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君だけの勇者様  作者: ama
チート系勇者様
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63/72

第21話 善良で無害な魔物

俺達の旅にミランも加わり新たな街へと旅立った

ランもミランもフードを被って姿を隠すことなく堂々と魔物の姿で旅をした

「うわああああ!!」

俺達が歩いていると突然、目の前から騎士が襲ってきた

ランは驚いてずっこけたが、俺はランの目の前に即座に立ち剣を抜いて応戦する

「待て待て待て。この魔物は善良な魔物だ。剣を収めてくれないか。」

俺は冷静に騎士に話しかける

「善良な魔物?この世にそんな魔物は存在しない。」

「お前騎士だろう?レアジーニャ王国で演説した魔物を知らないのか?」

「まさかこの女がランとかいう魔物なのか?」

「その通り。」

「はぁ…」

騎士は剣を収めて言う

「魔王が倒されたら死んでしまうんだっけか?残り少ない命を狩るほど俺は冷たくないからな。」

「魔王と共存する未来を作るよ。」

「お前はランと知り合いなのか?」

「幼馴染だ。」

「その子に情があるから庇うのは理解出来るが…残り少ない人生を穏やかに過ごす方がいいと思うけどね。」

「ご忠告どうも。いかんせんランは破天荒だから底意地が悪くてね。諦めが悪いんだ。仕方ないから死ぬまで付き合ってやってるんだ。」

「カイトから旅に出ようって誘ったくせに…」

とランに反論されてしまう

「突然襲ったりして悪かったよ。ランちゃん。」

「いえ…騎士としては人間を守る為に魔物を見つけたら討伐することは当たり前ですし…」

「人間を1人でも殺したりしたらその首跳ねさせて貰うけどね。」

「やだなぁ。私は善良で無害な魔物ですよ。」

「善良で無害な魔物ね…」

騎士は少し考えるような仕草をして目の前のランを見つめた

「この辺りは少し前まで治安が悪くてね。盗賊や人身売買の誘拐が横行していた。」

「だから貴方がここに派遣されたのですか?」

「そうだ。俺が派遣されたのは1年前だ。盗賊や人身売買を見つけ次第取り締まってはいたが、なかなか減らなくてね。困っていたんだ。」

「それは大変でしたね。私は忙しいのでこれで…お仕事頑張ってください。」

「ある日を境にピタリと盗賊も人身売買もなくなった。」

「…。」

「調査を進めると、この近くにある街の男達が盗賊や人身売買を繰り返していたようだ。その男達は一夜で全員殺されたらしい。街中全ての男だけが焼き尽くされた。」

「そんなことが可能でしょうか。」

「可能だったんだよ。その街に残った女子供達はみんなその子に感謝していたよ。炎を操る死神の女の子が助けてくれたと言っていたな。」

「私を疑っているの?」

「魔物は炎や水の攻撃を得意だからね。ランちゃんがやったんだろう?」

「そんなの知らない。」

「ランちゃんは嘘をつくのが下手くそだね。目を逸らしてバツが悪そうな顔をしていたら自分がやりましたと言っているようなものだ。」

俺は2人の間に割り込みランを擁護する

「死んだ男達は死ぬべき悪事を働きすぎたんだ。そいつらが死んで誰が悲しんだ?街の人々もお前も感謝しているだろう。」

「どんな悪事を働いていても虐殺は悪だ。そうだろう?男だけ全員皆殺しにしたんだ。あと街にも善良な男だっていたかもしれない。」

「お前らが早く対処して仕事をしていればランが虐殺するようなことにはならなかった。」

「論点をずらすなよ。虐殺は悪だ。そうだろう?」

「…今後はランには絶対にそんなことはさせない。人間には傷一つつけないよ。」

「カイト君?って言ったけ?善良で無害な魔物なんて存在しないと思うよ。幼馴染が突然魔物になったのは可哀想だと思うけどね。」

「ハハハ!善良で無害な魔物だなんて俺も思ってないよ!ランは口が悪いし、意外と泣き虫でメンタルも弱いし、めんどくせぇ女だけど…命を賭けて守る価値がある女だと思ってるよ。」

「そうかい。俺はもう歳だから若者のラブロマンスには興味ないね。」

「ラブロマンスは俺とランじゃなくて、そこにいる魔物のミランとランだよ。」

「何言ってんだ!ばか!!」

とミランに突っ込まれた

「どっちにしろ興味ないよ。」

と騎士が言うとランの方をチラリと見る

「個人的にはランちゃんに感謝しているよ。俺達はあの街の男共が悪事を働いていると知っていながらも現行犯で取り締まることしか出来なかったからな。未遂だと厳重注意で解放するしかなくこの辺りは治安が悪くなる一方で…何度も殺してやりたいと思っていた。男達を全員皆殺しにしたのはやりすぎたとも思うけれど、みんなこの辺りの人々はランちゃんに感謝している。ありがとう。」

「騎士様が虐殺にお礼を言うなんて絶対にダメだと思うけど。」

「まぁね。でもみんなそれぐらい苦しんでいたんだよ。今ではすっかり治安も良くなって平穏な日々を暮らすことが出来るようになった。」

「そう…」

「あの街には行かないのかい?」

「絶対嫌。行きたくない。」

「それは残念。お礼も出来ずに帰ってしまったとみんな嘆いていたから。」

「私はムカついたから虐殺しただけ。美談にするべきじゃない。」

「それは…そうか。ランちゃんはもっと気が強くて性格悪いと思っていたけれど、意外とお人よしなんだね。」

「私のことをお人よしなんて言うの貴方だけよ。」

「そうかなぁ?まぁ魔王が倒されるまでの命だし頑張ってね。」

と言って騎士はヒラヒラと手を振り去って行った

「街で男を虐殺したなんて聞いてないが。」

と俺はランに詰め寄る

「自分の黒歴史を堂々と告白するやつがどこにいるのよ。」

「人間を虐殺したことがあると世間に知られたらとんでもないことになるぞ!!」

「だから黙っていたじゃない…」

「口止めしに行くぞ!」

「ええ?あの街に?」

「そうだ!ランが男共を虐殺して街を救ったなんてあの街でしかヒーロー扱いしてくれないぞ!他の街に知れ渡ればランは殺されてしまう!!」

「あの街だけは行きたくないのに…」

「虐殺した魔物として知れ渡ってもいいのか!?」

「わかったわよ…行けばいいんでしょ!!行けば!!」

「逆ギレするな!!ランが悪いだろうが!!」

「うっせぇ!!あんなゴミ男共死んだ方がよかったんだよ!!!」

俺達はランが男達を全員皆殺しにした街へと向かった


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