策した後、城へ行き勇者試験を受けに行く。

緊張はするが、結果がどうであれ俺達は冒険を辞めるつもりはない。

王様から不合格にされても俺の隣の女の子はきっと俺を信じてついてきてくれるから。

 

 

 

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