第22話 男子禁制の街
俺達はランがクーデルと旅をしていた時に、ランがこの辺りで悪事を働いていた悪い男共を全員皆殺しにした街へと向かう
ランはハァ…と大きく溜息をよくついており心底嫌そうにしている
「察するにその街の男共は最低最悪のクズ野郎だったんだろうけど、解決方法があまりにも過激すぎるだろ。」
「説教は受け付けません。全員殺したから平和になったのよ。後悔はしてないわ。」
「お人よしのクーデルには解決出来なさそうだからな。1人で悪になって罪を背負う選択をするしかなかったんだろ。」
「だからむかついたから殺しただけだってば!」
「悪魔的な発想だな。」
「純血魔物なのもでね。」
「種族を理由にするな。種族は関係ない。俺とランは同じ心を持った生き物だ。そこに差異はない。」
「わかってるわよ…」
「今後は同じような状況になっても虐殺は絶対にするなよ。」
「わかってるわよ。」
「本当か?」
「クーデルはお人よしだから解決出来ないけど、カイトならなんとかするでしょ。」
「俺は虐殺なんかしねぇよ。もっと上手く収める。」
「そうでしょうね。私が何もしなくてもカイトなら何でも上手くやってくれるから信用してるわよ。」
「わかってるならいい。」
俺達は目的の街へと到着した
「ここは男子禁制区域です。」
と街へと入る前に門番のような女性が俺とミランを止めた
門番の女はランの顔を見ると
「あぁ…ああああああああああああ!!救世主様!!救世主様がおいでになさった!!」
と声と声と体を震わせて叫んだ
その声に街の人々も気づいて
「救世主様!!!」
「本物だわ!!」
「早く!!宴の準備!!」
「どうぞ!救世主様!!また来て頂きありがとうございます!!」
「同行者の方々も救世主様の知り合いの方なら男性でも通しますね!」
と街にいる女達は大騒ぎをしながら急いで俺達をおもてなしの準備をしている
「この街に町長はいるのか?」
「いいえ。格差なく平等に過ごしたいという願いから役職などは特に決めないことにしたので。みんなで助け合って生きています。」
「男がいなくなって大変じゃないか?」
「とんでもございません。あの日、救世主様に助けて頂いてから街に笑顔が戻りました。感謝してもしきれません。」
「この子は救世主様じゃなくて、ランって言うんだ。」
「そうでしたか!ラン様…お名前を知れて嬉しいです。」
「この街の人々は全員ランの顔を覚えているのですね。驚きましたよ。ランがいたのは1日だけだったはずなのに。」
「街で1番絵が上手い女の子がラン様の肖像画を描いていますので…その絵を見てみんなラン様の顔は覚えているのですよ。」
「肖像画ですか。見てもいいですか?」
「もちろんですよ!どうそこちらへ。」
と俺達は肖像画があるという街の中心にある憩いの場へと向かった
「これです。どうですか?とてもよく描かれていますでしょう?」
その絵はランが大鎌を構えて炎の魔法を纏い、男達の死体が焼き炭となっている様を描いていた
禍々しい死神のようにも見えるし、神々しい救世主のようにも見える
本当によく描かれている素晴らしい作品だった
しかし…この作品が残っているのはまずい
ランが虐殺した証拠品そのものだ
「あの…この絵は頂いてもいいですか?あまりにも素晴らしいので…」
「もちろんです!描いた子も大喜びすると思います!」
「今後もランのことを描くのかな?その子は。」
「もちろんですよ!ラン様はこの村の救世主ですから。この子が描いたラン様の肖像画は大人気でみんなお守りにしてるのですよ〜。」
「えっ。他にもこの絵がたくさんあるのですか?」
「製作に時間がかかりますから何枚もあるわけでないですけど。」
「全部回収して見せてくれ!」
「わ…わかりました…」
ランの肖像画は全部で4枚あった
他の肖像画はランの顔をよく再現するような絵だった
虐殺している様子は描かれていない
「単刀直入に言うけど、ランがこの街で男共を虐殺したことは他言無用にして欲しい。ランが人殺しをしたと知られると人殺しをしたとしてランが殺されてしまう。」
「え!?そうなのですか!?」
「見ての通りランは魔物だ。人を殺したと知られたらすぐに殺処分されてしまう。絶対に虐殺の事実を知られてはいけないんだ。」
「そ…そうですよね。ごめんなさい。私達テンション上がってしまってラン様の肖像画なんて作ってしまって…」
「俺が貰った絵以外は普通に顔が描かれているだけだからいいよ。」
「えっと…ラン様の栄光を讃えて銅像を作成する予定なのですが…」
「今すぐ中止して!!」
とランが叫んだ
「いいじゃねーか。銅像。作ってもらえよ。」
「絶対いや!」
「ここで生きた証になるぞ。」
「生き残るからいらないの。」
「フッ。それもそうか。」
俺達はそれから用意して貰った宴に参加した
豪華な食事と踊り子が目の前で芸を披露している
宴ではラン様ラン様とランはずっと女達に囲まれていた
ランを教祖様のように街の女達はランを崇めている
ランは戸惑い終始困っている様子だった
あわあわしているランは新鮮で面白かった
「みんな!聞いてくれ!!ランは純血魔族であることが判明した。魔王が討伐されるとランは消えてしまう。俺達は魔王と共存する世界を目指して旅を続けている!!魔族と人間は仲良くする未来作りをランの為に手伝って欲しい!!」
と俺が大声で演説をすると
「ラン様の為に!!」
「魔族様万歳!!」
と大盛りしている
「ランが人殺しをしたことは他言無用にして欲しい!!魔物になってしまったランが人を殺したと知られたらすぐに殺処分にされてしまう!!」
と俺が言うとざわざわと騒ぎ出した
「嘘でしょ…」
「ラン様殺されちゃうの…?」
俺は最後にかっこよく演説する
「この街の人々には覚えていて欲しい。ランはこの街を救った救世主であることを!!」
街の女達はわーーーーー!と大盛り上がりしている
「ラン様万歳!ラン様万歳!!」
とみんなランを崇めていた
ランは居心地が悪そうに超絶下手くそな愛想笑いをしていた
早く帰らせて欲しいとランの瞳は全力で俺に訴えている
面白いので放置しておいた
純血魔族でもこんなにたくさんの人達がランを慕ってくれている事実が純粋に嬉しく感じた
ランのやったことは褒められることではないが、間違いなくこの街の救世主だったのだろう
魔族だって幸せに生きていける
そう思わさせてくれた宴だった




