第18話 魔王の部下
ランとミランが時計屋を2人で営むようになって1ヶ月が経過した
そろそろ別の街へと魔物との共存計画を進めていきたいと考えているが
ミランが思いの外幸せそうにしすぎていてランとミランを引き離すのは心苦しい
ランも満更でもないようで楽しそうにしているし
このまま2人で暮らせれば幸せになのになぁ
でもこのままではダメなんだ
ランはこんなところでひっそりと時計屋をやってるだけでは死んでしまう
クーデルとマリナが魔王を討伐してしまえばランは死ぬ
クーデルとマリナよりも先に魔王に辿り着いて
魔王を説得して魔物と共存していく世界を作らなければいけない
心を鬼にしてそろそろ別の街へ行くと伝えなければ…
…ん?
猛スピードでナーチス村に魔物が近づいている気配がする
魔物は真っ直ぐにミランとランがいる時計屋へ向かっていた
「こんにちはー!」
と時計屋を訪ねた魔物はミランとランと同じように魔物と人間のハーフのような見た目だった
俺はすぐさまそいつの尻尾を剣で串刺しにして
「ぐっ…」
と弱った魔物を誰にも気づかれない山奥へと連れていく
幸い俺が1番早くに気づいて対処したので、ナーチス村の人には誰にも見られずに実行できた
俺は魔物を木に投げつけて言う
「何しに来た?」
「いって…お前こそ何者だよ。俺は一応魔王直属の部下だから結構強いのにこんなにボロクソにされるなんてな。」
「質問に答えろ。もたもたしてると殺す。」
「おー。こわ。ラン様の為に魔王共存計画をしているのに魔物と仲良くしようと思わないのか?」
「思想による。だから聞いている。何をしに来たか。」
「まずは自己紹介からだよ。」
目の前の魔物は俺が先程傷つけた尻尾も腹の傷もあっという間に完治して自己紹介を始めた
「俺はロバート。魔王様直属の部下だよ。」
「俺はカイト。騎士だ。」
「ここに来た理由はラン様と仲良くなりたいからさ!」
「何の為に?」
「そりゃあこの世に唯一の純潔魔物の生き残りなんて全魔物の憧れだよ〜。お近づきになりたいなって。」
「そうか。ではロバートは魔王共存計画をどう思っている。」
「うーん…まぁ中立?みたいな?」
「ハッキリしろよ。」
「本当に中立だって!」
「人間と仲良くするつもりはあるか?」
「人間は嫌いだね。」
俺はロバートの首をはねた
ロバートの頭部がゴロゴロと地面に転がる
「ひどいなぁ。これだから人間は嫌いなんだよ。」
とはねられた首の状態でロバートは話す
「しぶとい魔物だな。」
俺はトドメを刺そうと本体の心臓を刺そうとすると
「待って!!」
と風魔法でランが飛んだきて俺が攻撃するのを止めた
「ラン。こいつは人間の敵だ。殺すべきだ。」
「でも…私達は魔物と共存する計画をしているでしょう?話し合いは必要だと思う。」
「さすがはラン様!!魔物の希望の光だ!!」
そう言いながら頭部はゴロゴロと転がりながら本体に戻って元のロバートの体にくっついた
「人間と共存しようとする意思のある魔物しか生かしてはいけない。人間嫌いの魔物は殺さなければ、人間達を攻撃して魔物は敵だと思われてしまう。せっかく上げた好感度が地に落ちるぞ。」
「でも…同じ人型の魔物だし…」
「人型の魔物だろうが人間に敵意があるやつは生かせられない。」
「あー。俺が人間に危害を加えるか心配してるならその必要はない。」
「何故だ。」
「俺は人間に傷1つつけられないからな。」
「お前ほどの力を持ってそれはあり得ない、嘘をつくな。」
「嘘じゃないさ。俺は魔王直属の部下だと言っただろう?魔王の命令には逆らえないのさ。」
「まさか…」
「そうだよ。魔王は“人間を傷つけるな”と命令している。魔王直属の魔物達は人間に反撃することも出来ずに殺されていってる。おかしいだろう?」
「何故魔王はそんな命令を?」
「早く殺されたいんだって。」
「何故?」
「それはまぁ…魔王様に会ってからのお楽しみ?」
「魔王は人間の味方なのか?」
「知らねー。俺は魔王様の考えに賛同は出来ないからここに来た。魔王様が殺されたら浄化されて人間になるなんて冗談じゃねぇ。」
「じゃあロバートは魔王共存計画に加担するのか?」
「本当は人間を滅ぼして魔物だけの世界にしたいよ。人間なんて大嫌いだからな。ラン様が人間を制圧すると言えば喜んで賛同するのに。」
「ランの心は人間だ。そんなことをするわけないだろう。」
「じゃあ譲歩して共存計画に協力するよ。俺は人間になることだけは絶対に嫌だからな。」
俺はロバートの右腕を剣で切り落とした
「ちょっと!!やめなさいよ!!カイト!!」
とランが声を荒げる
「危険因子は殺した方がいい。」
「やめて!ロバートは人間に攻撃出来ない状態でここまで来てくれたんだよ?死ぬかもしれないのに!」
「死ぬ覚悟が出来ているなら問題ない。」
「魔物と共存するんでしょう!?殺さないであげてよ!ロバートは人間を傷つけることが出来ないのよ!?」
「…ランの温情で生かしてやる。でもロバートの存在は人間に不信感を与える。今すぐ魔王のところに帰るんだな。」
「ラン様…こんな頭のおかしな人間と一緒にいるのは良くないと思いますよ。」
「ちょっと合理主義者なところがあるだけなの。カイトが失礼なことばかりしてごめんなさい。」
「なんと!心の優しい!!純潔の魔族に相応しい気品さと美しい魂をお持ちだ!!」
「それはどうもありがとう…」
「今日はカイトに邪魔されちゃったけど、今度会ったら仲良くしてね!ラン様!!」
「うん。またね。ロバート。」
「あぁ!名残惜しい!さようなら!ラン様!!」
と言ってロバートはあっという間に空へと消えた
「結局何しに来たんだ。」
「私に会いに来てくれたんでしょ。すぐに殺そうとしないでよね。」
「ランが甘すぎる。人間を敵視している魔物はたとえ人型でも殺すべきだ。」
「でもロバートは人間を傷つけられないんだから野放しにしても大丈夫でしょ?」
「魔王は人間に危害を加えるつもりがないと知れてよかった。魔王共存計画の成功率がぐんと上がったぞ!」
「でも魔物側はやっぱり人間が嫌いだってわかったわね。魔物側も人間の好感度を上げる必要があるんじゃないかしら。」
「たしかにな。昔は仲良かったらしいし…」
「ロバートは魔王直属の部下なら昔のことも詳しかったんじゃないの?あんな風に追い返しちゃって…」
「いいんだよ。まずは人間側の魔物に対する警戒を解く方からだ。何事も1つずつクリアにしていかないと上手くいかない。」
「でも貴重な情報源だったのに…」
「魔王が人間に敵意がないと知れただけで十分だろ。」
「それも謎だけどね。」
「魔王は死にたいらしいからな。」
「魔物側で内乱があるのかもね。」
「身内で争って魔王が殺されたらたまったもんじゃねえ。」
「魔物同士は傷つけることが出来ないからそれは無理だけどね。」
「そうなのか?」
「私はスライムも倒せないからね。」
次々と問題が山積みになっていくな…
魔王が倒されたがっているならますます状況はまずい
すぐにクーデルに倒されてしまう
俺達も急いで魔王城を探さなければ




