第15話 夢物語
「きゃっ!!ちょっと…びっくりした…」
とランが宿に帰ってきて俺と気絶して横たわっているマーブルを見て驚いている
「気絶させただけだよ。死んでない。」
「びっくりした…“ごめん!力加減上手くいかなくて殺っちまったよ!”とか言われるのかと…」
「力加減が出来ないほど俺は無能じゃない。」
「“あれ?俺なんかやっちゃいました?”とか言うなろう系主人公でしょう?」
「何の話をしているのかわからないな。」
「こっちの話よ。とにかくマーブルが生きててよかったわ。なんで気絶してるの?」
「ランとミランが恋人同士だと知って発狂して泣き出したからうるさくて気絶させた。」
「ひどい…」
「作戦の邪魔をしたんだ。当たり前だろう?」
「目的のために手段を選ばないところとか非人道的なところとかが女に嫌われるんだよ。」
「俺は間違ったことはしていない。物事には優先順位があるんだ。俺はマーブルよりもランを守らないといけない。邪魔は潰すべきだ。」
「ええそうね。私はカイトに感謝こそすれ文句は言うべきではないわ。」
「そうだろう?」
「でも女には嫌われるわよ。そういうの。」
「女なんて金と権力があれば喜ぶだろう?性格なんて女はみんなあまり気にしてないさ。」
「どこからそんな偏見が…」
「この世界の常識だ。」
「そんな常識あるわけないでしょ。これだから田舎村出身は偏見が多くてキモいとか言われるのよ。」
「それこそ偏見だろ!田舎差別するな!!」
と俺達が相変わらず口論をしていると
うるさかったのかマーブルが目を覚ました
「頭いた…何…?」
と上体を起こしてマーブルが起きると
「おはよう。マーブル。」
とランがマーブルに声をかける
マーブルの顔はみるみる般若の顔になりランに怒りのまま飛びかかった
「よくもミランを誑かしたわね…この魔物め…絶対に許さない…」
「マーブルにだけ教えてあげるけど、私とミランは本当は恋人同士じゃないわ。恋人のふりをしているだけよ。」
「ますます意味がわからないわよ!訳のわからないことを言うな!!」
とマーブルは興奮してランの胸ぐらを掴んでゆさゆさと揺さぶるので
「おい。やめろ。ランに危害を加えるなら俺が今、息の根を止めてやる。」
と俺は冷酷にマーブルに言い放った
「なにこいつ!誰よ!!」
「俺の名前はカイト。ランと同じ村出身の友人だよ。」
「ラン!何で他の男に鞍替えしてんのよ!クーデルどうしたのよ!」
「だから振られたって言ってんじゃん!」
「ああ。そうだったわね。振られてすぐ他の男にいくなんて…この尻軽女。ミランにも手を出すなんてサイテー。」
「だーかーらー!話聞いてる?恋人のふりをしてるだけなの!」
「なんでそんなことを?」
「魔物と共存出来ると証明する為。」
「何の為に?」
「私が生き残る為に。魔王が死んだら私も死ぬ。私は魔族の唯一の生き残りだから。」
「なーんだ!アンタの茶番にミランは付き合ってあげてるだけってことね!」
「そうそう。」
「お人よしのミランなら納得だわ。押しに弱くて断れない性格してるからな〜。」
「私たちが恋人のふりをしていることは他の村の人には内緒にしてよね。」
「わかってるわよ!私は口が固いの。」
「本当かな…」
「だいたいミランがランのこと好きになるわけないんだから!目も覚めたし家に帰るわ。」
「私も荷物持って行かなくちゃ。」
「え?ランはこの宿に泊まるんでしょう?どこに行くのよ。」
「ミランとの新居に…」
「はぁ!?」
「魔物は自然界の魔法しか使えないのに、ミランは魔族と人間のハーフだから修復魔法も使えたのよ。ミランは以前師匠と住んでいた時計屋を修復魔法で綺麗にして時計屋の2階に私とミランが住むことになったのよ。」
「恋人ごっこのくせに同棲までするの!?」
「部屋は別々だし問題ないわよ。」
「いや…でも…!!」
「じゃあ帰るわね。」
「ちょっと待って!!」
「何?」
「私…!!時計屋でミランと一緒に働くことが夢だったの!!」
「へー。」
「だ…だから!私も時計屋で働きたい!!」
「いいんじゃない?」
「へ?」
「ミランに頼んでみたら?雇ってくれるかもよ。」
「そ…そうかな?住み込みとかで雇ってくれるかな…?」
「いいじゃん。話してみようよ。」
「そう?えへへー!じゃあ一緒にミランの時計屋まで行くわよ!!」
そう言ってマーブルとランは部屋から出て行った
ランは何故かミランとマーブルの恋を応援しているようだけど
どう考えてもミランはマーブルのことを嫌っているし、脈なしだろアレ
時計屋に働く従業員にマーブルを選ぶわけないと思うが
しかも住み込みとか図々しすぎるだろう
ミランの嫌がる顔しか浮かばないよ
俺的には魔物と人間の共存をアピール出来るからミランがマーブルを雇ってもいいとは思っているけどね




